横浜市


 

横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画 平成16年 横浜市

 

(1) 横浜市の対策経過

横浜市では、経済状況の影響を受けやすい不安定な就労形態にある日雇い労働者が数多く生活している寿地区と呼ばれている簡易宿泊所の密集地域があります。

本市では、昭和58年に関係機関、関係局区で構成した「寿地区対策協議会」を設置し、その中の「福祉対策部会」で寿地区の様々な問題点を協議してまいりました。また、ホームレス問題も寿地区を中心に発生していたことから、ホームレス対策についても協議してきました。

バブル経済崩壊後の長引く景気の低迷や建設業の機械化、さらにこの地域の人たちの高齢化などにより日雇労働に就けない人が増加し、この地区を中心にホームレス生活を余儀なくされた人が多数見受けられるようになりました。

 

横浜市においても、ホームレス問題が寿地区だけではなく全市的な問題となっていることや、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の施行などを踏まえ、新たに全庁的な協議の場である「ホームレス対策関係局区連絡会議」を平成14年10月に設置し、ホームレスの自立支援策を推進しています

(2) 横浜市の主な対策事業

ア ホームレス自立支援事業

市内のホームレス増加に伴い、平成6年から、従来の緊急一時保護事業(市内のホームレスに対する宿泊援護)と屋外生活者援護事業(主に中区で行う街頭相談によるホームレスの宿泊援護)を統合し、緊急一時宿泊所の運営を開始しました。平成12年度には、職業相談室の設置等、全国初の自立支援施設として機能強化を図り、さらに平成15年度には、寿地区内に移転、拡充し、現在に至っています。

自立支援施設においては、一定期間の入所の中で、次のような生活相談・指導及び就労援助等を通じてその自立を支援しています。

(ア) 宿泊及び食事等の提供

宿泊、食事、衣類、日用品等の提供を行っており、入所期間は原則30日間、最大で180日間までの入所が認められています。

(イ) 住宅相談

全日本不動産協会横浜支部から相談員を派遣してもらい、保証人が必要のない賃貸物件情報の提供などの住宅相談を行っています。

(ウ) 職業相談

公共職業安定所の職業相談員による職業相談等を行っております。

また、国が実施する、日雇労働者等技能講習に協力し、技能の向上等による就労の実現を図っております。

さらに、就職面接のための交通費や、就職支度金等の支給又は貸付を行っています。

(エ) 健康相談

健康診断や、看護師による体調、服薬等の健康相談を行い、心身の健康回復、維持に努めております。

イ ホームレス総合相談推進事業

(ア) ホームレス巡回相談指導事業

昭和54年11月から関内駅周辺を中心に、ホームレスに対し、必要な助言、指導等を行う目的で夜間街頭相談を開始し、平成6年11月からは、関係局区と自立支援施設が連携し、毎月2回程度、関内駅周辺及び横浜駅周辺等において実施してきました。

平成16年4月には、ホームレス巡回相談室(以下「巡回相談室」という)を新たに設置し、夜間街頭相談との統合を図るとともに、区福祉保健センター及び施設管理者等と連携して相談員が市内の巡回を行い、ホームレスに対して面談の実施や必要な助言・指導を行っています。

(イ) ホームレス総合相談推進協議会

巡回相談指導事業を効果的に行うために、行政、ホームレス支援団体、地域住民、学識経験者を委員とする「ホームレス総合相談推進協議会」を設置しています。

ウ 寿地区対策事業

(ア) 寿地区緊急援護対策事業

中区福祉保健センターにおいて、原則として寿地区の日雇労働者などの人で生活に困窮した人たちに対し、面接の上、緊急援護として給食援護を実施しています。

さらに、自立支援施設の入所待機者に対して、宿泊援護を行っており、ホームレス対策としての機能も有しています。

(イ) 年末年始対策事業

年末年始の休庁期間中、寿地区に居住する日雇労働者等の人たちで医療や宿泊・給食援護を必要とするなど、生活に困窮する人に対して生活、健康などの各種の相談を行い、必要な援助を行っています。

(ウ) 寿生活館運営事業

ホームレスや簡易宿泊所宿泊者などの福利厚生の向上を図ることを目的として、シャワー室、洗濯室、娯楽室等を設置しています。

(エ) 寿福祉プラザ生活相談事業

ホームレスや簡易宿泊所宿泊者などに対する生活相談や健康相談等を実施し、必要に応じて関係機関と連絡・調整を行っております。

エ 保健医療対策

(ア) 保健医療対策

寿地区居住者やホームレスが、福祉保健センターや、寿福祉プラザなどに相談があった場合、面接相談を実施し、医療機関への受診が必要な場合には必要に応じて医療機関へつなげるなどの対応を行っています。

(イ) 結核対策

結核罹患率の高い、寿地区居住者やホームレスを対象に、寿地区及び横浜市中心部で、福祉保健センターが結核検診を定期的に実施しています。

また、衛生局では、寿地区の結核患者の治療を確実に行うため、独立行政法人国立病院機構南横浜病院などの結核専門医療機関や中区福祉保健センターと連携し、寿地区内の(財)寿町勤労者福祉協会診療所において横浜市DOTS事業(結核の直接服薬確認療法)を平成11年度から実施しています。

 

自立支援施設における支援の結果、地域社会で自立した生活を営むことが可能となったにもかかわらず、住所がないこと、保証人が確保できないことなどから、民間賃貸住宅などへの入居が困難な状況が多く見られるため、その支援を行う体制の確保が必要です。

ア 自立支援施設において、民間住宅に入居する際に、保証人が確保できないホームレス等に対して、全日本不動産協会横浜支部から派遣された住宅相談員による保証人の必要ない賃貸物件の相談等を行います。

イ 自立支援施設退所後の居所設定のために、個々のニーズに合った民間住宅の情報提供に努めます。

ウ 保証人が確保できない等を理由に、民間住宅への入居に困窮しているホームレス自立支援施設退所予定者等に対して、横浜市、民間保証会社、関係機関等が連携し、入居保証及び居住支援等を行う「横浜市民間住宅あんしん入居事業」を実施し、入居の機会の確保及び安定した居住の継続を図ります。

 

寿地区には、日雇労働等の不安定な就労形態や、健康上の問題をかかえ、ホームレスになることを余儀なくされるおそれのある者が多数生活していることから、これらの人がホームレスとならないよう、支援することが必要です。

ア 地区内の寿福祉プラザ相談室において、各種相談に対応すると共に、地区内のニーズを把握し、関係機関や民間団体等と協力しながら、寿地区居住者の生活の安定と向上を図っていきます。

イ 年末年始の休庁期間中、緊急に援護が必要な人に対して、福祉局と福祉保健センターが連携して、給食、宿泊、医療等の各種相談を行い、必要な援助を行います。

ウ 本市が発注する公共工事を受注した業者に対して、寿地区の日雇労働者の雇用を推奨します。

エ 中区福祉保健センターにおいて、介護予防・生活支援を目的としたディサービスの提供や生活習慣病の予防や健康増進のための食生活を学ぶ講座などを実施します。また、寿地区で特に重点的に実施すべきテーマである結核予防やアルコール問題などの健康講座を関係機関と連携して実施します。

 

ホームレス状態にある人のなかには、その心身の健康保持等のため、緊急的な援護が必要となる場合があります。また、必要に応じて生活保護の活用によりその自立を支援します。

ア ホームレスの個々のニーズを把握した上で、自立に向けての支援の必要性を検討します。

イ 個別の状況に応じて自立支援施設や無料低額宿泊所への入所等を検討し、必要に応じて生活保護を実施するとともに自立に向けた支援を行います。

ウ 入院医療等が必要な状態と判断された場合には、医療機関への入院措置を行い適切な保護を実施します。

エ 施設や簡易宿泊所等からアパートなどの居宅生活への移行について、多面的に検討します。

オ 中区において実施している給食援護等の緊急援護については、その趣旨に沿った効果的な運用が図られるよう検討を行います。

 

ホームレス対策事業等の実績

1 ホームレス概数調査結果年度別推移

調査年月

11年8月

12年8月

13年8月

14年8月

15年1月

15年8月

男 性(人)

786

617

595

700

460

523

女 性(人)

10

12

10

総 数(人)

794

627

602

712

470

531

 

2 自立支援施設利用実績

年度

11年度

12年度

13年度

14年度

15年度

16年度

入所延べ人数

2,402

2,107

2,504

2,474

2,022

1,874

 

※施設定員は、平成11年度104人、平成12年度204人、平成15年6月から

226人で運営しています。

 

  

3 自立支援施設における職業相談事業による実績

年度

12年度

13年度

14年度

15年度

新規求職申込件数

71

115

138

275

相談件数

181

226

289

1,050

紹介件数

56

75

100

444

常用就労決定件数

18

32

27

140

 

※平成12年度から職業相談事業を開始

4 夜間街頭相談実績

年度

11年度

12年度

13年度

14年度

15年度

実施回数

25

25

24

27

24

相談件数

1,547

1,567

1,284

1,413

1,368

 

5 給食援護・宿泊援護実績

年度

11年度

12年度

13年度

14年度

15年度

給食援護

964

725

695

752

872

宿泊援護

504

374

365

453

554

 

※ 数字は1日あたりの発行枚数


ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)

 

 主に中村川沿いで小屋がけやテントなどを設置して居住している人に対して、公共用地からの移動を働きかけ、健康状態の悪化防止と生活環境の改善を図り、ホームレスからの脱却を促進することを目的に、緊急一時的な宿泊場所(シェルター)を運営しています。

【緊急一時宿泊施設の処遇内容】

・宿泊援護
 簡易個室、炊事設備等の提供
・入所期間
 原則180日以内、最大365日以内
・自立支援
 生活相談及び指導
・健康診断
 健康診断の実施


無料低額宿泊事業のガイドライン   横浜市福祉局

 

1 趣 旨

社会福祉法第2条第3項に規定する、生計困難者のために無料又は低額な料金で宿泊を提供する事業(無料低額宿泊事業)の運営等に関わるガイドラインを示すことにより、その適切な設置と運営に資することを目的とする。

 

附則

1 このガイドラインは平成15年9月1日より施行する。

2 「宿泊事業実施に関わるガイドライン」(平成12年8月30日施行)は廃止する。

附則

1 このガイドラインは平成16年6月1日から施行する。

2 施行の日に、既に開設している施設、及び福祉局より改善計画の経過措置の適用を受けている施設については、当分の間、旧ガイドライン(平成15年9月1日施行)を適用する。

3 このガイドラインは、施行日から3年を目途として見直しを行う。


 横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜについても平成18年7月1日から指定管理者制度を導入する予定です

 

4 審査結果

 

 横浜市ホームレス自立支援施設指定管理者選定委員会において、厳正な審査を行った結果、社会福祉法人神奈川県匡済会は横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜの管理・運営を安定して継続できると判断され、指定管理者候補団体として選定した。

 

5 審査得点

 神奈川県匡済会579点

 

6 審査総評

 社会福祉法人神奈川県匡済会は、昭和58年から横浜市のホームレス施策に協力し、横浜市のホームレス施策や施設の設置地域を十分に理解している団体である。また、財務状況も安定しており、自立支援施設の運営を含めたホームレス事業の実績や、これまでの自立支援の取り組み意欲などから、安心して施設の管理運営を任せることができる点などが評価できる。

 一方、利用者の自立支援については、もう少し具体性を持った提案であってほしかった。また、「生活指導」「処遇」といった視点ではなく、利用者本位の「支援」という視点から提案してほしかった。

 

7 その他の総評

 今回選定された社会福祉法人神奈川県匡済会は、ホームレスの自立支援の経験と実績において、全国でも有数の団体である。ホームレス自立支援施設「はまかぜ」は横浜市ホームレス施策の中核となる施設であるので、一人でも多くのホームレスが自立できるよう引き続き支援に取り組んでもらいたい。

 また、要支援者への「自立支援」という考えは比較的新しい概念であり、「自立支援」の内容について利用者や市民に十分理解してもらうような取り組みを行い、「自立支援」においてリーダーシップをとれる団体になってほしい


 横浜市会


【 平成17年 決算第一特別委員会-10月16日−08号 】

◆(荻野委員) よろしくお願いします。

 初めに、民間住宅あんしん入居事業について伺います。

 この事業は開始から2年経過しましたが、家を借りたくても連帯保証人が立てられない高齢者や障害者、生活保護を受けている方、また、いまだに家を借りることが困難な外国人の方などを対象にした制度であり、生活の基盤である住宅を確保するために大変有効な事業であると思います。

 ことしは、住宅の賃貸借契約及び信用保証契約の初めての更新時期を迎えますが、まず、これまでの利用実績について伺います。

◎(相原まちづくり調整局長) 実際に契約に至った利用件数は、平成16年10月の事業開始から18年9月までで711件でございます。月平均で見ますと、平成16年度22件、17年度29件、18年度38件で、件数は順調に伸びております。

◆(荻野委員) 利用実績は順調に伸びているようですが、実際に制度を利用している方の声を聞いた上で今後に生かしていくことが必要です。

 そこで、アンケートを実施したと聞いていますが、その結果はどうだったのか、伺います。

◎(相原まちづくり調整局長) ことし7月に実施した利用者アンケートでは、9割の方がこの事業を利用してよかったと答えておりまして、利用者には一定の評価をいただいていると考えております。

 一方、この制度についてより理解を深めるよう、協力不動産店や大家さんに周知をしてほしいという御意見も寄せられました。

◆(荻野委員) この事業は、協力不動産店を拡大して利用しやすくすることも必要ですが、また、制度の対象者と直接やりとりをする区役所の職員や協力不動産店の方が、この制度の趣旨や具体的な手続を十分に理解することが必要です。制度の理解を深めるために、今利用者アンケートの声にもあったように制度の周知が課題ということですが、具体的な解決策を考えているのか、伺います。

◎(相原まちづくり調整局長) まず、区役所の担当職員を対象に平成17年度から研修を行いまして、今年度も9月に2回、約80人の参加を得て実施いたしました。

 また、今回のアンケート調査を踏まえまして、初めて手続を行う協力不動産店向けのチェックリストを作成し、全店に配布する予定でございます。

◆(荻野委員) これまでも制度周知のためにパンフレットやマニュアルというものをつくってきたわけですが、さらにチェックリストをつくるということですが、これは有効に活用されなければ意味がありません。

 そこで、チェックリストの配布でどのような効果を期待しているのか、伺います。

◎(相原まちづくり調整局長) チェックリストは、家賃滞納時の対応など具体的なトラブル回避のためのポイントを整理しております。読むとためになるチェックリストであることをアピールしまして、協力不動産店の方全員に必ず目を通していただけるよう呼びかけてまいります。

 協力不動産店にとって必要な情報をコンパクトな形で提供することで、利用者への対応がより円滑に進むものと考えております。

◆(荻野委員) では、今後の事業展開をどのように進めていくのか、伺います。

◎(相原まちづくり調整局長) 住宅を御提供いただける大家さんを一人でもふやしまして、利用者が御希望に沿った住宅を見つけることができるよう物件を拡充していくことが必要であると考えております。

 そこでまず、大家さん向けに制度の趣旨と内容をわかりやすくまとめた御案内を作成し、協力不動産店に御協力いただき、できるだけ多くの大家さんに制度を御理解いただけるよう周知を図ってまいります。

     (荻野委員) この事業は、住宅に困っている生活困難者にとっては大変心強い制度です。外国人やDV被害者、そして児童福祉施設の退所者、ひとり親家庭、またホームレス自立支援施設の退所者も制度の対象者となっていますが、それらの人々の利用はまだ少ないようです。それぞれの事情を踏まえ条件を柔軟にするなど、さらに多くの人に周知され、利用の促進が図られるよう要望いたします。


 【 平成18年 こども青少年・健康福祉・病院経営委員会-06月06日−06号 】

◎ (佐々木健康福祉局長)

33番、寿地区対策・ホームレス対策事業ですが、1の寿地区対策事業の(4)寿地区緊急援護対策事業では、寿地区の状況等の変化を踏まえ、パン券・宿泊券の制度を自立を促す援護とするための見直しを行います。この見直しにあわせまして、パン券・宿泊券の支給を受けながら自立を目指す方の就労を支援する要生活援護者自立支援専門員を中区に配置します。


 【 平成16年 決算第一特別委員会-10月14日−06号 】

◎(佐々木福祉局長) 生活保護を受給する主な理由は、世帯主の病気、老齢による収入の減少、働いていた方との離別などでございます。これを世帯類型別に見ますと、17年4月の生活保護世帯のうち高齢者世帯が41.7%、傷病・障害者世帯が36.7%で、これを合わせますと約8割弱を占めておりまして、そのほか母子世帯が8.3%、元ホームレスなどのその他世帯が13.4%となっております。

◆(今野委員) 高齢者世帯、傷病・障害者世帯は就労が難しいところですが、母子世帯などの中には就労できる方がいると思われます。自立の可能性がある方には積極的に就労支援を進めてほしいと考えます。

 そこで、生活保護世帯の就労支援ではどのような取り組みをしているのか、伺います。

◎(佐々木福祉局長) 各区の福祉保健センターでは求人情報誌の購入や求人情報コーナーの設置を行いまして、組織的に情報の収集を行うとともに、対象者への情報提供を行っております。また、就労支援会議を定期的に開催する中で就労支援のプランを樹立いたしまして、対象者に対する継続的指導を行っております。

 さらに、被保護者自立支援事業、現在これは本市として力を入れているところでございますけれども、就労支援専門員が履歴書の書き方を初め面接の受け方の指導やハローワークへの同行を行うなど集中的に対象者を支援いたします。平成16年の被保護者自立支援事業では、18区を8ブロックに分けまして9人の就労支援専門員を配置いたしました。

◆(今野委員) 9人の就労支援専門員を配置したとのことですけれども、平成16年度の被保護者自立支援事業の結果はどうなっているのか、また、17年度の事業内容はどのようなものか、伺います。

◎(佐々木福祉局長) 16年度の被保護者自立支援事業では9人の就労支援専門員が928人に対して支援を行いまして、594人の就労を実現いたしました。年間で約2億5,000万円の保護費が縮減でき、成果があったと考えております。

 また、17年度につきましてはこれをさらに拡充いたしまして、具体的には4点ほどございますけれども、就労支援専門員を各区1人以上、計22人配置いたしまして支援体制の充実を図ること、また、ハローワークが行う生活保護受給者等就労支援事業を活用いたしましてハローワークとの連携を図ること、また、母子世帯の母、就労経験の少ない若年者、元ホームレスなど個々の世帯状況に応じた個別支援プログラムを策定いたしましてより組織的な支援を行うこと、さらに、無料職業紹介事業の導入を行いまして、迅速な職業紹介、あっせんを可能にすることなど、これらについての取り組みを進めているところでございます。

     (今野委員) 最後に、区福祉保健センターとハローワークが連携を図りながら生活保護世帯の自立支援に積極的に取り組んでいただくことを要望して、生活保護関連についての質問を終わりたいと思います。

◆ (福島委員)

最後に、私の地元の中区にも顕著な問題でありますホームレスの自立支援についてお伺いをしたいと思います。

 先ほどのDV問題とも通底しているのではないかと思いますけれども、経済的、社会的な理由から、一般的な社会生活の形態を離脱する人が後を絶ちません。

 そこで、まず初めに、本市におきます過去3年間のホームレスの数の推移をお話しいただきたいと思います。

◎(佐々木福祉局長) 本市の概数調査によりますと、平成14年度712人、15年度531人、16年度659人のホームレスが確認されております。

◆(福島委員) 今の局長の御答弁からホームレスは15年度に比べまして増加傾向にあるわけでありますけれども、ホームレスは都市間を自由に移動することも多くて、全国的な都市問題でもあります。そのようなことから、15年にはホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が施行されまして、国及び地方自治体の役割、また責任が明確にされました。また、国の基本方針においても各種取り組みが示されているところですけれども、横浜市では早くからホームレス対策に取り組んで自立支援にも実績があるというところでありますけれども、ホームレスの自立支援について今後の横浜市の方針はどのようになっているのか、伺います。

◎(佐々木福祉局長) 本市ではホームレスの自立の支援等に対する特別措置法や国の基本方針等に基づき、横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画を16年10月に策定いたしました。この実施計画では、ホームレスみずからの意思により自立できるような支援をすること、不安な就労層をホームレスにさせないこと、ホームレスの基本的人権を尊重することを基本的な考えとしております。この基本的な考え方に基づき、県内唯一のホームレスの自立支援施設であるはまかぜを活用した自立支援を基本方針に据え、個々の事情に応じたさまざまな支援を行っております。

◆(福島委員) では、このはまかぜですけれども、入所者の自立に向けてどのような支援を行っているのか、確認のため、お願いします。

◎(佐々木福祉局長) まず第1に、施設入所時における健康診断の実施により健康状態を把握し、その後、規則正しい生活習慣を身につけるための支援を行っています。

 次に、就業の機会を確保するため、ハローワークから配置されている職業相談員と施設の専任相談員が連携をとり、職業相談や履歴書の書き方、採用面接に当たっての注意点など就職の実現に向けたきめ細かな支援を行っております。

 さらに、住宅を確保するため、住宅相談員がさまざまな相談に応じているほか、昨年10月から開始した横浜市民間住宅あんしん入居制度も活用し、住宅の確保の支援に努めております。

◆(福島委員) こういう支援を受けて、何名の人たちがどのような仕事についたのかというのは関心が高いところですけれども、常勤の就労者数の実績はどのようになっているか、また、その職種別の内訳もあわせてお尋ねします。

◎(佐々木福祉局長) 平成16年度において249人が常勤就労を果たしており、15年度の実績192人比べ57人上回っております。

 また、職種別の内訳ですが、製造工場53人、警備員41人、調理関係31人などとなっております。

◆(福島委員) ホームレスになるに至った理由は、仕事が減ったからというのが51%、倒産、失業でということが22%であることから、ホームレスの方が自分の力で自立をして、再びホームレスに戻らないようにするためには常勤就労を果たすことが一番重要であろうと思います。労働施策の所管というのは国と県でありますから、先ほどの答弁のようにハローワークの支援を受けるなどで労働施策と連携した就労支援を横浜市は展開していることになるわけですけれども、ホームレスの就労に関して雇用対策を所管する神奈川県との連携というのはどうなっているのか、伺います。

◎(佐々木福祉局長) 今年度から国の新規事業として、臨時的、軽易な仕事の確保、提供等を行うホームレス就業支援事業が創設されました。この事業を受託するために、神奈川県、横浜市など行政機関を中心に民間団体などの協力を得て神奈川県ホームレス就業支援協議会を8月に設立したところでございます。事業は県の外郭団体である神奈川県労働福祉協会が実施することとなっており、今後も事業が効果的に実施できるよう民間団体等の協力も得ながら、県、横浜市などがそれぞれの役割に応じて連携をしてまいりたいと考えております。

◆(福島委員) ホームレス就業支援事業が開始されるということでありますけれども、このホームレス就業支援事業というのはどのような就業支援を行っていくのか、伺います。

◎(佐々木福祉局長) 就業開拓推進員を配置いたしまして、企業からの求人情報の収集及び求人開拓を行います。あわせて就業支援相談員が対象者の就業能力、適性を把握し、開拓した求人情報の提供及び紹介や就業相談を行います。また、職場体験講習もあわせて実施するなどして常勤就労につながるような支援を行ってまいりたいと考えております。

◆(福島委員) ぜひこの事業が軌道に乗ることを希望したいわけでありますけれども、その際必要なのは就職先であろうと思います。清掃とか、警備とか、建築の業種の方々にも民間の団体として参加をしていただいていると聞きましたけれども、現在のような都市型の就労先をあっせんするというのも大事なことだと思うのですけれども、例えば森林ですとか海洋環境の保全事業などの分野で就労先をつくり出す仕組みを検討していただくことはできないかと思うわけです。

 例えば和歌山県などは古くから林業が盛んだったところでありますけれども、外国産の木材とのコスト競争で林業がもう衰退してきました。そこで、県知事が旗振り役となりまして、環境保全と雇用の創出と地域の活性化の一石三鳥を目指す緑の雇用事業を開始したところ、都市部からのIターンの労働者が定着し始めてきているということなのだそうです。今後神奈川県と共同でホームレスの支援事業を開始するわけでありますから、横浜の水源地、道志村に限らず、神奈川の水源環境保全の活動を緑の雇用事業として立ち上げるなどして、ぜひホームレスの支援につなげていただくように要望しておきたいと思います。


【 平成17年 福祉衛生病院経営委員会-06月06日−03号 】

◎(佐々木福祉局長) 初めに、寿地区の緊急援護対策、パン券・宿泊券の関係ですが、実際に中区役所に対策事業のあり方の検討にも参加してもらうことにしております。検討会の中で大体9月ぐらいまでにある程度考え方を整理していきたいと考えております。従来、寿地区の日雇い労働者対策としてこの事業を行ってきましたが、最近の実態は、どちらかというとホームレス対策という色合いが強くなっていますので、その辺の事業本来の目的との関係を見ていきたいと思っております。


 【 平成17年 予算第一特別委員会-03月10日−10号 】

◆(川辺委員) まず最初に、結核対策についてお伺いします。

 特に、今回の結核予防法改正を踏まえた17年度の対策についてお伺いしたいと思います。平成15年では全国で3万2,000人もの患者が発生しているといいます。特に、最近では人口の多い都市部の患者発生が多く、結核対策は都市部の問題になりつつあると聞いております。

 横浜市では平成15年度1年間の患者発生数は930人で、10万人当たりの患者発生率の割合は患者罹患率26.3で、全国平均の24.8を上回っており、横浜市における結核対策の重要性がわかります。そのような中で、昨年結核予防法が50年ぶりに改正され、この4月から施行されるわけです。大変大きな問題でございます。そういう中で大きな変更点として、従来よりの一律な定期検査ではなく、結核発病リスクの高い人などに重点的に対策を実施することが示されました。

 そこで、結核検診に関する結核予防法の改正の理由をお伺いします。

◎(渡辺衛生局長) 理由でございますが、我が国におきましては一般市民の結核検診による患者発見率が非常に低くなってきた現状や結核患者の発生が特定の地域や集団に偏る傾向が出ているということによるもので、従来のように一律にエックス線検査を行うのではなく、結核の発病リスクの高い人や、学校や医療機関等の従事者など、感染を起こした場合、市民に大きな影響を及ぼす職種の人などに絞って検診を行うこととなりました。

◆(川辺委員) 結核発病のリスクが高い人への対策として、寿地区等のホームレスの結核患者発生が多い傾向であることから、以前から全国に先駆けて寿地区等の結核対策やホームレスの結核ハイリスク者検診などを実施してきたわけです。法改正後は、さらにリスクの高い人に重点を置いた対策が必要だということがわかりました。引き続き努力をしていただきたいと思います。

 結核患者を早く発見することはもちろん重要ですが、結核は長期にわたるという特性を持っているわけでございますので、発見された患者を治していく必要があるわけです。それから脱落することなく治療に努力をしていただくということが大変重要だと思います。そういう中で今回、患者の確実な治療支援としてDOTS、直接服薬確認療法と呼ばれる結核薬の服薬確認を福祉保健センターや医療機関が推進するように示されております。横浜市では既にそういった視点から、全国に先駆けて寿地区の患者を対象に横浜市DOTS事業に積極的に取り組んでいると聞いております。

 そこで、横浜市DOTS事業の実施状況とその評価についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 本市では、平成12年に事業を開始いたしまして、16年までの約5年間で167人の患者に対しまして延べ1万4,000回を超す服薬確認を行ってまいりました。この事業によりまして、寿地区の罹患率は事業開始前の平成10年の人口10万人に対しまして1,700から16年の733と半分以下に激減し、治療完了率も約7割から9割へと改善をしております。このことによりまして、横浜市DOTS事業は寿地区の結核対策に大きな成果を上げたとして多方面から高く評価をされているところでございます。

◆(川辺委員) この事業は、患者を確実に治し、新たな感染を防ぐことで市民の安全確保に効果を上げているようであります。今後もより充実していただきたいと思います。


 【 平成17年 予算第一特別委員会-03月14日−11号 】

◆(源波委員)

 あり方検討会の報告によりますと、平成16年4月、保護の開始理由別の状況を見ると、長引く不況の影響等により、失業など働きによる収入の減少を契機とするものも27.7%を占めておりまして、近年その他の世帯の増加、ホームレス、施設入所世帯を含むその他の世帯の増加傾向が著しくなってきております。さらに、保護の受給期間を−−自立までの期間ですが−−世帯累計別に見ますと、母子世帯の受給期間は5年未満で8割を超えておりまして、さらにその他の世帯におきましては5年未満でほぼ8割となっております。母子世帯とその他の世帯が5年以内に自立した世帯が多くなってきております。こうした現状を踏まえ、まず大都市を中心に増加しているホームレスの自立支援について伺いたいと思います。

 まず、直近の横浜市のホームレス数及び他都市の状況を伺いたいと思います。

 また、本市のホームレスの特徴及びホームレス数の多い区をあわせてお伺いいたします。

◎(佐々木福祉局長) 平成16年8月に実施いたしました全市調査の結果、659人のホームレスが確認されております。

 また、他都市の状況ですが、16年度の調査によりますと東京都が5,651人、名古屋市が1,418人、川崎市が1,028人となっており、大阪市は15年1月の調査結果ですが6,603人となっております。

 次に、本市のホームレスの特徴ですが、中区、西区などの市の中心部に夜間だけ段ボールなどで滞在している移動型ホームレスが多く、市の郊外では河川敷などにテント、小屋掛けにより定住しているホームレスが多いということが特徴と言えます。

 また、ホームレスが多い区は中区340人、西区92人、神奈川区49人となっております。

◆(源波委員) 横浜市が他都市に先駆けまして早くから真剣に取り組んできた成果があらわれていると思います。ホームレス自立支援施設は平成15年6月に寿地区のはまかぜに移転、開設し、現在本市のホームレスの自立に向けた諸施策の中心的な役割を担っていると伺っております。ホームレスが自立を果たすためには、個々のニーズや職業能力等に応じた職業紹介を行うなどの就労支援が必要不可欠だと考えます。そこで、ホームレスの自立に向けて、ホームレス自立支援施設はまかぜにおいてどのような就労支援を行っているのか、また、職種別の就労実績はどのようになっているのか、お伺いします。

◎(佐々木福祉局長) ハローワークから配置されている職業相談員と施設の専任相談員が連携をとりまして、技能習得のための講習会への参加や個々の適性に合った職業相談などの支援に加え、履歴書の書き方や採用面接に当たっての注意点など、就職の実現に向けたきめ細かな支援を行っております。

 職種別の実績ですが、16年4月から17年2月までの実績は、製造工場に48人、警備員に41人、調理関係に28人など合計で228人が常勤就労を果たしており、15年度の実績192人を上回るものとなっております。

◆(源波委員) ホームレスの自立には就労支援と並び住宅確保の支援も重要であると考えます。そこで、ホームレス自立支援施設はまかぜにおいて住宅確保のためにどのような支援を行っているのか、また、17年度から新たに始まる住宅確保の支援の内容をお伺いします。

◎(佐々木福祉局長) ホームレス自立支援施設に全日本不動産協会横浜支部から住宅相談員が派遣され、さまざまな相談に応じているほか、昨年10月から開始した横浜市民間住宅安心入居制度も活用いたしまして、入居の機会の確保を図っております。

 また、17年度からは、常勤就労を果たしたが住宅確保の資金が足りないうちに退所期限満了となる人を対象に12万円を上限としてその不足する額を支給し、住宅の確保をより確実にできるよう支援してまいります。

◆(源波委員) 12万円とした根拠を教えてください。

◎(佐々木福祉局長) 1カ月の生活保護基準額がございまして、それが12万5,410円となっておりまして、住宅確保に必要な経費として敷金を除き12万円を超えない範囲で家賃の2カ月分を上限として、退所者にとって必要最低限の額の援助という考え方でございます。

     (源波委員) 今後も積極的にホームレスの自立に向けた施策に取り組んでいただきたいと思います。


 【 平成17年 福祉衛生環境保全委員会-03月17日−04号 】

◆ (荒木委員)

それから、もう一つは、ホームレスの対策事業の中にある新規の自立支援施設退所者に対する住宅確保の支援です。実際にはまかぜへ行って所長から、自立ができるようになった人たちが住宅の保障ができなくてまた戻ってくるケースもあると聞きました。ですからこの制度ができたことは非常に前向きな考えですが、ホームレスの自立支援施設退所者に対する住宅確保の支援は、はまかぜに入っている人しか対象にしてないですか。

◎(佐々木福祉局長) 結論を言いますと、はまかぜに入っている人で、ホームレス自立支援施設はまかぜにおいて常勤就労を果たしたもので、住宅確保資金が足りないうちに退所期間満了となる者に対して、住宅確保のための資金を援助するということで退所者の自立を図るものです。

     (荒木委員)

 新しい制度ですから、はまかぜからスタートしてぜひ頑張っていただきたい。ホームレスで生活保護を受けている方も中にはいらっしゃるでしょうし、そういう人たちが自立していくという点でも、これからこの制度がうまくいくようであれば、対象者の枠もはまかぜだけに限らず、必要とする人たちが自立していける施策を一緒になって支援という点では、また新たな一歩を踏み出すために、生活保護の人たちも一緒になって応援していく施策、就労の場を一緒に考えていただきたいと要望しておきます。


 【 平成16年 予算第一特別委員会-03月15日−12号 】

◆(斉藤[達]委員)

 次に、無料低額宿泊所について伺います。

 先日ありました国の発表によりますと、長引いた不況もようやく峠を越え景気は着実に回復しているとのことですが、一方で、1月の完全失業率は5%と高水準で推移し、依然として厳しい状況が続いています。(「何がよいんだ」と呼ぶ者あり)このような雇用情勢が続きますと町にホームレスが増加していくことが心配されるところです。

 ホームレス対策につきましては、一昨年、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定されました。本市のホームレスに対する自立支援の取り組みは自立支援施設はまかぜを中心に行っているところですが、最近ではホームレスを対象とした宿泊所の運営を民間事業者が行っていると聞いております。3月7日の朝日新聞の記事やきのうのTBSの報道番組の中でも取り上げているようで注目が集まっております。

 そこで、この無料低額宿泊所と言われる施設について伺います。

 まず、市内にホームレスを宿泊させる民間の無料低額宿泊所がふえているようですが、無料低額宿泊所とはどのようなものか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 無料低額宿泊所は、生活困難者に無料または低額な料金で宿泊所を利用させる事業として社会福祉法に第二種社会福祉事業の一つとして規定されている施設で、運営する事業主体は法人、個人を問いません。また、事業者が施設を開始するには、法律に基づき開始後1カ月以内に都道府県に届け出を行うことになっております。横浜市の場合は大都市特例により本市が届け出を受けることになっております。届け出を受ける側の行政に許認可の権限はありませんが、本市では運営基準や設置基準等についてガイドラインを定めておるところでございます。

◆(斉藤[達]委員)

 届け出制の施設とのことですので、事業者が自由に開設届を提出してくるのではないかと思います。そこで、施設の開設状況は現在どのようになっているのか、また、市内における施設の分布の状況はどうなっているのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 この施設は市内に29開設されております。平成12年度に6カ所、13年度に5カ所、14年度に8カ所、15年度には10カ所が開設いたしました。(「多いな」と呼ぶ者あり)

 施設の場所は市内の13区に広がっておりますが、定員では、特定の区に市内の総定員1,245人のうち3分の1強に当たります445人が集中するといったような偏りが見られるようになってきております。(「問題があるな、それは」と呼ぶ者あり)

◆(斉藤[達]委員)

 特定の区に3分の1強が集中しているというのは余りに隔たりがありますし、施設のある地域が実際にホームレスが多い地域とは異なっているということを聞いています。

 次に、主にホームレスを入所させる施設のようですが、実際にはどのような人が入所しているのか、また、こうした施設の開設に当たり市はどのような関与を行っているのか、伺います。

◎(田中福祉局長) 基本的には生活困窮者が利用するということになっておりますが、現実は入所者のほとんどはホームレスの男性であります。年齢では50歳代が約40%で一番多く、40歳代と60歳代がそれぞれ約20%という状況でございます。

 開設時の横浜市の関与でございますが、単に事業者から届け出を受けるだけでなく独自に無料低額宿泊事業のガイドラインを定めまして、入居者の生活環境のための基準や施設の適切な運営のための指導を行っております。また、各区の福祉保健センターと協力しましてこの基準に基づいて監査等を実施しております。

◆(斉藤[達]委員)

 ガイドラインや監査などで指導しているとのことですが、仕事ができる年齢層が多数入所しているとすると、いかに自立させていくか、その方法が大切だと考えます。しかし、自立支援を目指す施設であるにもかかわらず中には入所者への働きかけが不十分な施設もあるようですが、入所者に対する自立支援はどのように行われているのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 社会福祉法の規定によりますと、無料低額宿泊事業は生活困難者のために住宅の貸し付けや宿泊所を利用させる事業でありまして、この事業そのものには自立を促すような役割を位置づけておりませんが、入所者の大半が生活保護を受けておるということから生活保護については自立助長が必要ですので、施設側の協力を求めながら行政がかかわっていくということになっております。直接的には各区の生活保護担当のケースワーカーが入所者の個別の面接等による調査の結果を参考としながら早期に自立が実現できるよう個別の状況に応じた指導に努めているところでございます。

◆(斉藤[達]委員)

 生活保護のケースワーカーが自立の支援をするにしても、区内に大きな施設ができたのでは対応に困ってしまうのではないかと思いますが、地域住民にとっても突然施設が建設されると困惑してしまいます。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)実際に施設の開設に当たっては集中的な開設や入所者への苦情など地域住民とトラブルになっているような例もあると聞いておりますが、このようなトラブルに対して当局としてどのように対応するのか、伺います。

◎(田中福祉局長) 

本市としましては、従来からガイドラインの中に開設及び運営に際して地域住民の理解を得ることを示しておりまして、施設を運営する事業者に対して開設の相談があった時点から運営について指導をしてまいりました。また、入所者と地元でトラブルが生じた際にも事業者と協議、指導を行うなど円滑な対応を図ってきたところでございます。今後につきましても、事業者に対しましてガイドラインを遵守し、住民の理解を得た上で施設の開設及び運営を行うよう強く指導を徹底してまいりたいと考えております。(「頼むよ」と呼ぶ者あり)

◆(斉藤[達]委員)

 これまでも指導を行ってきたとのことですが、それでも問題が生じている状況があります。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)そこで、施設に関する問題に対応していくには現在のガイドラインでは十分に対応できないように思いますがどうか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 現在本市が定めておりますガイドラインは、昨年7月に国が示したガイドラインを参考としながら本市の状況を踏まえて策定したものでございます。ガイドラインに基づく指導の結果、既存施設の入所者の居住環境の改善は進んでまいりましたが、先生おっしゃいましたように、最近の傾向として、特定の地域への集中や施設の大規模化などの問題に加えまして、この施設利用者の増加による生活保護費の増大等の問題も生じております。こうした状況を踏まえさまざまな面から検討を進めていかなければならないと考えております。

◆(斉藤[達]委員)

 無料低額宿泊所が適正な運営を行い入所者の自立を支援していくためには、行政側からも強力な働きかけが必要です。さらに、こうした問題を一自治体だけの力で解決していくことには難しい面もあるでしょうから、同じ状況にある近隣都市と連携して抜本的対策を国に強く働きかけることを要望して、この質問を終わります。

◆(手塚委員)

 それでは次に、無料低額宿泊所についてお伺いをいたします。

 先ほどもお話がございましたが、無料低額宿泊所の開設をめぐっては現実に地域の住民とのトラブルが発生しています。先ほどの当局の答弁にもありましたが、早期にガイドラインの見直し等が図られることが必要だと考えます。

 そこで、今後の取り組みによりまして改善が図られていった場合、本市のホームレス対策の中において無料低額宿泊所についてどうなっていくのか、お伺いいたします。

 まず初めに、地域住民とのトラブルの要因の一つとして特定の地域へ集中して開設されることがあると思いますが、こうした問題にどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

◎(田中福祉局長) 

 宿泊所が開設され始めた平成12年当時には市内に分散し小規模なものが中心でございましたが、その後年々増加いたしまして、最近では大規模な社員寮などこの施設に転用できる物件のある一定の地域において集中して開設希望が出されるなど、ガイドラインの想定していなかったことでの住民とのトラブルが発生している状況にあります。このため、地域での適正な配置や住民の理解を得た上で施設運営を行うことなど個別に事業者に指導を行い、状況の改善に努めておるところでございます。

◆(手塚委員) 

 それでは、一方、無料低額宿泊所はホームレスが生活する場所としてその役割を果たしていることも事実ですが、こうした民間の無料低額宿泊所が横浜市のホームレスの現状にどのように影響しているのか、お伺いをいたします。

◎(田中福祉局長)

 昨年8月に行いましたホームレスの概数調査によると、本市におけるホームレスの総数は531人で、川崎市などに比べまして約半数となっており、他都市と比較しても少ない状況でございます。これは自立支援施設はまかぜを中心とする本市のホームレス対策の効果だけでなく、大きな定員を持つ無料低額宿泊所の相次ぐ開設も影響していると思われます。一方、本市におけるホームレス数の推移から見ますと、現在無料低額宿泊所の入所定員が1,200人余りになっていることから考えて他都市からの流入など新たな問題も起きている状況にあると判断されます。このためさまざまな面から検討を行ってまいりますが、とりわけガイドラインの見直しや国への働きかけについては早急に検討を進める必要があると考えております。

◆(手塚委員)

 無料低額宿泊所が住民の理解を得るということ、そして入所者の人権を尊重した処遇の充実、積極的自立支援の取り組みを行うことが大事だろうと思います。こういうことを実現していくために事業者との適切な運営を確保するための指導を行政が積極的に行うことを要望したいと思います。


 【 平成16年 環境事業緑政消防委員会-02月23日−03号 】

◆(荻野委員)

 G30全市展開に向けて信頼関係の確保というところだとは思いますけれども、苦情内容の中に、ホームレスの方がアルミ缶を抜き取っていると書いてあります。活動費等に充てている福祉団体というのも、ホームレスの団体であったり、または1人でやっている方も入っているのかなと思います。このような抜き取り行為については、当局ではどのような認識をお持ちで、今回の一部条例改正で、1本でも抜いたらば、それが住民の通報によって窃盗罪にも当たると聞いていますが、その辺のところはどのように対処していくおつもりでしょうか。

◎(佐々木環境事業局長)

 今は規制がありませんので、福祉団体とか地域の方々が任意にやっておられることは承知しております。今後、環境事業局の事務所と地域の方々とそういう団体とで話し合いを持ちまして、地域の方々の御理解、協力を得て進めていきたいと思っております。

 ホームレスの方がそういう団体かどうかというのはあるのですが、そういう方々も、基本的には地域の方々に理解を得て、その活動を続けていくのが本来の姿ではないか。今はだれのものでもないということで成り立つ関係なんですが、先ほども売却益などの説明をさせていただきましたが、市民の方が分別してごみを減量、資源化するという流れの中では、地域の方々の理解と協力を得てやっていくことが必要ではないかと思っております。

◆(荻野委員)

 ホームレスの方で団体でやっている方は、そういうのをまとめている方がいるかもしれませんが、実際には北部の方は、川崎にアルミ缶を横浜市よりも高く買ってくれるところがあるということも聞いていますし、1人でその収入を生活の糧にしている方も実際にいるのではないかと聞いています。また、それを自主自立に向けた一つの仕事としての位置づけでとらえている人もいると聞いています。

 今回の条例の改正に当たっては、その辺のところが断ち切られてしまうというところで、現実にホームレスの方がそのようなことで収入を得ている現実がある中で、今回の条例の一部改正で、社会的な弱者の方々が切り捨てられることがないようにぜひしていただきたい。

 あと、町内会の方々に条例改正の趣旨、トラックで持っていくような抜き取り行為があってはということで、目的があるということも聞いていますので、その辺のところをホームレスの方々の対処も含めて、町内会、自治会の方々にも周知説明をしっかりとしていただいて、このような方々を切り捨てることがないような局としての配慮をぜひお願いしたいと思います。

◎(佐々木環境事業局長)

 トラックがだめで自転車がいいかという議論はあると思うのですが、まず、今回は市民と市のごみの資源化、減量化、G30の信頼関係を結ぶ制度であるということを第一義にして、そういう方々がいれば、御理解と御協力を得てやれるのであればやってほしいということで、取り締まりが目的ではございませんので、十分町内会などに説明はしていきたいと考えております。

◆(仁田委員)

 今回の条例改正で、抜き取り行為について規制しようというものがございますけれども、だれがということがあろうかと思います。今回の条例改正の趣旨としては、どういう主体を想定して今回の条例改正をしようとしているのか。具体的にお聞かせいただきたいのです。

◎(佐々木環境事業局長)

 取り締まりが目的ではないのですが、再三市民の方の理解を得て我々がやろうというときに、何度も何度も繰り返し指導や注意に従わない、あるいは大量に収集計画にも影響するような形でやるような、それが悪質な行為になるのだろうと思います。そういった方々には、結果として厳正に対処することになろうかと思いますが、個々にやられている方々については、地域の方々と話し合い、例えば子供会で、実際に朝出ているときにもったいないから、ではということでやっている方々については、事務所の方でコーディネートして、そういった活動がうまくいくように、地域の方々との間に入る。地域の方々がやりたくないというのに、これはいい団体だからやってくださいというわけにはまいりませんけれども、円滑にいくように、コーディネートしていきたいと思っております。

◆(仁田委員)

 信頼関係がお互いに理解できるものについては、特段の規制をしようとする趣旨ではないというように今の局長の説明を受け取ったのですが、現実に幾つか例が出されたように、子供会であるとか、地域の婦人会であるとか、いろいろなグループや集団が、そういったことを積極的にやろうとしていること。例えば障害者施設である作業所などが、自主的に地域の方々の理解を得る努力をしつつ、そういったことをしていることも現実に拝見していることについて、今回の規制に当然なるものではないと私は理解します。先ほどホームレスの方のお話が荻野委員からも出ましたが、これはこれで地域の方に、そういった趣旨でこれからも社会的に努力していこうという趣旨を理解してもらう努力が一方である中で、信頼関係をつくっていくことも今後の可能性としてはあるかと思うのです。そんな信頼関係の築き方という理解でよろしいのでしょうか。

◎(佐々木環境事業局長)

 そのとおりでございます。

◆(仁田委員)

 そうすると、集積場所に掲げる表示はどういうふうになるのでしょうか。例えば杉並区の窃盗行為の新聞記事は、無断持ち去り厳禁と記載されている集積場所ですけれども、本市の場合は基本的にはどういうお考えなのでしょうか。

◎(佐々木環境事業局長)

 現在、関係機関と調整しておりますが、指導を受けている内容は、横浜市の所有物であることが1つと、横浜市あるいは横浜市が指定する事業者以外の持ち去りの禁止、この2つがセットになって、各集積場所でどこから見てもわかるようにしておくことが必要だという指導を受けております。まだ文言まで決まっておりませんけれども、大至急そこのところは調整して、25日に議決いただければ、すぐ各ステーションにそういった趣旨の掲示を、早くとにかく周知を図るということでやっていきたいと思っております。


 【 平成16年 福祉衛生環境保全委員会-03月18日−09号 】

◆(米盛委員)

 2点目に移りますけれども、ホームレス支援で中区からの区の予算要求で、定住型ホームレスを対象としたシェルターを設置するということですが、このシェルター設置に関して、なぜこれを設置するのか、どんなものなのか、はまかぜとはどう違うのかお願いいたします。

◎(田中福祉局長) これにつきましては、中区の方から歩道に出る形で定住型の住居といったものが設置されているということで、歩行者が通りにくいという状況もでてきている。具体的な対応を考えていきたいという中で、区と関係局が集まりまして協議する中で、そういうものが必要だという結論になりまして、設置することになったものでございます。具体的なことにつきましては、道路局や関係局と今後協議して対応してまいります。

◎(横山生活福祉部長)

 今現在、中村川に定住型ということでテントを持ってきて住まわれている方が70名ほどいらっしゃいまして、この方々を対象にシェルターをつくる計画でございます。従来から地区の巡回相談等で声かけをしていますが、はまかぜは集団生活ということでなかなか入ってくれない。移動ができない状況があって大変苦慮しているところですが、はまかぜとの連携については、引き続き入っていただいて、自立できるような体制をつくっていくように今後ともシェルターと連携をしていきたいと考えております。

◆(米盛委員)

 はまかぜと今度のシェルターとのすみ分けはどのようになるのでしょうか。

◎(横山生活福祉部長)

 はまかぜは最終的には自立をして、就業を目的としておりますけれども、このシェルターは当面宿泊場所を提供するということで寝具、シャワー。食事は自分でしていただきます。はまかぜは食堂はあります。そういう違いがあります。

◆(米盛委員)

 シェルターの方も最大6カ月と伺っていますが、6カ月経た後はシェルターに入られた方々はどのようになっていくのでしょうか。

◎(横山生活福祉部長)

 一部の方ははまかぜに入っていただくということと、また各福祉保健センターで相談を受けて、一部の方は生活保護にかかってくると考えております。また、なるべくその間に自立をしていただいて、また、テント生活をしないような生活指導をしていきたいと思います。

◆(米盛委員)

 国制度の中でシェルター事業があって、ホームレスの自立を支援すると言われておりますので、シェルターそのものがホームレスの自立に何らかの形でつながっていく施設であるべきだと思うのですが、今回に関しては国費はどのぐらい入るのでしょうか。

◎(横山生活福祉部長)

 経費の2分の1ということです。

◆(米盛委員) 具体的な額は。

◎(横山生活福祉部長)

 経費が約3,300万円ですから1,600万円程度が国からの補助になりです。

◆(米盛委員)

 はまかぜの入所は区の福祉保健センターを通じてというのが一つあったと思いますが、はまかぜの入所ルートはほかにありましたか。

◎(横山生活福祉部長)

 基本的には全員区の方から入所しております。

◆(米盛委員)

 このシェルターへの入所はどのようなルートで行っていくのでしょうか。

◎(横山生活福祉部長)

 今、巡回相談を中区で共同で毎月2回やっておりますので、巡回相談を通じて入所を要請していきたいと思います。

◆(米盛委員)

 そうしますとはまかぜと入所のルートが違うということですが、先ほど伺ったお話で局長の方から歩道に出る形で小屋がけをしている人たちがいて通行の妨げになる。部長の方からは中村川の川沿いの人々だということですが、結局、対象者が多分限定された上で、このシェルターに行きませんかという声かけをされていくと思うのですが、今回できるシェルターが定員30人で、中村川に先ほど70人ほどいらっしゃるということでしたから、定員よりたくさんの人が対象となっているということですが、あくまでも本人の意思の尊重というところで、自立支援法の付帯決議のところにも、自立に至る経路や自立のあり方については可能な限り個々のホームレスに配慮した多様な形で認められるべきとありまして、その辺はかなりデリケートな問題ですので、入所に関しては丁寧に配慮して行っていただきたいと思います。

 ホームレスの関連でもう1点ですが、ことしの2月の議会で、現年度の市第125号議案で横浜市廃棄物等の減量化・資源化及び適正処理等に関する条例の一部改正がありまして、支援活動を行っている方々の間ではアルミ缶抜き取り防止条例と呼ばれているものですけれども、これに関してホームレスの側からは、アルミ缶を集めて生活費に充てている方がかなりいらっしゃるので、大変大きな問題になっていると思います。私自身、パトロールをやっている方にちょっと聞き取りをしてほしいということでお願いをいたしました。実際パトロールをしている方々は夜回りが中心ですから、昼間アルミ缶を集めている方にヒアリングしたことはないということで、今回初めてその方々に一人一人出会ってヒアリングをしてくれました。そういう意味でとても貴重な調査ができたかなと思うのですが、その中でどこに持っていっているかとか、どのぐらい集めてきているかわかってきていまして、大概つぶしてポリ袋に満杯に詰めて運んでいらっしゃいます。ポリ袋満杯で大体10キロ入って、1袋で大体1,000円になるそうです。大体3つぐらい自転車に積んで運んでいくと1回で3,000円ぐらいになるということで、それでもってやっていくと1カ月当たり大体3万円から4万円ぐらい。夏場は飲料を飲む方がふえるので金額もふえるけれども、それでも5万円になることはまずないということでした。

 それでいうとホームレスの全国実態調査を行っている中で、73.3%の人が現在の収入は廃品回収から得ていると答えていますし、それから月額の収入が1万円から3万円だと答えている人が3分の1以上で、ここが最多ですけれども、実態としてだんだん合致してくると思うのです。そうするとやはりある部分のホームレスの方々は、アルミ缶を集めることによって今現在の生計を何とか立てているという実態があると思うのですが、4月1日以降、実際にアルミ缶を集めている人たちが、地域の住民から、今はおじさんが持っていってくれているから掃除が楽でいいよという声を聞いている人もいるけれども、実際に地域の住民から、おじさんたち、今度それを取ったら4月1日から泥棒になるよと言われている人もいるということです。今回のこの条例は環境事業局がG30を推進していくという目的において成立させたものですけれども、福祉局としてはホームレスは援護課で援護の対象として支援してきたという立場があります。そうする今回4月1日からアルミ缶を抜き取ったら泥棒になるよと一言で言ってしまえばそういう状況になった中で、福祉局としてはどのような見解をお持ちになるのかお伺いたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 環境事業局の方からその話についていろいろ情報をいただいたり相談しておりますが、現在のところそういった方が集めている地域、例えば西区ということになれば、西区と相談いたしまして、その地域の人や缶を所有することになる方々に、ごみを出す場所以外に特定の場所をつくっていただいて、そこからは持っていっても構わないというふうに別に出していただくといった地域との話し合いをしたい。市が決めているところから持っていくことは許されないけれども、地域の方々がこっちに置いたものはいいという形で出してくだされば、そこからは徴収することができるので、区役所とも協力して分けて出していただくようなことができないか話をしていきたい。ほかの事業に取り組みたいといっておられるホームレスの方々もいらっしゃいますが、あくまでこういう事業をやりたいという場合は、そういう仲立ちができないか検討したいと思っております。

◆(米盛委員)

 今西区の例を出されましたけれども、それは団体があるということだと思います。現実にアルミ缶を集めている人が多いのは鶴見区と港北区です。それは買い取り業者が川崎区が一番高く買い取っていたので、そこに近い鶴見区と港北区から持っていきやすい。川崎が高くて川崎へみんな行っていたので、実は鶴見区の業者も値段を上げています。川崎よりも鶴見の方が若干5円くらい安いけれども、持っていく手間を考えると鶴見区の方へ持っていくようになったという人もいるので、基本的には鶴見区と港北区に横浜市内では多いということと、もう1つは、やはりホームレスの方々は一人一人独立した方々です。今の話は環境事業局から伺っていますけれども、一人一人独立していてなかなかまとまらないという方々のところで、まず団体を組むということは御本人たちとしては当然無理なことですし、独立していかないのであれば、すぐにはまかぜに入ってきて自立に向かっていくなり何なりとても簡単にいくと思うけれども、それがなかなかいかないところはホームレスの方々の独自性みたいなところもあると思うので、今おっしゃった環境事業局の話はなかなか現実味がないお話だと思うのです。そういうところでやはりどうしていくかと言えば、御当人たちからはアルミ缶がとれなくなったら、万引きとかそういうことをする仲間がふえるんじゃないか。人に迷惑をかけたくないから公園なんかで寝起きをして、そしてアルミ缶を売って生活しているんだと。それができなくなると本当に悪いことをする仲間が出てこないとも限らないという意見がありまして、本当に悩ましい問題だと思います。福祉局としては援護の対象としてホームレスをこれまで考えてきた、法もできたので自立に向けてやっていくということで、基本計画をつくっている最中ですが、そういうところも考えると、何らかの福祉局サイドのもう少しホームレスの立場に沿った実効性のある見解みたいなものを出していただけないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

◎(田中福祉局長)

 例えばアルミ缶の回収にかわる新しい事業を特定のホームレスに委託するということはなかなか困難だと思っています。一部の方のようにアルミ缶の回収から他の事業に展開したいという御相談があった場合には、それがお一人であっても、二人であっても所管の方で受けて、その事業が展開できるようなアドバイスなりお手伝いをさせていただいているところですが、個別の方が直接行政あるいは地域と話し合うことが難しいと把握できた場合は、区役所の方で地域の方々と話し合いを持つなど、一定の理解を得ることができないかとか、最大限やってみたいと思います。それで具体的に解決できないということがあれば、また、そのときに検討してみたいと思います。

◆(米盛委員)

 最大限やっていただけることを要望いたします。全国調査の中でも問の34番ですが、アルミ缶回収など都市雑業的な仕事という文言が入っていて、ここで考えれば国でつくった全国調査のときには、アルミ缶回収を都市雑業的な仕事として位置づけていたと読めますので、都市雑業という観点から4月1日以降事件が起こってこないように、ぜひよろしくお願いいたします。

◎(横山生活福祉部長)

 先ほどの御質問でシェルターの国の補助金ですが、1,600万円程度と申し上げましたが、国基準の2分の1ということで約850万円です。訂正させていただきます。

◆(荒木委員)

  最後に、寿地区のホームレス対策事業について伺いますが、特に寿生活館へ調査に伺ったときに、結核対策で職員が治療にもなかなか行かない方たちのフォローをしたということで、それだけの要因ではないようですが、結核撲滅の推進をしてきたということで横浜市が表彰を受けたと衛生局からお聞きしました。結核を撲滅していくという動きでは、寿地区の方たちはなかなか継続して治療にかからない。薬もまともに飲まないということがありながら、実際に寿生活館の職員の人たちが対応を丁寧にしていることによって、治療の向上にも向けたということは、残念ながら私たち表に見えなかった部分です。寿生活館の職員の功績も含めて、今後そういうことがあったらぜひ議会や市民にも知らせていただきたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 年末年始対策を行う際に当たっても衛生局の御協力をいただきまして、健康診断などしている中で、急性期の結核の患者さんなども発見されて、即入院やあるいは正月明けるまで待ってもらいたいというような方については住所をお聞きし、その後もフォローして治療に結びつけていくことができたと聞いております。財団法人寿町勤労者福祉協会もありまして、寿生活館だけでなく、一体的に寿地区で発生しています課題に対して、子供から高齢者までどのように取り組むことが必要かについて、きめ細かい事業を展開して進めておりますので、今後も診療所や支援を受けながら、健康管理対策についても福祉局として取り組むべき点については取り組んでまいりたいと思っております。

◆(荒木委員)

 職員だからこそ、きちっとケアもしてフォローもできるという点でいくと、寿地区に限らずホームレス対策というのは自立支援に向けて、はまかぜもありますけれども、それぞれ政策的にも違う分野でお互いに協力しながらやっているという点については、寿生活館の運営も含めて今後の課題としては統合の方向ということは聞いていますけれども、職員ならではの動きということもありますから、ぜひ現場の声を聞いていただきたいと思います。


 【 平成15年第3回定例会-09月18日−09号 】

◆ (横山栄一君)

次に、ホームレス対策についてお伺いをいたします。(「外来語だ」と呼ぶ者あり)

 私は、片仮名語が余り好きではないので、以下ホームレスを屋外生活者−−私が小さいころはこじきと言ったのですが、差別用語でこれは言ってはだめだといいますので、こじきとは言わず屋外生活者、ホームレスという言葉も好きではないので屋外生活者という言葉をきょうは使わせていただきます。(私語する者あり)

 屋外生活者については、この市庁舎周辺に限定すれば、中田市政になって最近ほとんどその姿を見なくなり、そのこと自体は大変喜ばしいことであります。一方、目を全国に転じれば、景気の低迷とそれに伴う厳しい雇用情勢が続いていることから屋外生活者は増加しており、抜本的な屋外生活者対策の実施が求められております。

 ついては、初めに、大都市ではどこでも屋外生活者を町じゅうで見かけることがありますが、屋外生活者の全国的な実情等についてお伺いをいたします。

 また、大阪を初め他都市では多くの屋外生活者が公園等で生活をしていますが、横浜市の現状についてお伺いをいたします。

 大規模な公園や河川敷等に屋外生活者が相当数の小屋などを常設して定住しているようですが、市の中心部において公園や道路等の屋外生活者に対して公の施設の管理者としてこれまでどのような対策を講じてきているのか、お伺いをいたします。

 また、横浜市は他都市と比較して屋外生活者数が少ないようでありますが、どのような理由によるものなのか、また、こうした人に対して横浜市としてどのような施策を行っているのか、お伺いをいたします。

 屋外生活者対策については、一つの地方自治体ですべて対応することは不可能であり、国や県との役割分担や近隣市町村との連携も必要であると考えます。そこで、昨年成立したホームレスの自立の支援等に関する特別措置法−−国でホームレスと決めてしまったらしいんです、国会議員の人が−−に基づき、ことし7月には国から基本方針が示されておりますが、その趣旨と本市の取り組みについてお伺いをいたします。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)

 屋外生活者対策において必要な援護を行うことも必要でありますが、何よりも自立を図ることが重要であります。そこで、自立支援の取り組みについてお伺いをいたします。

◎市長(中田宏君)

続いて、ホームレス、これは屋外生活者というふうに言わせていただくようにいたします。

 屋外生活者の実情等についてであります。ことし1月から2月にかけて屋外生活者の実態に関する全国調査が実施されまして、全国で約2万5,000人が確認をされています。生活場所は、公園が48.9%、河川敷が17.5%、道路が12.6%となっておりまして、平均年齢は55.9歳となっています。また、屋外生活者に至った理由は仕事の減少と倒産失業が3分の2となっておりまして、体の不調を訴える者が約半数を占める一方で、就労自立を希望する者も半数に及んでいるという全国調査の結果が出ております。

 本市の屋外生活者の現状についてでありますが、市内の屋外生活者の数は昨年8月時点で712人でありましたが、ことし1月では470人と減少しております。これは季節変動もありますが、自立支援施設のほかに民間の低額な宿泊所が急激にふえていることが要因の一つであると考えられます。また、屋外生活者の生活場所としましては、河川敷が36.2%と最も多く、次いで公園が21.4%、道路が10%となっておりまして、全国と比べて公園に定住している屋外生活者が少なく、夜間だけ滞在している移動型屋外生活者が多いのが横浜市の特徴となっています。

 公園や道路等の屋外生活者対策についてでありますが、公園や道路などに定住している場合は区役所の福祉保健センターと連携をして自立支援施設への入所を促すなど、屋外生活者の自立支援に向けた対策を講じてまいりました。

 本市の屋外生活者施策についてでありますが、全国調査の結果では、横浜市は全国の市区町村では7番目というぐあいになっております。本市では以前から給食、宿泊援護等の緊急援護対策事業を適切に実施してきたところでありますが、平成6年度から全国に先駆けて市独自に屋外生活者の緊急一時保護施設を設置したことが他都市に比べて屋外生活者の数が少ないという結果に結びついていると考えています

 基本方針の趣旨と本市の取り組みについてでありますけれども、基本方針では、屋外生活者がみずからの意思で安定した生活を営めるよう支援し、地域の実情に応じた施策を実施するという基本的な考え方が示され、県及び市は基本方針に基づき実施計画を策定し計画的に施策を実施することが求められています。また、本市の計画策定は神奈川県の計画策定と並行して作業を進め、年度末までに策定をしたいと考えております。

 自立支援の取り組みについてでありますが、本年6月に自立支援施設はまかぜを移転再整備しまして、職業相談員の配置や技能講習の実施等により就労支援機能の充実を図っているところであります。また、各区福祉保健センターでの窓口相談や、公園、道路等の施設管理者と連携した街頭相談の実施により自立支援へ向けた取り組みを進めております。さらに、屋外生活者対策は広域的な対応が不可欠であることから、県に対してもその役割を果たすことを求めていきたいと考えています。


 【 平成15年第1回定例会-02月13日−01号 】

◆(荒木由美子君) 私は、日本共産党を代表して、今議会に上程された諸議案について市長に質問いたします。

 まず、市第122号議案横浜市ホームレス自立支援施設条例の制定についてです。

 この条例は、昨年7月31日に成立したホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定されたことに伴い、ホームレスに対し一時的な宿泊場所を提供し自立支援をするための施設として横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜを設置するものです。

 いわゆるホームレスに至る要因はさまざまですが、最近急増している主要因は、長引く不況による失業で収入を断たれ住居を追われた結果であることは明白です。現に、会社が倒産し失業して1年になる、リストラに遭って失業保険で1年間は暮らせたが、仕事が見つからない、蓄えもなくなったなど、失業の長期化を裏づける深刻な訴えが我が党にも寄せられています。まさに、ホームレス問題は、企業の解雇を野放しにするなど政治の貧困が大もとにあることは明らかです。厳冬期にあって野宿生活を余儀なくされている人々は、食事も十分でない過酷な環境下での体調悪化や体力低下から凍死、病死者が出るなど全国的に悲惨な状況に置かれています。ボランティアやNPOの救援活動も行われていますが、ホームレスの増加に追いついていないのが現状であり、人道上、一刻も放置できない段階になっています。ホームレスは、小泉政権が進めてきた不良債権の最終処理を初めとする経済改革によって急増しており、政府が責任を持って解決することが求められるものです。このように過酷な状況に置かれているホームレスの方たちに対して一時的な宿泊場所を提供し生活指導等を行い、その自立を支援する施策を本市として行うことこそ今積極的に求められています。

 そこで、この自立支援施設はまかぜを設置するとのことですが、この施設の定員は226人現在暫定的な自立支援施設としてあるまつかげ一時宿泊所の定員は204人で、新たにふえる定員枠は22人となっています。本市が昨年8月時点で調査した屋外生活者は712人で、7年前の340人との比較でも人数では倍以上にふえているのが現実です。

 このような状況でありながら、今回の自立支援施設はまかぜの定員は22人の増にとどまっていますが、これでは実態に見合っていないのではありませんか。法第6条、地方公共団体の責務として、自立の意思があるホームレスに対し住宅への入居の支援等による安定した居住の確保など実情に応じた施策を策定し及び実施をするものとするという点からすると、その責務を果たしていると言えるのか、市長の見解を伺います。

 また、法第9条の第2項において、市町村において基本方針と実施計画を策定しなければならないとありますが、計画策定はいつか、伺います。

 自立支援施設はまかぜにおける事業として雇用の場の確保に関する指導及び支援とありますが、雇用の確保こそ厳しいのが現実です。最近の雇用状況を見ても、統計調査によれば、12月時点において神奈川県での有効求人倍率は0.53、横浜市は0.57、全国平均でも0.58と依然として厳しい状況です。法第3条第1項第2号にはホームレスのための就業の機会の確保をすることになっていますが、本市としては具体的に就業の機会の確保をどうしていくのか、伺います。

 本市の独自施策として、公共工事等施工に伴う日雇い労働者の雇用について、市長名でお願いということで、工事請負会社に対して、施工に当たり寿地区の日雇い労働者の雇用について特段の御配慮を賜りますようお願い申し上げますと文書での依頼を行っているとのことですが、このような独自にできる努力も含め拡充されることを強く要望するものです。

 社会福祉事業法において、第二種社会福祉事業宿泊所が届け出制であることで、横浜市においても3年前からNPO法人等で運営されている民間の宿泊所が16カ所とふえています。この民間の宿泊所については、NPO法人格は県の許認可ですが、個人、任意団体であっても事業の届け出を市の福祉局にすれば宿泊所を運営することができるとなっています。しかも、これらの民間の宿泊所についてはガイドラインがあるだけで、例えば職員については、施設長を除く職員は可能な限り社会福祉主事の資格を有する者を配置することとなっており、努力規定にとどまっています。職員に社会福祉主事の資格を有する者がいるかどうかで、結局はその宿泊所を利用するホームレス等の方たちに対するケアの方法が全く違ってしまうのではという危惧を持たざるを得ません。

 そこで、これらの民間宿泊所について本市はどのように実態を把握し指導をしているのか、具体的にお聞きします。

 これまでにも、東京、横浜、川崎、大阪、名古屋の5都市が主催した簡易宿泊所密集地域等所管課長会議において2000年の7月に行われた議題に、民間の宿泊所における問題について横浜市から提案したことがあると聞きました。その内容は、横浜市にかつて98年11月に、ある政治団体から宿泊事業を開始した旨の届け出があり、同団体は翌年の3月末に撤退しましたが、この届け出の受理に当たっては届け出制であること、そして運営基準及び設置基準が定められていないことから本市として対応に苦慮した経緯があり、結局それは地方自治体が示すガイドラインでは限界があるということです。

 そこで、国に対し指導指針や設置基準を示す等、対策に乗り出すよう意見を上げるべきと考えますが、市長の見解を伺います。

◎市長(中田宏君) お答え申し上げます。

 まず、市第122号議案に関連する御質問でありますけれども、自立支援施設の定員についてであります。本市では急激なホームレスの増加を踏まえて、平成12年度にまつかげ宿泊所の定員数を70人から204人に大幅に拡大いたしました。今回定員枠をさらに22人ふやすわけでありますが、入所期間は最長で6カ月としており、通過型の自立支援施設であること、ホームレスの数に対する整備率が他都市よりも高いことから、必要な定員数は確保できると考えております。

 実施計画の策定時期についてでありますけれども、国の基本方針が6月末ごろに策定され、7月には都道府県等に説明会を開催する予定であると聞いています。法律で市町村の実施計画は国の基本方針及び都道府県の実施計画に即して策定するよう定められており、本市の計画策定は、神奈川県の計画が策定され次第速やかに行いたいと考えます。

 就業の機会の確保についてですが、本市ではまつかげ宿泊所入所者に対する職業相談員による就労相談や本市公共事業落札業者への要請等を行っておりますが、就労支援には広域的な対応が必要でありますので、引き続き国、県に働きかけを行ってまいります。

 民間宿泊施設の現状と指導についてですが、現在、横浜市内ではNPO法人等の5団体が宿泊施設を開設いたしており、合計で16カ所、定員600人となっております。本市では、民間事業者に対して、社会福祉法の基本的理念や保護施設等の類似施設の最低基準等を踏まえた本市のガイドラインを示すなど、入所者の処遇や居住環境について指導をいたしております。

 民間宿泊事業者への指導についてですが、民間の宿泊施設については、社会福祉法により、事業開始後1カ月以内に本市に届け出ることにより法人格を持たない任意団体でも事業を行えることになっております。御指摘のとおり、個々の自治体での指導では限界があります。よって、国が施設の運営等について基準等を示す必要があると考えており、機会をとらえて国に働きかけを行ってまいります。

◆(梅野りんこ君)

 私は、神奈川ネットワーク運動横浜市会議員団を代表して、今議会に提案された議案のうち、市第122号議案横浜市ホームレス自立支援施設条例の制定について及び市第129号議案横浜市地域ケア施設条例の一部改正について何点か市長に伺います。

 初めに、市第122号議案横浜市ホームレス自立支援施設条例の制定について伺います。

 日本経済の低迷は10年以上にわたっていまだ出口が見えず、景気の停滞の中で雇用情勢はますます厳しさを増してきています。近年、欧米諸国の失業率が低下傾向にあるのに対し日本では失業率が年々上昇し続けており、その中でも若い人と中高年男性の失業率が高いのが日本の失業率の特徴と聞いています。特に中高年世代のリストラや自殺者の増加など悲惨な問題は毎日のように報道され、深刻さをきわめています。にもかかわらず、国では構造改革というにしきの御旗のもと、これまでの日本社会を中心となって支えてきた人々に対しさらに痛みを強いる政策がメジロ押しです。しかも、その政策が大した痛みを感じなくても済む立場の人たちによってつくられていることが問題をより厳しくしています。

 セーフティーネットが十分でない私たちの社会では、失業することはそのまま回復できない転落を意味することにもなりかねません。失業によって住宅ローンは破綻し、子供の教育も中断を余儀なくされ、家族が崩壊に至るなど、普通の生活をしていた人たちがあっという間に生活の基盤を失う怖さが今の日本にはあります。状況によってはだれがホームレスに身を落としてもおかしくない、これが私たちの国の偽らざる現実です。しかし、まじめに働く人たちがその人の落ち度でもないのに生活できなくなるような社会は、どう考えても公平、公正な社会とは言えません。戦後50年以上にわたって私たちが平和な国をつくろうと努力してきたのは、こんな正直者がばかを見るような社会のためではなかったはずです。この社会の建て直しは、これまでの苦い経験からいって国に任せていてもうまくいくとは思えません。改革の手がかりは国ではなく地方にあるのだと確信し、21世紀の今こそ地方の側から市民の知恵を集めて政策提案を行っていく時代だと考えています。地方とそして市民の持つ力は増大しつつあり、中田市長が民の力が存分に発揮される社会を目指されたことに私は大変共感する次第です。

 さて、昨年8月には議員立法でホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定され、横浜市でも緊急一時避難場所まつかげ宿泊所を移転して新たに横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜが設置されるということですが、横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜ設置の経緯及びその趣旨について市長にお伺いいたします。

 新しいホームレス自立支援施設はどのような支援を行うのでしょうか、また、これまでの施設と比べ機能強化すると聞いていますが、具体的にはどのように行うのか、伺います。

 ホームレスの人たちはさまざまな問題を抱えていることが予想されます。その支援対策には自立支援施設という建物の拡充だけではなく自立に向けた総合的できめ細かな相談体制が不可欠と考えますが、どのように充実していくのか、伺います。

 今の社会で雇用の問題が一番大変なのは明らかです。しかし、ホームレスの人々の自立支援には就労の問題は欠かせません。大阪市では高齢のホームレスに対して清掃労働などの特別就労を用意する例があるとも聞いています。また、ホームレス支援のNPO団体の中には、ホームレスをホームヘルパーにする活動を起こし、既に何人かのホームヘルパーが誕生し派遣を行っている例もあると聞いています。

 今回、自立支援センターの支援の中でも特に就労支援が困難となることが予測されますが、現状はどうなっているのでしょうか、また、今後労働政策を担当する国や県との連携強化を図って対策を講じていく必要があると考えますが、市長の見解を伺います。

 自立支援施設入所は原則1カ月、仕事探しの場合には6カ月まではいられるということを聞いていますが、ホームレスだった人の部屋探しは保証人の問題も含め簡単にはいかないことが予想されます。しかし、自立のためにはひとり立ちが必要です。ホームレス自立支援施設を退所した後の住居の確保が重要であると考えますが、どのような支援を行っていくのか、伺います。

 前に寿町を訪れた折に、最近は痴呆性高齢者や精神障害、また知的障害や時には交通事故による高機能障害で、見た目にはどこも悪くないのに記憶障害などを持つ人たちが、雇ってくれるところもなく、普通に生きられずに寿町に流れ着いてきているという話を聞きました。本来はホームレス対策での救援ではなく、医療や福祉の援助が必要な人たちがこうしたところに来るまで支援の手が得られない社会の現状に暗たんたる思いになりますが、ホームレスの中のこうした痴呆性高齢者や精神障害、知的障害などハンディキャップを持つ人々への支援はどのように行っていくのか、伺います。

 また、このところ、女性のホームレスも全体的な数が少ないとはいえ、ふえてきているように思います。特に女性がホームレスになる過程には男性と違ってドメスティックバイオレンスなどの複雑な問題も絡んでいることが予想され、難しいケースが多いと思われます。また、路上生活をする中で女性であるがゆえの暴力被害に遭ったりする例も考えられ、その救済には緊急性が高いと考えられます。女性のホームレスに対する支援はどのように行っていくのか、伺います。

 ホームレス支援の市民団体は数多く、最近では大学生など若い人たちの参加も広がって、支援される側にもする側にも得がたい経験と喜びをもたらし、ここでも市民が大きな力を発揮しています。ホームレスに対するNPOなど市民団体の支援活動は大変重要です。行政としてはこのような民間の支援団体と緊密な連携を図ってより効果的に自立支援を行っていくことが求められていると同時に、また、支援団体間のコーディネーター役を果たしていくことが行政の重要な役割として求められていると考えますが、市長の見解を伺います。

◎市長(中田宏君) お答え申し上げます。

 市第122号議案に関連する御質問をいただきました。

 ホームレス自立支援施設はまかぜ設置の経緯及びその趣旨についてでありますけれども、現行の自立支援施設まつかげ宿泊所は、平成6年度に設置されたプレハブの暫定施設でありまして、整備費の国庫補助制度の創設に合わせまして、自立支援機能の強化、居住環境の改善を図るため、平成12年度より寿地区に恒久施設として再整備する計画を進めてきたところであります。

 自立支援施設の機能強化についてですが、ホームレス自立支援施設では、宿泊援護のほかに生活指導、健康相談、就労支援、居所の確保等自立に向けて幅広い支援を行っています。また、施設の移転再整備に伴い、居住環境等の改善を図るとともに、自立支援に向けた個別処遇の充実や生活指導員に加えて看護師等の専門職を新たに配置する等機能の充実強化を図ってまいります。

 ホームレスに対する相談体制の充実についてですが、従来から関内駅、横浜駅等での夜間街頭相談や寿生活館等において生活相談等を実施いたしておりますが、平成15年度には新たにホームレスの巡回相談事業を市内全域で実施して相談援助体制の充実をさらに図ってまいりたいと考えております。

 就労支援の現状及び国、県との連携強化についてでありますが、本市ではまつかげ宿泊所入所者に対する公共職業安定所からの派遣相談員による就労相談、本市公共事業の落札業者に対する日雇い労働者雇用の要請等、こうした就労支援を行っております。

 また、就労支援については、御指摘のとおり関係機関の連携強化が必要だと考えておりますので、引き続き労働政策を所管する国、県に働きかけを行ってまいりたいと考えています。

 住居の確保に対する支援についてですが、自立支援施設退所後の住居の確保は自立する上で重要な問題だと考えておりますので、自立支援施設の移転整備に伴って住宅相談員を配置するなど住居の確保の円滑化を図ってまいるようにいたします。

 障害等を抱えるホームレスに対する支援についてですが、夜間街頭相談や市民からの通報等によって疾病、障害等を抱え緊急保護を要するホームレスの存在を把握した場合には、各区の福祉保健センターにおいてケースワーカー、保健師等が生活保護や医療、福祉、保健施策の適用等について必要な相談援助を行っております。

 女性のホームレスに対する支援についてですが、ホームレスは圧倒的に男性が多いものの最近では本市でも女性を見受けるようになってきており、本市では平成12年度から全国に先駆け、唯一自立支援施設に女性の入所枠を設けてまいりました。DV等の問題があり、放置すればホームレスになる可能性の高い女性に対しては、一時的に自立支援施設でも受け入れ、その間に各区福祉保健センターの女性福祉相談員や婦人保護施設等と連携を図って自立への支援を行っております。

 支援団体との連携についてですが、最近ではホームレスを支援するNPO団体も活動を始めていますが、従来からさまざまな支援団体、ボランティアによりパトロールや炊き出しなど地道で継続的な支援活動も行われてきました。ホームレスの自立支援は行政と支援団体、ボランティアのより一層の連携が重要でありまして、支援団体相互の連携協力についても本市がその調整役、コーディネーターを果たしていく必要があると考えております。


 【 平成14年 決算第一特別委員会-10月02日−03号 】

◆(花上委員)

 次に、ホームレスの話に移ります。

 先日、TBSテレビの報道特集で横浜のホームレスを放映していました。私も見ました。市長もごらんになったと思いますけれども、横浜では寿地区緊急援護対策事業としてパンの券とか宿泊券の交付が行われておりますが、福祉局長、ホームレス対策はどうなっていますか。

◎(田中福祉局長)

 横浜市では従前より寿地区緊急援護対策等のホームレス対策に取り組んできております。こういった従前からのホームレス対策が功を奏したということで、全国的に見ましても、他の大都市に比較してホームレスの数は非常に少ない状況でございます。また、このパン券、宿泊券という給食宿泊援護費等につきましては、どちらについても平成14年度は1億9,000万円余りの実績を上げる事業として展開しております。

◆(花上委員)

 ホームレスというのも、調べてみますといろいろな方がいらっしゃいます。病気でどうにもならない人もいれば、家を捨て、ふるさとを捨てて出てきた人もいる。また一方で、まじめに働いて社会復帰をしたいと、そういう強い願いを持っている人がいることもわかりました。

 そこで、いろいろな方々がいらっしゃる中で、ゆえあってホームレスにはなったけれども、まじめに生きていこう、できるだけ行政にすがらずに自立していきたいということをおっしゃっている、また、事実そういう運動をしている方もいらっしゃいますので、このあたり、市長として自立支援、できるだけホームレスという人たちをなくしていくというための支援体制というのは横浜は先進的にやっていっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょう。

◎(中田市長)

 自立支援に当たっては、自立への意欲というものが御本人にあるうちに早期に対応していくということが効果的だと思います。具体的には、雇用であるとか、あるいは住居を確保していこうと思っても、例えば債務があってなかなかそれができないというようなケースもあります。そういう意味では、そうした負債の整理など、法律的な対応も含めて本人の抱えているさまざまなそうした課題に対してきめ細かく相談支援ということに対して行政ができることについて実行していくということなどが必要なことだと思っておりますので、今後とも引き続き取り組んでまいりたいと思います。


【 平成14年 決算第一特別委員会-10月17日−12号 】

◆(米盛委員)

 昨年成立したホームレスの自立支援等に関する特別措置法に基づき、ことし1月全国実態調査が行われました。ホームレスの中でもさまざまな考えを持った人がいると思いますが、ホームレス自身がどんな生活を望んでいるのか、実態調査から明らかになったことを伺います。

◎(田中福祉局長)

 調査の結果でございますが、今後の希望について、きちんと就職して働きたいが49.7%で最も多くなっております。次に、今のままでいいが13.1%、行政からの何らかの支援を受けながら軽い仕事がしたいは8.6%、福祉を利用して生活をしたいというのが7.5%、アルミ缶回収など都市雑業的な仕事をするというのが6.7%という結果になっております。

◆(米盛委員)

 さて、本市では1994年松影町に暫定施設としてまつかげ宿泊所をつくり、この後継施設としてことし6月自立支援センターはまかぜをオープンしました。その利用状況について伺います。

◎(田中福祉局長) はまかぜが開所いたしましたことし6月から8月までの入所延べ人数は521人、退所延べ人数は505人となっております。また、現在在所者数は200人前後で運営しておりまして、ほぼ満員の状況でございます。

◆(米盛委員)

 現在の社会経済状況ではそう簡単には常勤就労につなげられないことも十分理解できますが、倒産、失業や仕事の減少が野宿生活に至った主な理由である人がそれぞれ3割おり、また野宿生活になってから1年未満の人が3割に達しているということでは比較的就労につなげやすいケースもあるのではないかと思われます。一人一人のホームレスのニーズは多様であり、自立支援のためにはきめ細かな対応が求められますが、はまかぜにおける自立支援はどのように行われているのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 各区福祉保健センターでの窓口相談や街頭相談などによりましてはまかぜに入所した人は、まず健康診断を行いまして、その結果、治療を要する場合は医療機関を受診して健康の回復を図っております。健康上の問題がなくて就労が可能な場合は、ハローワークから派遣されている職業相談員がおりますので、職業相談、紹介を行い、生活指導員と連携して就労支援を行っております。また、健康上の問題はないのですけれども、すぐに就労による自立を望めないという人もいらっしゃいまして、そういう方は生活改善や問題解決へ向けた支援を行うなど、個別状況に応じたきめ細かな対応に努めておるところでございます。

◆(米盛委員)

 はまかぜの利用実態からは、自立につなげられず再び路上に戻ってしまうケースも多いことがわかります。その理由は、社会経済的条件だけでなく、ホームレス自身が野宿を抜け出して社会復帰するというみずからの将来に対するイメージを持てていないことも大きな要因です。こうした自立に向けた意欲を引き出すようなプログラムも自立支援策の中には必要であると思われます。

 7月31日に発表された国の基本方針は、取り組み方針として民間団体との連携協力が不可欠であると明記しています。殊にNPO、ボランティア団体はホームレスに対する生活支援活動を通じホームレスとの面識もあり、個々の事情に対応したきめ細かな支援活動において重要な役割を果たすことが期待されると国の基本方針では評価しています。実際NPOなどボランティア団体はこれまでも行政がやり切れない支援、例えばホームレスの住民票の復旧の手続、債務整理、年金手続の代行、障害者手帳取得の手続の代行、就職時や民間アパートへの入居時の保証人などから行政の対象にしていない就職セミナー参加のための交通費の貸し付け、自己破産の際の予納金の貸し付けなども個別に対応して行ってきています。

 ホームレスの自立支援を図るためには行政だけでなくこうした民間の力を活用することも必要と考えますが、見解を伺います。

◎(田中福祉局長)

 寿地区やその周辺では、従来から先生のおっしゃいましたように民間団体がそれぞれの特徴を生かしてホームレス等の日常生活を支えるための自主的な活動を行ってきておりまして、今後ともそのような民間団体とは情報交換を行い、ホームレスの抱えている課題等について共通の認識を持ち、ホームレス施策に取り組んでいくことが行政としても必要であると考えております。

◆(米盛委員)

 これからは、民と官の役割分担を明確にし民に事業を委託する、あるいは助成金により団体の活動を支援するなどといった協働のあり方を探っていくべきと考えます。

 アパートを借りようとしてもホームレスであることを理由に断られたり、職についてもホームレスであったことにより周囲から差別を受けるという地域社会とのあつれきの結果また路上に戻るケースも少なくないようです。ホームレスの自立を進めるためには地域社会とのあつれきの解消が必要です。どのように市民の理解を深めていくのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 市民からはホームレスに対しましてさまざまな意見がいろいろな形で寄せられておりまして、すべての問題を即効的に解決することは非常に困難であると思っておりますけれども、自立に向けた支援を通しまして地域の中で安定した生活を営むことができるよう、一人一人の課題解決に向けて粘り強く対応していくこと、さまざまな団体と連携してこれを進めていくことが市民の理解を深めることにもつながっていくのではないかと考えております。

◆(森[敏]委員)

 次に、ホームレス対策について伺いたいと思います。

 9月の定例会においても一般質問で、またその翌日の新聞にも掲載されておりましたけれども、ホームレスが減少したようだ、こういうことでございますけれども、私にはそう感じられない状況が身の回りにあるわけでございます。市内には中区を中心にビニールシートやベニヤの小屋、そして夜には段ボールの小屋、ホームレスが多く見受けられております。それから、私がちょっと気になって入手した日経ビジネス、2003年7月7日に出されたアメリカのウオールストリート・ジャーナル紙が日本のホームレスの事情についてレポートした記事が載っているわけですけれども、これを見ますと、横浜も本腰を入れてやらないと大変な状況になるのではないかと感じたわけでございます。その中身をちょっと紹介しますと、大阪ではもう400人が大阪城公園のホームレスとして、自治会組織もできて、会長さんもできているということで、役所の方たちが交渉に行くときはその会長を窓口にいろいろやるという状況もありますし、新宿では何と段ボールの小屋のところにポストがありまして、そこにちゃんと郵便物が届く。日本の郵政省というのは大変優秀だなと思ったのですけれども、こういうこともあります。また、公園を整備するのに移動するために、職員が出かけていっていわゆる移転交渉をする。その交渉に当たるには、引っ越しに時間がかかるから3カ月待たなければいけない。こういうような行政のさまざまな執行をするのにも支障を来しているという現象が全国でもあらわれているというデータが出ておるわけであります。ちょっと見ますと、2003年の統計ですけれども、大阪が7,757人、東京が6,361人、愛知では2,121人、神奈川は1,928人と4番目でございますけれども、どんどんふえてきているというデータがございます。大阪では本当に手をつけるのがおくれたために、何と24億円の費用をかけてホームレス対策をした。アメリカでは60万人いるということで、アメリカのホームレス対策には何と200万ドル、250億円ぐらいお金をかけた。こういう実態のレポートもあるわけでございまして、そういった意味では今後横浜もホームレスの皆さんの生活環境や健康面についても考えなければならないということ、一面住民のトラブルにもつながると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。

 そのために確認の意味で、昨年8月と比べてことし1月の調査では大幅に減少したということですけれども、これまでの推移はどうなっているのか、伺いたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 平成8年8月の全市調査では340人でございましたが、以後毎年増加いたしまして、平成11年が794人とこれまででは最高でございました。その後、平成12年、13年と減少いたしましたが、昨年は712人と増加に転じております。しかし、ことし1月の全国調査のときの結果では横浜市内は470人と大幅に減少した状況でございました。また、ことし8月に実施した全市調査では少しふえまして531人となっております。

◆(森[敏]委員)

 小屋などを建てて定住しているホームレスも目立つようになってきていますけれども、ホームレスのうち定住している人はどのぐらいなのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 ことし8月の調査結果では、531人のうち284人、53.5%が定住型ホームレスと分類されております。また、過去の調査でも最もホームレスの数が多かった平成11年には定住型が22.4%でしたので、この53.5%ということは定住型の比率が高まってきているということだと思います。

◆(森[敏]委員)

 横浜市には寿地区という東京、大阪に並ぶ簡易宿泊所の密集地があるわけですが、寿地区緊急援護対策という事業が実施されておりますが、その目的と実績はどうなっているのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 寿地区緊急援護対策事業は、もともとは寿地区での日雇い労働者が仕事につけなかった日の援護施策でございましたが、現在ではホームレス対策としての役割も果たしております。中区において面接の結果、保護が必要と判断された人に対し給食、宿泊援護を行っており、平成14年度の実績は給食援護、パン券でございますが、26万8,405枚で1億9,432万円余り、宿泊援護、宿泊券でございますが、13万3,604枚で、1億9,952万円余りとなっております。

◆(森[敏]委員) ことし6月に自立支援施設のはまかぜが開所したと。先ほどの質問では521人ぐらいが利用して、200人前後が今入って満員状態。利用状況はわかりましたけれども、区別の利用状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 平成15年6月から8月まで3カ月間はまかぜを開所して利用しておるわけですが、利用者数は先ほどもお答えしたとおり延べで521人となっておりますが、区別に見ますと最も多いのがやはり中区でございまして396人と全体の76%を占めております。次が西区で36人、6.9%、次いで鶴見区と神奈川区がおのおの19人で3.6%となっております。

◆(森[敏]委員)

 はまかぜはまつかげ宿泊所に比べて自立支援機能を強化したと聞いておりますけれども、入所者のうち就労ができた人はどのぐらいなのか、伺いたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 はまかぜには職業相談員がハローワークから3人派遣されてきておりまして、職業相談の結果、職業紹介したものが昨年1年間で100人であったものがことし6月から8月までの3カ月間で103人にまでふえております。また、土木建築業、製造業等で常勤就労が決定したものが昨年1年間では27人でございましたが、ことし6月からの3カ月間で既に19人となっておりまして、就労支援の強化が図られていると思っております。

◆(森[敏]委員)

 国もホームレス対策として公共職業安定所におけるトライアル雇用という事業が始まったそうでございますけれども、その内容はどういうものなのか、また、横浜市としてはどのような取り組みをしていくのか、伺います。

◎(田中福祉局長)

 トライアル雇用といいますのはハローワークの所管事業でありますけれども、事業主が中高年齢者や障害者等の対象労働者を3カ月間試行雇用、試しに使ってみるという場合に月額5万円の奨励金を支給し、試行雇用期間中に対象者の適性や能力を見きわめることができるようにすることで雇用のきっかけづくりを図ろうとする制度でありまして、これが今年度から対象者が日雇い労働者、ホームレスにも拡大されたというものでございます。

 本市といたしましても、国、県の労働行政機関との連携を強化いたしまして、この自立支援施設入所者に対する就労支援に努めており、このための研修を12人が受けたというような実績がございます。

◆(森[敏]委員)

 民間企業にとっては3カ月とはいえ5万円の補助が出るということで雇うには有効的な手段かなと思うわけでございますけれども、ホームレス問題の解決のためには引き続き抜本的な対策を講じていかなければならないと考えます。横浜市としてホームレス自立支援事業にどのように今後取り組んでいくのか、この制度もありますけれども、お聞かせいただきたいと思います。

◎(田中福祉局長)

 6月に移転再整備いたしました自立支援施設はまかぜにおける自立支援事業を中心に各区福祉保健センター等での生活相談や夜間街頭相談事業に加えまして巡回相談事業を新たに近々実施する予定であり、引き続きホームレス問題の解決に努めていきたいと思っております。また、国の基本方針を受けまして神奈川県及び本市はホームレス自立支援実施計画を策定する必要がありますが、市の実施計画は国の基本方針と県の実施計画に即して策定することになっておりますので、県の策定に合わせまして横浜市でもこの実施計画を策定していきたいと。ホームレス対策はかなり広域的な要素もございますので、県と歩調を合わせてこの実施計画を策定していきたい、これに沿って進めていきたいと考えております。

◆(森[敏]委員)

 先ほど御紹介させていただきましたけれども、大阪市や名古屋市では大規模公園の一部がホームレスのテント村と化しているために、自立支援施設のほかに、数が足りませんからシェルターを設置して対策を講じていると。横浜市でも中村川沿いなどに多くのホームレスが定住しておりますが、どのように対応していくのか、前田副市長に伺いたいと思います。

◎(前田副市長)

 ただいまのホームレスの件でございます。私は大阪に行きましてテントの量に圧倒されました。例えば先生も御存じだと思うのですが、大阪中心部の運河をめぐる遊覧船に乗りますと、遊覧船は橋の下をくぐるために姿勢を低くつくってあります。そうしますと、遊覧船に乗りますと、両側に見えますのは両岸にあります青テントだけという状況でして、全く両側に青いテントの波が延々と続くような状態になって大阪も非常に厳しい状況になっておりますので、このようになってはとても後から対策を講じても仕方がないということは痛感しております

 ですので、中村川沿いの対策も早急に手を打つことが必要だと思っておりまして、8月の調査では中村川沿いの道路に80人前後のホームレスを確認しております。定住型ホームレスが市内で最も集中している場所となっていることも確かでございます。つきましては、現在、中区、福祉局、道路局、環境事業局などの関係機関が参加した中村川・堀川沿い等ホームレス対策連絡会議を設置し対策に取り組んでいるところでございます。また、中区からはシェルター設置の要望が出されておりますが、ホームレス対策は道路管理と自立支援の両面から粘り強く対応していかなければならないとも考えておりますので、効率的な対策の進め方を関係局区でよく調整してまいりたいと思っております。

◆(森[敏]委員) 人権に十分配慮した行政の取り組みに期待をしたいと思います。

 この項で最後ですけれども、行政の対応の遅さによってまた固定化、定住化傾向にある。今取り組まないともっと解決策が困難なものになってしまう懸念があるわけでございます。来年4月にははまかぜに併設して寿生活館の機能を含めた寿福祉プラザが開設される。この機を逃さずに局区の役割分担を見直して、寿地区対策として局が積極的に事業の予算化、そして職員の配置もしながら対策を進めるべきではないかと思いますけれども、前田副市長の御所見を伺いたいと思います。

◎(前田副市長) 現在の寿地区におきましては急激に高齢化が進行しておりまして、また簡易宿泊所の建てかえなど、時代の流れとともに寿町のあり方も大きく変化しております。そのような状況の中で、寿地区の現状と今後の課題をどのようにとらえ、解決していくかという視点で地区対策のあり方を整理する必要がありまして、局区の役割分担も含めて検討を進めていきたいと思っております。

◆(森[敏]委員) 横浜のイメージカラーはマリンブルーだということですけれども、ビニールシートのブルーは余り歓迎できないと思いますので、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。


 横浜市その2