川崎市会4


平成14年 第2回定例会−0613-02

◆8番(東正則)

次に,ホームレス自立支援法についてお伺いいたします。ホームレス自立支援法案は,いまだ国会審議に入っていないとのことでありますが,この間,新聞でも賛否両論が展開されるなど全国的な社会問題として取り上げられています。論点としましては,人権的配慮を望む意見と,雇用政策としてどう職の保障を進めるか,結果として,公園,駅など公共空間に居住していることなどの対策に大別されると思います。市長は,就任してから7カ月経過しました。ふだんは駅を利用しているとのことですが,市長として現在のホームレスの現状をどのようにとらえているのか。そして,当面,1年程度のタームで何をなすべきなのか伺います。既に富士見公園に小屋がけが始まって10年が経過しています。地元では,ぜひ市長に考えを聞きたいということで,この間,何回となくタウンミーティングなどで市長の意見も拝聴いたしました。そこで,できれば公園の近隣の住民や幅広い市民からも意見を聞けるような協議会が設置できないか伺います。

さらに,現在,幾つかの法人がホームレスの自立支援ということを目的に,社会福祉法第2種適用施設を開設しています。この中には政治結社との関連も指摘されている団体もありますが,中にはまじめな法人もあり,そのような法人に対する援助についてどう考えるか伺います。また,自立支援センターについてでありますが,全国的にはどのような設置状況になっているのか,さらに,本市の取り組み状況についても伺います。

◎市長(阿部孝夫)

次に,野宿生活者対策についてのお尋ねでございますが,さきに政府から景気の底入れ宣言がございましたが,現状を見ますと,景気の先行きは依然として不透明な状況であると考えます。総務省が先月発表しました失業状況によりますと,4月の完全失業率は前月と同じ5.2%,完全失業者数は375万人と,前年同月比で27万人増加し,13カ月連続で前年同月を上回っております。このような非常に厳しい雇用状況を背景にいたしまして,本市を含めた大都市において,野宿生活者対策が従来にも増して取り組むべき課題になってきているところでございます。

 本市におきましても,JR川崎駅周辺から富士見公園一帯にかけて野宿生活をしている方が多数おります。このようなことから,市長への手紙等を通じて市民の皆様からのさまざまな御意見をいただいているところでございます。野宿生活者対策は大変困難ではありますけれども,その対策を効果的に推進するためには,広域的な都市問題としてとらえ,国の施策を柱にして,近隣の他都市と協調しながら,従来の緊急援護施策から自立支援施策への転換を図る必要があると考えているところでございます。

◎健康福祉局長(石野厚)

 健康福祉局関係の御質問にお答え申し上げます。

 初めに,野宿生活者対策についての御質問でございますが,まず今年度の重点的取り組みといたしましては,国の法案成立に向けた動向を注意深く見守りながら,自立支援施策の構築に向けて当面3つの対策に取り組んでまいります。1つ目といたしましては,野宿生活者の実態の正確な把握と分析を行う実態調査を実施いたします。2つ目は,実態調査報告の検討などを含め,基本構想の策定に向けて,市民各層の御意見を幅広く伺うため,公募市民を含めた市民各層各界の参画による市民協議会を設置いたします。3つ目は,それらを踏まえまして,国の法案との整合性を図りながら,野宿生活者の自立支援に向けた基本構想を策定いたします。

 次に,御案内の,野宿生活者の自立支援に取り組んでいただく民間法人への支援についてでございますが,他都市の状況などを参考にしながら慎重に検討してまいりたいと存じます。次に,自立支援センターの設置状況についてでございますが,現在,東京都に5施設,横浜市に1施設,大阪市に3施設が設置されております。本市の取り組みにつきましては,関係局を含めまして候補地の検討をしているところでございます。


 平成14年 第2回定例会−0624-05

29番(鏑木茂哉)

あと関連して,建設局長にお伺いするんですが,今,西口にやはり多く見られる路上生活者についてです。これは人権の問題という側面もありますから,現実的には言葉を選ぶようなこともあろうかと思いますが,現状,一般の人たちが西口にある公衆トイレに対しては,ふさがれていることはないんですけれども,とても使いにくいという,大変使うのに勇気がいるとか,そんなふうな訴えをされます。今後,整備が進んでいく中で,こうした路上生活者の問題の解消に向けての考え方,またこれは基本的にはいろんな問題があろうかと思いますけれども,そうした施策があるのか,伺います。

◎建設局長(鳥海勝男)

 川崎駅西口広場の野宿生活者対策についての御質問でございますが,川崎駅周辺の野宿生活者対策につきましては,道路管理者及び各公共施設管理者といたしましても大変苦慮しているところでございます。道路管理者といたしましては定期的にパトロールを行い,段ボール等の物件が通行に著しく支障を来している場合には,自主的に撤去するよう指導を行っているところでございます。また,所有者のいない不用物,ごみ等につきましては,生活環境事業所と連携を図りながら廃棄処分を行っているところでございます。

御指摘の箇所につきましては,JR敷地に沿って道端に段ボール等が設置されておりますが,道路上に物件を長期間設置することは好ましくありませんので,これらの物件撤去につきまして,西口の再開発事業も行われていることでございますので,今後,関係局とも協議しながら,その対応につきまして検討してまいりたいと存じます。以上でございます。

29番(鏑木茂哉)

 路上生活者の問題については,いろいろ大変な問題があって,ただ,東京なんかは,かなり強力に推し進めている背景には,そうした人たちが入るべき施設を整備するとか,そういうことを含めてやっていかないといけない問題もありますが,そういう施設は,どちらかというと迷惑施設にもなりかねない問題で,地域の人たちから喜んで迎え入れられるものでもありませんが,そうした整備も環境をいろいろ整えていただいて,これからの川崎駅の全体像をよくする上での何か検討をしていただきたい,そんなふうに要望しておきます。


 平成14年 第2回定例会−0625-06

◆5番(渡辺あつ子) 野宿生活者については要望にかえさせていただき,鷺沼プールの今後,保育政策,道路工事と街路樹の順に,一問一答で質問いたします。

 それでは健康福祉局長に,野宿生活者の自立支援と就労支援ということで要望いたします。国会の方でも,ホームレス法の成立の方向がやっと見えてきました。宮前区でも,多くのボランティアメンバーの支えによるNPO法人運営の一時入所施設が昨年11月に開設しています。入所された野宿生活者の方は,地域の皆さんと交流をしながら,自立に向けて就労活動をしていますが,この就労活動も大変困難な状況にあります。東京都や横浜市では,自立支援センターということでハローワークの巡回相談があるわけですが,市の自立支援センター開設まではもうしばらく日数がかかりそうです。厳しい雇用環境の中,国の緊急雇用対策もこうしたホームレスのところまでは届きません。市独自での就労支援の必要性を感じています。現状のニーズに合った支援の実現を目指すべきとも考えます。野宿生活者は,産業構造の中で,望んでいないのに路上で生活することを余儀なくされた状態であり,社会的課題でもあります。市民社会の助け合いの中で解決をしていきたいと思いますが,制度的な壁が幾つもありますから,一つ一つ協働で取り除いていきたいと思います。以上,要望いたします。


 平成14年 予算審査特別委員会−0308-01

◎鳥海勝男 建設局長

次に,自転車等第3駐車場の閉鎖でございますが,2年ほど前から2階部分を野宿生活者が生活の場としていたため,平成13年6月に退去させるとともに,侵入を防止するため,2階部分を閉鎖したものでございます。


 平成14年 予算審査特別委員会−0311-02

◆宮原春夫 委員

次は,健康福祉局長です。ホームレス,いわゆる野宿生活者は長期不況のもとで急増し,今や全国で3万人を超えていると言われています。本市でも現在901人の野宿生活者が確認されております。私ども日本共産党の国会議員団は,ホームレスに対して人間らしい一定のプライバシーが守られる,一息つける住居を確保することが最優先の課題である。そのためには,簡易宿泊所の空き部屋の借り上げや地域住民の理解と協力,ホームレスの皆さんの同意を得てシェルター,緊急避難施設の建設を急ぐこと。2つ目には,住所不定を理由にして生活保護の適用を一律に拒否することは,現在の生活保護法の運用基準からも逸脱しているものである。3つ目に,ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関が責任を持つことが重要です。とりわけ結核対策は万全の措置を講ずることが求められています。4つ目,仕事と生活できる賃金の保障,安定した職業につくための援助を強化することを厚生労働省に申し入れましたが,この4つの点で本市はどのような現状にあるのか伺います。また,国からはホームレス自立支援事業,ホームレス緊急一時宿泊事業,いわゆるシェルター事業などについて,事業の効果的かつ積極的な実施が図れるようにとの通知が来ているとのことですが,具体化に向けてどのように検討されているのか伺います。

◎石野厚 健康福祉局長

 野宿生活者,いわゆるホームレス対策についての御質問でございますが,初めに野宿生活者の住居の確保についてでございますが,野宿生活者対策にとりまして,居住先の確保は基本的な課題であると考えております。本市におきましては,民間の方が運営するビジネス旅館のベッド100床を借り上げ,緊急一時宿泊施設として活用するとともに,年末年始の越年対策事業におきまして,ビジネス旅館組合の御協力を得ながら,高齢者,病弱者等の野宿生活者に宿泊場所を確保し,生活の援護を図ってまいりました。今後につきましては,野宿生活者問題に対する国の基本施策を踏まえ,緊急一時宿泊用のシェルターや自立支援センターの設置等により居住場所を確保しながら,野宿生活者の自力更生に向けた支援を図るよう努力してまいりたいと存じます。その場合には,地域住民や関係者の方々の御理解と御協力が前提になると考えているところでございます。

 次に,生活保護の適用についてでございますが,国は生活保護の適用につきまして,住所がないことや稼働能力があることのみで保護の要件に欠けるものではなく,真に生活に困窮する方々は生活保護の対象となるとしております。本市におきましても,住所のない生活困窮者につきましては,民間の緊急一時宿泊所の入所者へ医療扶助を適用したり,ビジネス旅館やNPO団体等による宿泊施設を住所として,生活保護の適用を行っております。

 次に,結核対策につきましては,早期発見を目的に平成6年度から野宿生活者結核検診事業を実施しております。また,この検診により患者が発見されたときは,結核予防法に基づき,結核病床を有する市立井田病院や地域の指定医療機関において治療を行っております。さらに,平成12年度からは確実な治療効果を得るため,川崎区役所保健所におきまして,保健師等が薬の内服を確認する,いわゆる直接確認治療を実施するなど,療養生活を支援しております。以上でございます。


 平成14年 第1回定例会−0304-03

48番(坂本茂)

 次に,ホームレス対策ですが,とりわけ川崎南部に多く目立つホームレスは,今の社会状況,経済環境の中でさらにふえる傾向でありますが,市長の言う,誇りにも思えるような地域社会づくりと相反することは言をまたないところです。抜本的な対策を講ずることが急がれております。現実的には,公園の中のブルーシート,また角材や板を使用してそれなりに強固な家をつくっている人もいますが,現在本市が把握しているホームレスの数,現物支給及び越年対策の対象者数,またホームレスの公共施設への寝泊まりなどの不法占拠の現状,来訪者とのトラブルの状況などをお伺いします。また,社会的にも,ホームレスに対する青少年の犯罪も起きておりますが,教育上からも,人権の問題と,おのれを律する,自己を高めて社会貢献に資するための精神性との整合性は必ずしも十分に図られているとは言えず,そのはざまで揺れ動く心の教育の問題であろうかと思われます。そうした意味からも,本市の状況を脱するためにどのような防止策,手だてをしているのか,また今後の方向性も含めてお伺いします。

◎健康福祉局長(石野厚)

次に,野宿生活者,いわゆるホームレス対策についての御質問でございますが,まず,野宿生活者数についてでございますが,昨年7月の夜間実態調査におきまして901人の野宿生活者を把握しております。次に,食料品現物支給者数についてでございますが,本年1月の1日当たり平均で538でございます。なお,昨年度1年間の1日当たり平均支給者数は670でございます。次に,越年対策事業の対象者数につきましては,昨年1229日から本年1月5日までの間,1日当たり平均161人,延べ1,052人でございました。また,公共施設等への寝泊まりにつきましては,昨年の夜間実態調査によりますと,公園に310人,公共施設等周辺に129人,多摩川河川敷に123人,川崎駅周辺に339人でございました。また,トラブルにつきましては,「公園遊具の利用が妨げられている」,「施設の環境衛生が悪化している」,「公共施設の周辺等に野宿生活者がいるため利用しにくい」などの苦情が寄せられております。

 次に,野宿生活者の人権と自立意欲との整合性についてでございますが,関係局では,青少年指導の重点の一つとして,人間尊重の精神を養いつつ,すべての人々に対する差別や偏見の克服に向けた教育を推進するとともに,野宿生活者への巡回訪問を実施して,事故防止に努めているところでございます。一方,野宿生活者に対しましても,人権を尊重する観点から緊急的援護を実施してまいりましたが,野宿生活者自身が一日も早く社会に復帰するための努力や,自立意欲を促すような施策を推進することが大切であると考えております。そのためには,就労による自立を支援するための施設である自立支援センターが大きな役割を果たしていくことになろうかと存じます。いずれにいたしましても,野宿生活者自身が自立に向かう意欲を高めるとともに,野宿生活者に対する人権尊重との問題に十分留意しなければならないと考えているところでございます。

55番(近藤正美)

次に,市長に伺います。昨年第5回定例会において,市長に自立支援センターの設置について考え方をただしました。市長からは,自立支援センターの設置など,一人でも多く野宿生活者が自立した生活ができるよう積極的に取り組んでいくとの答弁をいただきました。今回の施政方針では,さらに野宿生活者の自立支援に向けた基本構想の策定が方針として明らかになりました。現在までの庁内検討会での協議状況と基本構想策定の内容と時期について伺います。一方,国における審議状況は,まだ厚生労働委員会の提案理由の説明も行われていないと仄聞しておりますが,国会の審議見通しと法案の中で,全国調査を踏まえ,ホームレスの自立支援等に関する基本方針を作成するとしていますが,本市における基本構想との整合についてはどう考えているのか伺います。

◎市長(阿部孝夫)

次に,野宿生活者対策についてのお尋ねでございますが,初めに,いわゆるホームレス法案の審議見通しでございます。現在,法案を国会に議員提案する方向で,関係政党間で調整が進められていると仄聞いたしておりますが,現時点では国会提案に至っていないと聞いております。次に,法案が成立した場合の基本構想との整合性でございますけれども,実態調査を踏まえて法案との整合性を持たせて,野宿生活者の自立支援に向けた基本構想を検討してまいりたいと考えているところでございます。

◎健康福祉局長(石野厚)

次に,野宿生活者対策についての御質問でございます。川崎市野宿生活者自立支援対策等検討委員会の検討状況についてでございますが,自立支援施策のあり方,実態調査の手法等について,調査検討を行っているところでございます。さらに関係局を含めまして,候補地の検討をしてまいりたいと考えております。次に,基本構想についてでございますが,野宿生活者がみずからの意思で生活できるよう支援することを基本とする国の施策を柱に,自立支援センターやシェルターの設置など,一人でも多くの野宿生活者が自立した生活ができるよう,自立支援施策の基本方針を策定してまいりたいと考えております。また,策定時期につきましては,いわゆるホームレス法案の動向もございますが,実態調査を実施する関係もございますので,本年秋を目標に策定してまいりたいと考えているところでございます


 平成14年 第1回定例会−0306-05

◆5番(渡辺あつ子)

次に,ホームレス支援事業です。神奈川県内の失業者数が30万人という中,国でのホームレス自立支援策を待っていては,路上で生活する人々はふえていくばかりです。人と社会が仕組みをつくり出すことが大切と,宮前区ではNPO法人が自立支援のための一時入所施設を開所し,3カ月がたちました。入所された方の中には,社会復帰に向けて仕事を見つけ,近々施設を出て自立したいと考えていらっしゃる方もいます。しかし,仕事をして収入がふえると保護費が減ってしまうため,アパートを借りるための蓄えをすることもできない状況です。このように,生活保護費は自立のネックとなっています。この点は支援法の制定が待たれるところですが,市ができることとして就労支援があります。山谷にはハローワークの職員が直接出向いて支援をしているとのことです。こうした働きかけについてお考えを伺います。

◎健康福祉局長(石野厚)

次に,野宿生活者,いわゆるホームレスへの支援対策についての御質問でございますが,昨年,厚生労働省が集計した全国調査によりますと,野宿生活者の数は平成13年9月末現在約2万4,000人で,前回調査の平成11年に比べまして約4,000人増となっております。なお,本市の状況は今回901人でございましたが,ここ数年は横ばいの傾向でございます。野宿生活者の増加要因としては,近年の社会経済環境の変化を反映した失業率の上昇が大きな原因であると考えられております。野宿生活者の雇用対策につきましては,東京都山谷地区や大阪市あいりん地区などで地域の実情を踏まえたさまざまな先駆的取り組みを実施してきており,御案内の山谷地区のハローワークと連携した就労支援はその中の一つの取り組みであるかと存じます。野宿生活者に対する就労支援は,野宿生活者問題の解決に当たり,重要な課題と認識しておりますので,公共職業安定所との密接な連携のもとで,職業相談,あっせんを行うこととしている自立支援センターの設置により,就労による自立を支援してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

◆5番(渡辺あつ子)

 初めに,ホームレス支援策について意見を申し上げます。実際に自立支援のそういう動きをつくってみますと,先ほど申しましたように自立に向けて歩き出す人もいますが,かなりの課題が出てきています。もちろん生活保護費の問題もあります。そのほかに,入所者の中には自立した生活を持続していくことが困難な軽度の生活障害や情緒障害のある人々もいらっしゃいます。長い野宿生活の中から発生してくるものなのか,もともと軽度の何らかの障害があるのか,簡単にはまだ判断できません。いずれにいたしましても,これは放置できない課題です。私たちは以前の議会で多重債務者の支援について質問しました。この支援事業の中から見えてきたのがこのホームレスの課題でした。ただ,今,ホームレスの支援事業の中から見えてきたのは今申し上げたような課題です。秋に向けて指針をつくられるということですので,こういう点も十分検討していただきたいと思います。


平成13年 第5回定例会−1213-03

◆3番(佐藤喜美子)

次に,野宿生活者対策について伺います。昨年の国勢調査で,野宿生活者は1,043人となっていますが,失業率の悪化や社会状況の変化で,現在,1,200人ぐらいの方が路上で生活しているものと考えられます。野宿生活をしている人には3つのタイプがあります。リストラや多重債務から家族や住まいを失い,就労の意思は持っていても,働くところや帰る場所がなく,やむなく路上生活をしている人々,精神障害があり,治療や支援が必要な人々,そして野外でしか生活できない人々です。今の市の施策は,食事の現物給付と越年対策,入所施設への委託や健康診断などです。現在の対策は,野宿生活をしている人に向けては画一的な対応で,先ほど申し上げたような大きく3つに分けられる人々への対応にはなっていません。個々の状況に合わせた施策が必要になってきています。お考えを伺います。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,野宿生活者対策についての御質問でございますが,野宿生活者への対応につきましては,生活保護の適用,病院受診指導,街頭相談など,個別の対応も含め,援護に努めております。また,市民からの衣類や食品の提供等の支援を受けるとともに,ビジネス旅館組合等の御協力もいただきながら,野宿生活者の援護を行っているところでございます。野宿生活者対策につきましては,広域的な都市問題であると考えておりますので,野宿生活者の自立を基本とする国の施策を柱にして,隣接大都市の東京都,横浜市とも協調を図ってまいりたいと考えております。また,行政のみでは限界がございますので,今後とも市民の御理解と御協力をいただきながら,野宿生活者の状況に応じた施策の確立に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

◆3番(佐藤喜美子)

次に,野宿生活者についてです。野宿生活者問題は,保護や救済という視点だけではなく,地域に暮らす市民としての人権視点から考えるべき課題です。市は昨年12月にヒューマンライツ・人権指針を策定し,その中で野宿生活者の人々にも人権への配慮がある対応が必要としています。野宿生活者の皆さんが就労や生活の場を確保し,自立していくためには,人権の視点に立った政策が求められます。市長のお考えを伺います。

◎市長(阿部孝夫)

次に,野宿生活者対策についてのお尋ねでございますが,本市におきましては,人権,共生のまちづくりを目指した川崎市人権施策推進指針を定めてございます。そこでは,野宿生活者の方々につきましても,人権への配慮ある視点を向け,社会復帰の促進などの施策の推進を図ることといたしております。したがいまして,野宿生活者対策につきましては,野宿生活者がみずからの意思で生活できるよう支援することを基本とする国の施策を柱に,自立支援センターの設置など,1人でも多くの野宿生活者が社会復帰できるよう,また,あわせまして地域環境の改善も含めて,積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。


 平成13年 第4回定例会−0912-02

◆7番(粕谷葉子)

次に,ホームレス問題について伺います。本市における野宿生活者緊急援護事業は,国に対していち早く抜本的対策を講じるべきとの要望を初め,全国的にも早く取り組んだ経緯があり,また実績があります。そこで,従来からの取り組みについてまず伺います。これまでの取り組みとして今まで行ってきた自立支援緊急援護事業と,これに対する総括を伺います。

 次に,国に対しての要望発言はどう行ってきたのか,そして,自立支援センターがどういう経緯で提案されてきたのか,本市としてはどう受けとめ,実現に向けて準備を進めてきたのか,伺います。次に,本年4月,庁内に設置された川崎市野宿生活者支援対策委員会におけるこれまでの協議内容と今後の検討方向について,伺います。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,野宿生活者対策についてのご質問でございますが,初めに,本市の緊急援護事業についてでございますが,野宿生活者の急を要する生活実態を踏まえまして,人道的,福祉的観点から,平成6年に食料品の支給,年末年始の越年対策,結核検診の各事業を開始し,平成7年に健康診断事業,平成8年には緊急一時宿泊施設を開設するとともに,生活保護の適用や病院の受診の対応を図り,野宿生活者の緊急援護に努めてきたところでございます。これらの事業につきましては,野宿生活者の窮状を援護できたのではないかと考えているところでございます。

 次に,国への要望についてでございますが,野宿生活者を多く抱える東京都や横浜市など,5大都市の簡易宿所密集地域等所管課長会議や13大都市民生主管局長会議,厚生労働省への予算要望等を通じまして,野宿生活者対策の推進や財政支援につきまして,要望してきたところでございます。

 次に,自立支援センターの経過についてでございますが,野宿生活者の全国的な増加状況を踏まえまして,平成11年2月に旧厚生省,労働省などの関係省庁及び本市を含む関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議が発足し,対応策を検討した結果,国の当面の対応策が取りまとめられました。それを受けまして,自立支援センターの設置を中心とする自立支援事業についての施策が,平成1211月に国から示されたところでございます。

 次に,本市の取り組みについてでございますが,本年4月に自立支援対策担当の関係局職員によりまして,川崎市野宿生活者自立支援対策等検討委員会を発足し,野宿生活者の自立支援施策について検討を始めたところでございます。この検討委員会におきまして,各局の野宿生活者対策の現状の分析,先行他都市の実施状況,自立支援施策の目標,有効性等について協議をしているところでございます。

 次に,今後の検討方向についてでございますが,野宿生活者の社会的自立を果たすための勤労意欲などのニーズを見きわめながら,緊急援護事業の見直しを含め,自立支援施策の構築に努めてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

◆7番(粕谷葉子)

次に,野宿生活者の自立施策について多角的に検討が始まったとのことであります。特に食料品の支給を現物化したため,利用者の減少を見るなど,際立った結果がこの1年で出ていると仄聞いたしております。緊急援護事業の見直しについて,その方向性をお示しください。続いて,自立支援センターの設置に向けては,本市の野宿生活者の居住状況など,東京都や横浜市と歴史的経過が異なる点で大変難しいことはわかりますが,そのまま手をこまねいているわけにはいきません。そこで,自立支援センター設置に向けた展望について,伺っておきます。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,野宿生活者対策についてのご質問でございますが,まず現在の緊急援護事業につきましては,本市の厳しい財政環境を踏まえ,見直しも視野に入れまして検討する必要があると認識しているところでございます。

 次に,自立支援センター設置についてでございますが,検討委員会等におきまして,候補地のリストアップの方法等の検討をしているところでございます。一定規模以上の用地面積や野宿生活者の利用面を踏まえた場所の確保,また,周辺住民のご理解など,困難な課題がございますが,設置場所の確保に向け,努力してまいりたいと考えております。以上でございます。


平成13年 第3回定例会−0614-02

47番(長瀬政義)

次に,ホームレス対策について伺います。我が党市議会議員団は,ホームレスのパン券支給の現場へ赴き,面接指導と生活支援の実態を調査し,平成1110月からの食糧現物支給への切りかえに結びつけました。これは,とかく換金されがちなパン券支給によってホームレスの自立心を阻害してしまい,結果的に逆効果となっていた状況の是正に結びついたとも言えます。その結果は,1,000人にも上っていたパン券受給者のホームレスが一時的にも半減したことで証明できると思います。しかし,最近の状況はまた逆戻りしたばかりでなく,さらに深刻さを増しております。

 昨年10月に行われた国勢調査によりますと,本市内の住居不定者,つまり調査当日に公園や路上で野宿生活をしていたいわゆるホームレスは1,000人を超えていたと言われます。もちろん,少し大きな公園の植木だまりやその周辺には,ブルーシートや段ボールで囲った小屋を見かけますし,近隣の人たちからは公園の不法占拠ではないかとか,非常に苦情も多く聞かれるところであります。これらの現象は,住民が密集する大都市中心部だけでなく,本市では今月初めに高津区の多摩川河川敷にオープンしたパークボール場に隣接した林を囲むように数カ所に野宿小屋が軒を並べておりました。そのパークボール場には,最新型の循環型の水洗トイレが設置されておりました。管理の状況によっては,ホームレスの格好の居住環境に変えられてしまう心配があります。こうしたホームレスを一人一人自立更生へ指導することは非常に困難なことでありますが,各都市ではその対策として自立支援センターが開設され,機能しております。ただ,政令指定都市では残念ながら本市と名古屋市だけがいまだに設置できておりません。そこで,自立支援センターに求められる役割と機能,本市での開設に向けての検討の経過,いまだに開設できない最大の問題点について伺います。また,社会福祉法人への運営委託の方法として具体的に検討した内容と結論を伺います。

 本市には,ホームレス対策については,全国でも早くから取り組んだ実績と国の対策を引き出す力を発揮してきた経過もあります。そこで,他の都市の例を参考に,早急に支援センターの開設に向け基本方針を固めることが必要だと思われますが,どう取り組みますか,明確なお答えを伺います。さらに,運営費についての国庫補助等についてもお伺いいたします。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

 健康福祉局関係のご質問にお答え申し上げます。

 初めに,野宿生活者対策についてのご質問でございますが,まず,自立支援センターの役割,機能についてでございますが,道路,公園,河川敷等の野宿生活者に対して宿所及び食事の提供,健康診断,生活相談,指導等を行い,就労意欲を助長するとともに,公共職業安定所との密接な連携のもとで職業相談,あっせんを行うことにより,就労による自立を支援するものでございます。次に,本市の検討状況についてでございますが,本年4月に自立支援対策担当の関係局職員により,川崎市野宿生活者自立支援対策等検討委員会を発足し,自立支援センターの設置を中心とした野宿生活者の自立支援施策について,検討を始めたところでございます。次に,本市の開設に向けての問題点でございますが,困難な条件の一つといたしまして,先行いたしました東京都,大阪市,横浜市には従来から大規模な簡易宿所の密集地域がございますが,本市では,いずれの場所にしても住宅地と隣接しており,設置場所を確保する場合に他都市と地域の実情が異なる点があろうかと存じます。次に,運営の方法についてでございますが,現行の野宿生活者一時宿泊施設の活用を検討したところでございますが,法人化の条件が整わず,今回新たに自立支援センターの設置に向けて検討することになったところでございます。次に,開設に向けての取り組みについてでございますが,施設の設置や運営等,開設した他都市の状況を参考にしながら,既存施設や民間施設の活用なども含めて,効率的な施策の推進に向け検討を進めてまいりたいと存じます。また,国の運営費補助についてでございますが,補助金交付要綱に基づきまして運営費の2分の1が補助されることとなっております。

47番(長瀬政義)

それから,健康福祉局,ホームレス対策はよくわかりましたけれども,支援センターの検討以前に,市内には隣保施設だとか宿所提供施設だとかいうものが数は少なくてもあったわけです。それらを発展的に何か支援しながら支援センター──施設を支援しながら支援センターというのはおかしい言い方ですけれども,きっかけとして使っていく,あるいは組織体,経営体としてのものが不足するのであれば,そういうものへのてこ入れをしていく。いずれにしても人間が人間を処遇して,そして人間社会を明るいものにしていき,安全なものにしていくということが基本ですから,各局にわたる問題があったとしても,大いに提言し,検討を深めていくということが道としてあるのではなかろうか,この辺は指摘とすると同時に,強く要望して,促進をしていただくことをお願いしたいと思います。

 私の近所でも,小公園であっても,もう時々話題になるのではなくて,時として話題になり,今回のような学校での痛ましい事件等がありますと,なおさら,あそこにいたホームレス,ここはちょっと暗がりでおっかないだとか,何か得体の知れない人が歩いていたとか,話題として出てくるわけです。最近の地域の情報交換というのは,井戸端会議というものは少なくなりましたから,余りささっと伝わってこないところもありますけれども,ちょっとしたところで話をしますとそういう話題につながってくる。これはホームレスだけでなく,まちの安全,地域の安全,危機管理という観点からいろんな局にまたがる問題かもわかりませんけれども,話をもとに戻しまして,ホームレスの問題にしては,市内でかつてそういう施設が存在して機能していたという,このことは事実でありますから,その経過を,今からでも遅くありませんから,早急にその当時のことから調べ直して,しかるべき対策に結びつけるように,そういう何かヒントがあるのではなかろうかと思います。この点については,先ほど言いましたように,くどいようですが,早急に取り組んでいただきたいと思います。


平成13年 予算審査特別委員会−0314-04

◆嶋崎嘉夫 委員

 視点を変えて伺います。いわゆる市民パートナーシップ事業の推進を図る上で避けて通れないのは,パートナーシップの相手方をどのように認識し,とらえた上で事業化を図る点もあると思いますが,通常,行政とのパートナーシップとして考えられるのは,地域社会に最も密接に根差した団体として町内会組織,準公務員に匹敵するような民生委員,社会福祉協議会の組織等も挙げられると思いますが,最近では,特定非営利活動法人いわゆるNPO団体との連携も大きく取り上げられつつありますし,本市でも,昨年条例化されました子ども権利条例でも,そういう団体と類推できるような団体等との連携を図ることが明文化,条例化が行われている。例えばNPO団体を取り上げた場合,NPO団体の言葉はどなたも知っているけれども,しかし,言葉のみが先行して,一体どういうものかが何か概念のみでおぼろげな状態ではないか。一つの例ですが,昨年実際に起きたことですが,川崎区のあるところで旅館施設ホームレスと契約を結んで宿泊所として住所を移して,住民票を発生させて生活保護申請して13万何がしかの生活補助費をもらい,そのうち10万円が家賃,食費代で業者がもらう。これは地域社会の中で大変大きな問題になったわけですねが法律上はどうしようもない。さらに,これを行っている旅館が神奈川県にNPOの認定申請,昨年認定を受けた。ことはだれが見てもおかしいと思うんですが,法律上は問題がないから起きてしまう。NPO団体といえども,言い方は失礼ですが,ぴんからきりといいますか,法的に問題がなければ申請に基づく審査の結果,認定という状況では,本市の事業とNPO団体等とのかかわりに関し,本市の事業を行う上で事業提携に本市の要綱とか要領がきちんと策定された上で行われているのか再度伺います。


 平成12年 決算審査特別委員会(一般会計・特別会計)−1213-06

◆飯塚正良 委員

次に,環境局長に,2つの項目お願いしたいと思います。まず,東田公園の整備経過と現状について,東田公園を知る地元に伺いますと,20年ほど前に国の肝いりで全国に先駆けで買い物公園として改修され,築山と屋外ステージ,フジ棚のある大変ユニークな公園であります。近年,野宿生活者が住み始め,子どもやお年寄りの皆さんの足が遠のいてしまいました。7年前から始まった東田公園を囲む5商店街のいいじゃんかわさき祭りは,東田公園を拠点に2日間で5万人を超す市民の集まる秋の風物詩になってまいりましたが,町内会,商店街では年1回だけのにぎわいではなくて,東田公園を中心にまちおこしができないか,さまざまな取り組みが始まっています。そこで伺いますが,地元の意向を受けて,本市としては東田公園の再整備に向けどのように取り組んでこられたのか,これまでの経過と現状をお示しください。

◎山克彦 環境局長

 東田公園の再整備計画の経過についてのご質問でございますが,東田公園は昭和24年に開設された街区公園で,面積は3,221平方メートルでございます。その後,昭和53年に当該公園の全面改修を行い,現在に至っております。改修時点から既に約22年が経過し,施設の老朽化や市民ニーズの変化,地元町内会や商店街からの強い要望があり,また,中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律に基づく川崎駅周辺市街地活性化基本計画に東田公園の再整備につきましても位置づけられていることから,この推進を図ってまいりたいと考えております。このため,平成11年度はワークショップなどの方式により近隣住民及び地元商業組合の方々の幅広いご意見をいただき,再整備のための基本構想をまとめたところでございます。また,平成12年度は将来の公園再整備後の維持管理体制を含めた討議などを再度ワークショップ方式により行い公園再整備のための基本計画をまとめてまいりたいと考えております。以上でございます。


 平成12年 第3回定例会−0913-02

15番(嶋崎嘉夫)

次に,ホームレス問題と生活保護受給問題について伺います。本市では昨年,ホームレスに対する金券支給から現物支給への切りかえを行いましたが,現在,支給を受けているホームレスの数はどのような状況にあるのか伺います。また,最近も川崎区内において民間団体が第二種社会福祉事業に基づく宿舎施設の届け出による計画発表を行い,地元住民の反対運動が激しく展開されました。こうした一連の経過を見ると,生活保護法との整合性の中で,住民の側に立った生活保護行政のあり方,権利としての社会保障としては何か,不正受給をどうとらえるのか等々の疑問を感じざるを得ません。

 そこで伺いますが,現在,生活保護受給者数とその推移,第二種社会福祉事業に基づく施設契約者である生活保護受給者数の占める人数と割合,また,その申請に際し,福祉事務所ではどのような議論がなされたのか経緯を伺います。あわせて,本市として第二種社会福祉事業に基づく一連の経過による生活保護法申請に対し,見解を伺います。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,野宿生活者と生活保護についての幾つかのご質問でございますが,初めに,現物支給を受けている野宿生活者の数についてでございますが,1日平均の受給者数は,4月746人,5月837人,6月804人,7月774人,8月735人でございます。

 次に,生活保護受給者数とその推移でございますが,平成9年度は1万2,202人,平成10年度は1万3,397人,平成11年度は1万4,842人で,直近の平成12年7月は1万5,910人となっております。このうち,第二種社会福祉事業の宿泊施設居住者は,161人で,全体の約1%となっております。

 次に,この方々の生活保護申請に際しての福祉事務所の対応についてでございますが,国への見解を求めるとともに,先行例のございます東京都に対して実情を聞くなど,第二種社会福祉事業に基づく宿泊提供施設入所者の生活保護適用について検討を行ってきたところでございます。これを踏まえ,入所者一人一人の申請に対し,法に基づき,保護が必要かどうかの判定を行い,保護が決定されれば,保護費を本人に全額支給しているところでございます。その際,第二種社会福祉事業団体に対し,1部屋に複数人が居住することにつきましては,1人最低2畳以上のスペースの確保及びエアコンの設置や食事内容の充実等,居住環境整備が必要なことなどについて指導してきたところでございます。

 次に,生活保護法申請についての見解でございますが,生活保護の申請は個人の意思に基づくものであり,すべての申請に対して資産や扶養等の個別調査を行った上で判定を行い,公平性をもとに生活保護法に基づく保護の決定を行っているところでございます。以上でございます。

21番(潮田智信)

次に,大島1丁目の大月館に第二種社会福祉事業,つまり野宿生活者の宿泊施設開設問題が起こって3ヵ月,地元町内会による粘り強い反対運動によって開設者サガミより断念する意思表明が行われました。行政を初め議会の皆様の支援のおかげと地元は感謝しております。しかし,引き続き,空き状態の続くビジネスホテルや社員寮など,第二種社会福祉事業が開設されるのではないかという危惧が寄せられております。

 そこで,この間,交渉の中で浮かび上がった諸問題について伺います。現在まで本市で把握しているNJR−SSS,サガミによる開設状況,収容人員及び生活保護の受給状況,あわせて年間の総支給額をお示しください。

 次に,生活保護について伺います。これまでも受給基準については,国,厚生省は大変厳しく,電話あるいはエアコン所有など,受給に制限が加えられていました。にもかかわらず,この種の社会福祉事業に入居している申請者に対しては,いとも簡単に受けられるという指摘があります。改めて生活保護費の支給基準について伺います。

 次に,開設者であるNJR−SSSはNPO法人の認証者であり,今回,開設を希望したサガミも既にNPO法人取得申請中であります。今日,類似団体がNPO法人認証を取り消されるという事例が新聞報道されていますが,非営利法人の行うべき事業として生活保護費の代理徴収が妥当なのか伺っておきます

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,第二種社会福祉事業と生活保護についてのご質問でございますが,本市における生活困窮者に対して宿所提供を行う第二種社会福祉事業の施設は,特定非営利活動法人,いわゆるNPO団体,ソーシャル・セキュリティ・サービス,SSSが開設する4ヵ所で,入所者は161名でございます。

 今年度の生活保護基準では,60歳の単身者で医療費等を除いた生活保護費は月額で133,710円となり,年間総支給額は約2億5,800万円でございます。

 次に,生活保護支給基準についてでございますが,当該世帯について認定した最低生活費と収入との対比により決定することとされております。野宿生活をしていた者の生活保護の決定につきましては,多くの野宿生活者が相当長期間にわたって野宿を余儀なくされており,収入や資産等がないため,簡便なものとなる傾向がございますが,必要な調査を実施し,法定期間内の決定を行っているところでございます。生活保護費につきましても,生活保護法第31条第3項の保護金品の給付基準に基づき,全額を直接本人に支給しております。以上でございます。

21番(潮田智信)

次に,本市が把握しているSSSが開設している第二種社会福祉事業施設で161人の人が生活保護を受け,年間で約2億5,800万円が支給されているとのことであります。市費と国費の負担割合が4分の1と4分の3とはいえ,野宿生活者対策総事業費が年間2億円余りでありますので,いかに第二種社会福祉事業を通じての生活保護費支給が突出しているか理解いただけると思います。そこで,第二種社会福祉事業がいとも簡単に届けによって開設できる法の手続に問題を感じますし,また,この種の開設者がNPO法人を取得して開設,申請するというケースが多いようです。NPO法人の認証を厳しくするという新聞報道もありますので,安易な開設をチェックできる法的整備を国に対して強く訴えていくべきと思いますが見解を伺っておきます。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,第二種社会福祉事業とNPO法人についてのご質問でございますが,第二種社会福祉事業につきましては,ご指摘のとおり,社会福祉法により事業開始から1ヵ月以内に経営者の名称,所在地,事業の内容及び定款等の届け出をすることとなっており,現行法においては開設の制限はございません。また,開設者がNPO法人であることにつきましては,NPO法人の認証を県知事が行いますので,県からの運営状況の照会に答えるなど連携してまいりたいと存じます。さらに,国に対し,第二種社会福祉事業のあり方について,大都市主管課長会議などで法の趣旨の徹底を働きかけてまいりたいと存じます。以上でございます。


 平成12年 第3回定例会−0914-03

25番(後藤晶一)

次に,ホームレス問題について,市内のホームレスは,6月の調査結果では昨年の調査時を上回って926人に上るということです。昨年,パン券支給を食料品の現物支給に切りかえ,当初人数も700人台に減少しましたが,現在,900人台に戻っています。ホームレスの人数の変化,推移についてどう分析しているのか伺います。この項は答弁は結構です。

 次に,旧ビジネスホテルやアパートなどを使用し,ホームレスを入室させ第二種社会福祉事業に基づき,生活保護費を受給させる団体についてどう把握をしていますか,明らかにしてください。この項目も答弁は結構です。

 次に,同団体が川崎区内で,ビジネスホテル跡を利用して進出する計画を地元住民の反対運動で撤回するという経過がありましたが,今後,市は進出計画に対してどう対応されるのか伺います。大阪市は,勤労意欲を持ちながら仕事が見つからないホームレスを対象に,一時滞在や就労相談などの支援を通じて社会復帰を促す自立支援センターを開設しますが,本市における自立支援センターの設立についての考え方を伺います。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

次に,野宿生活者についてのご質問でございますが,初めに第二種社会福祉事業団体の進出についての今後の対応についてでございますが,第二種社会福祉事業の施設の設置に当たりましては,事前に住民の理解が得られるよう指導するとともに,社会福祉法に基づく届け出制によるものでございますので,今後とも届け出がなされた際には内容等の審査を十分に行い,適切な運営を図るよう指導してまいりたいと存じます。

 次に,自立支援センターの設置についてでございますが,野宿生活者の問題解決は一人一人の自立更生が基本でございますので,生活,医療,就労相談等の機能を有する自立支援センターの設置は必要であると認識しております。しかしながら,設置場所等,難しい問題もございますので,他都市の設置状況を参考にしながら検討してまいりたいと存じます。以上でございます。


 平成12年 第2回定例会−0628-02

32番(吉沢酉友)

次に,経済局長に,ナイター競輪開催についてですが,川崎競輪の振興策として,来年,夏季にナイター競輪を実施すべく検討しており,周辺住民の方々のご理解とご協力を重視して5月に住民の方々に説明会を開催したという答弁がありました。そこで,この説明会の内容を伺います。さらにまた,近隣にホームレスが多勢居住しておりますが,ナイター開催となると,夜間,騒々しくなり終了するのは午後8時,9時ごろになるので,ホームレスの対応策などは検討されたのか伺います。

◎経済局長(君嶋武胤) ナイター競輪開催に向けてのご質問でございますが,まず,説明会についてですが,5月26日に開催いたしました説明会には周辺15町内会の方々のご出席をいただいたところでございます。この説明会では,ナイター競輪開催の基本的な計画や考え方,本市の競輪事業の厳しい現況,またナイター競輪を開催しております函館・平塚両競輪場の開催状況,さらには周辺の清掃・警備体制などの計画をご説明申し上げたところでございます。出席された方々からさまざまなご意見をいただきましたが,主に周辺地区の清掃や防犯・警備体制,野宿生活者対策などの環境整備の要請があったところでございます。周辺住民の方々の不安を解消し,ご理解,ご協力をいただくことが大切なことでございますので,ご指摘のご意見を検討いたしまして,ご理解をいただけるよう引き続き努めてまいりたいと考えております。

 次に,近隣周辺の野宿生活者対策でございますが,競輪を健全なレジャーとして楽しめるよう警備の充実を図るとともに,関係局と連携を図りながら,さらに環境整備に努めてまいりたいと存じます。以上でございます。

32番(吉沢酉友)

最後に,ナイター競輪ですが,問題の野宿生活者対策には関係局と連携して環境整備に取り組むということなので,ぜひこの問題を早急に検討していただき,あとは委員会に譲りまして,質問を終わります。ありがとうございました。


平成12年 第2回定例会−0710-06

54番(栄居義則)

最後の質問でございますが,川崎区の現状について,現状と改善策についてということでお尋ねをさせていただきたいと思います。川崎区は川崎市の玄関,JR川崎駅は川崎市の顔などとよく例えられています。それにしても,現状の玄関の汚れ,顔は泥だらけ,もう少し何とかしていただけないだろうかというのは私だけではないというふうに思います。加えて,川崎区内には戦前から続く風俗営業など,売春禁止法によって大きな規制を受けながらも,次から次へと新手を考案されているようでございまして,また,戦災復興事業としてスタートした競輪,競馬は,経営の厳しさから場外,ナイター化などファンサービスを強めた結果,違法なのみ行為の増加などにもつながっている。路上生活者への対応は,食券の発給までは大変迅速でございましたけれども,駅周辺あるいは富士見公園内など定着化が進んでいます。また,工場の跡地などにつきましては,檀家墓地の建設や死体の化粧を施すエンバーミングなど,決して川崎区のイメージアップにつながるような状況ではないと思いますが,この点について総合企画局長のご見解を伺っておきたいと思います。

◎総合企画局長(瀧田浩)

 川崎区の現状と改善策についてのご質問でございますが,川崎区では,ご指摘のように社会経済環境の大きな変化や臨海部の空洞化による製造業の事業所や出荷額の落ち込みなどに伴いまして,区内人口の減少と高齢化の進行,密集した市街地や少ない緑,道路環境問題,野宿生活者や工場跡地での墓地問題など,都心の区にふさわしいまちづくりを進めていくに当たって取り組むべき種々の課題が生じております。これらの課題につきましては,これまでも関係局間で連携を図りながら取り組みを重ねてきているところでございますが,例えば,産業振興と臨海部の再編整備の方策,分権やまちづくりの視点からの墓地行政のあり方に関する具体的検討,野宿生活者問題への対応など,課題の解決に向けて区全体のまちづくりを視野に入れた施策や事業間の的確な連携と調整,また,新たな視点や発想による事業の推進が今後ますます求められてくるものと存じます。したがいまして,総合企画局といたしましては,こうした視点に立って川崎区のまちづくりの推進に向け,関係局や川崎区とも十分な連携を図りながら,総合的な調整と企画立案に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

54番(栄居義則)

それから健康福祉局長でございますが,大変暑さも加わり,路上生活者への健康相談やテント周辺の衛生対策です。ともかく,この辺はもう市民広場へ行くと,一種独特,異様なにおいといいましょうか,そういうものが漂っているわけでありまして,これはもう全市からあそこの広い市民広場でいろんな行事をこなすというようなことがありますから,やっぱりちょっと異常という感は否めないと思うんです。したがって,そういう意味で衛生対策についてどんなご見解があるのか。

 それから,本市が借り上げをしている堤根の豊屋の入居状況と,これは新たな対応といいましょうか,もうかなり満員状態になっているというふうなお話もありますので,そういう展開をどういうふうに考えていらっしゃるのか。

 最後に,ホームレスに生活保護を申請させて徴収し,食,住を提供する団体が急増している,こういう新聞報道があるわけでございますが,これは特定非営利活動法人,通称SSSです。ソーシャル・セキュリティー・サービスという,そういう組織だそうでございますが,都内に24ヵ所,川崎に4ヵ所,そういう宿がつくられているわけでございますが,この組織に対する川崎市の健康福祉局の見解もぜひ教えていただきたいと思います。以上です。

◎健康福祉局長(柏木靖男)

 野宿生活者の健康面と衛生対策についてのご質問でございますが,本市の野宿生活者の健康対策については,健康保持を目的として結核検診及び健康診断を定期的に実施しているほか,一時宿泊所を活用することにより,野宿生活者の生活医療相談を行っているところでございます。また,野宿生活者の小屋,テント周辺の衛生対策としましては,本年4月から専任の生活相談員1名と街頭相談員2名を配置し,日々公園管理者と連携し,荷物の整理や清掃等環境浄化の声をかけるなど,市民の苦情等に対応しているところでございます。

 次に,野宿生活者の一時宿泊事業の入所状況についてでございますが,定員100名の一時宿泊所の平成12年度の1日平均宿泊数は,4月においては79人,5月で76人,6月で88人でございます。

 次に,福祉団体SSSへの本市としての対応についてのご質問ですが,第2種社会福祉事業の開設は,自治体の許認可制でなく,届け出によるものであるため,本市といたしましても,その対応は届けられた開設届に基づき,社会福祉法の要件の適合の可否を調査し,受理とするものであります。しかしながら,本市といたしましては,当該団体に対し近隣を初め地域住民への日常生活に著しい不安や支障が生じないよう,開設に当たっての条件などをよく話し合い,相互理解が得られるよう指導してきたところでございます。また,開設後におきましても,適切な運営について継続して対応してまいりたいと存じます。なお,現在本市に設置されております同種の施設の例から見ますと,入所者は全員生活保護を受給しております。本市といたしましては,生活保護の適用に当たりまして,法に基づき厳正な調査,確認を行うとともに,入所後の実態把握に努め,生活保護法の趣旨に沿い,早期自立に向け指導しているところでございます。

◎市長(橋清)

 川崎区は,ご質問がございましたとおり,いろんな問題を抱えているわけですが,人口の減少とか高齢者の進行,密集した市街地と少ない緑,環境問題,ただいまお話がございました野宿生活者あるいは墓地の問題など,こうした問題は突き詰めますと,やはり戦前,戦後を通しまして,川崎市の都心である川崎区が,日本経済の発展を支えてきました臨海部産業の衰退あるいは空洞化に派生するところが非常に大きいのではないかと考えております。私は,これらの課題の抜本的な解決に向けましては,21世紀をリードする新しい臨海部づくりに真剣に取り組んでいくことが,要するに,ここを切り抜けるそうした方策ではないかと思います。


 平成11年 第5回定例会−1202-02

30番(笠原勝利)

次に,ホームレス問題について伺います。去る9月30日,我が党の提案に基づき,全会派一致でホームレス対策に関する要望を市長に提出いたしました。議会の強い要望により,行政側は1013日より従来のパン券支給から現物支給へと切りかえを行い,約300名近い受給者が減少しましたが,市長への要望事項には,1として,健康,就労相談業務の開始,2として,公園,道路等公共施設からの違法工作物の撤去,並びにこの2つを統括し,各局間の調整を行うホームレス対策室の設置も求めております。議会全会派一致による要望に対し,市長は今後どのような対応を指示されるのか,見解を伺います。あわせて,パン券支給から現物支給への切りかえを行う際,何ゆえ支給額の見直しを行わなかったのか,経緯と見解を伺います。

 一方,新聞報道によりますと,自治省に届け出された政治団体が,社会福祉事業法に基づき,低額で宿泊所を提供する第2種社会福祉事業としてホームレスに支給された生活保護費をもとに運営する入所施設を本市内にも続々と開設しているとのことですが,報道された内容は事実なのかどうか,また,事実ならば,行政はいつごろからどの程度の内容を把握していたのか,伺います。また,行政は,法的問題はクリアしているとの立場を一貫して示しているとのことですが,報道では,政治団体が今後特定非営利活動促進法に基づく法人格取得申請も行っていくと伝えております。一連の動向に対する本市の見解を伺います。

 同時に,今回計上された補正予算では206,100万円余が補正計上されており,今後も続々と施設が開設されると,生活保護費がますます増大することも危惧されるとともに,施設の生活環境に関しても,現行の生活保護制度に照らして拡大運用がなされているのではないかと懸念されますが,再度,本市の見解を伺います。また,法の適用をめぐり国とどのような話し合いを行っているのか,あわせて伺います。

◎市長(橋清)

次に,野宿生活者についてのお尋ねでございますが,現物支給につきましては,昨年来検討を指示してまいりましたが,このたび,現物支給の方法,体制,場所等の条件が整いましたので,去る1013日より現物支給などに切りかえたところでございます。実施に当たりましては,当面,現物支給への切りかえが円滑に行われることを最優先させていただいたところでございます。結果として,大幅な支給件数の減少を初め,地域の環境も改善され,ご迷惑をかけておりました近隣の方々からも大変喜ばれているところでございます。また,関係局間の調整につきましては,庁内の実務者レベルによる野宿生活者対策検討委員会により種々検討を重ね,さらに深瀬助役を長とする野宿生活者対策関係局長会議で検討しているところでございます。いずれにいたしましても,市民の皆様のご理解をいただきながら,国や関係各都市とも連携を密にして,引き続き野宿生活者対策に取り組んでまいりたいと考えております。


 平成11年 第4回定例会−0913-02

29番(鏑木茂哉)

次に,ホームレス対策について伺います。このたび示された補正予算では,パン券を求めるホームレスの数が予想以上にふえたため,今年度当初予算1億2,600万円を上回る1億4,500万円を追加計上しております。他の予算からの流用額も含めると,総額約2億8,300万円にも上り,平成6年にパン券支給を始めてから過去最大の規模に膨らむ状況です。一方,国も,春からホームレス問題が深刻な大都市圏の各市に対し財政支援の検討を続けていますが,さきの全国調査に基づき,本市はどのような回答を行ったのか,伺います。

 また,厚生省では,補助はホームレスの自立支援事業が対象で,パン券支給はそぐわないとの姿勢を崩しておりませんが,ならば,何ゆえ今回の補正予算額に国庫支出金2,300万円が計上されているのか,伺います。同時に,国の予算措置がなされない際は,予算計上額の充当をどのように措置されるのか,見解を伺います。

 また,市長は記者会見で,ホームレスの増減は景気のバロメーターとの実感がある。幾ら対策を練っても景気の浮揚がなされないと解決できないと述べられておりますが,ホームレスの増加に伴い,地元町内会を初めとする数多くの地域住民の方々からは抗議の声が寄せられています。もはやホームレス対策の問題は,景気の状況よりも,予算措置をふやせばふやすほどホームレスの市内流入が際限なく続く現状を認識せずに解決できないと思われますが,今後のパン券支給も含め,市長の見解を伺います。

◎市長(橋清)

次に,野宿生活者対策についてのお尋ねでございますが,長引く景気低迷を初め,いろいろな条件が重なり,野宿生活者いわゆるホームレスが増加しておりますことは,東京,横浜,大阪など他の大都市共通の状況でございまして,その対策につきましては本市といたしましても大変苦慮している現状にございます。ご案内のとおり,国におきましても,もはや個々の都市が個別に解決できる課題ではないとして,関係省庁から成るホームレス問題連絡会議を設置し,本市を初め関係自治体とも協議を重ね財政的支援を含め,その基本的対応策の取りまとめを行ったところでございます。本市といたしましても,この間,人道的立場から緊急援助事業を行ってまいりましたが,今後につきましては,さらに市民の皆さんの理解と協力をいただき,国及び同様の悩みを抱える他の大都市とも連携して,野宿生活者に対する諸事業の実施方法の見直しを含め,引き続きこの対策に努めてまいりたいと存じます。以上です。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

次に,野宿生活者に関する国の財政支援についてのご質問でございますが,初めに,国の全国調査に対する本市の回答についてでございますが,1つ,パン券支給事業及びこの事業に伴う生活,医療,就労等の相談業務,2つに,生活保護法の適用を前提とした要援護者に対し,自立更生の促進を図るための緊急一時宿泊事業,3つに,毎年実施しております越年対策事業を国に支援補助として要望しているところでございます。

 次に,国庫支出金の充当額2,300万円につきましては,国と折衝を行う中で緊急援護事業への補助対象となる感触を得たことから予算計上させていただいたものでございますので,今後,国から回答があるものと考えております。

29番(鏑木茂哉)

次に,ホームレス対策についてですが,答弁にありましたように,緊急援護事業ということでパン券支給を行ってきたわけですが,これはあくまで人道的立場からとしてであります。このような公的扶助は,振り返れば,近代国家をなした明治時代からの問題であり,明治維新によって多くの貧民が発生し,時の政府は慈仁第一を標榜し,明治7年に恤救規則として制定して以来,昭和の初期まで生存権思想と治安対策のはざまで引きずってきた時代ではありました。しかし,現代と明らかに時代背景の異なる今日において,このところ年々ホームレスの数が増大し,事業費が膨らむ現況に対しては,市民の方々からは大変厳しい声が上がっていることを考えますと,人道的なという立場と市民でない市民に大切な税金が投入されることへの矛盾とジレンマとの不満の声が伝わってきます。したがって,我が党としては,そろそろ事業の見直しなど,区切りをつける時期であると考えています。もちろん,ホームレスを生まない社会の構築は何よりも重要なことでありますが,本市としては,このところ市域外より流入してくる増大する一方のホームレスに対して抜本的な方策を講じない限り,本市の現施策はエンドレスになり,根本解決にならないと思われます。再度対策についての考えを伺います。また,先月,本市ではホームレスを対象とする結核検診を行いましたが,検診の目的並びに具体的内容,処置方策について伺います。あわせて検診者数及び要結核医療者数の内訳も伺います。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

次に,野宿生活者の対策についてでございますが,本市といたしましては,パン券支給が終了するまでの間の緊急援護事業として出発したものでありますが,この長引く景気低迷で,失業者の増加とともに野宿生活者は急増し,市民の方々から多くの苦情が寄せられております。特に,パン券の支給につきましては,市民の方に迷惑をかけておりますので,支給場所,支給物品,支給体制などの新たな方法を検討しているところでございます。今後,本市といたしましては,隣接する東京都,横浜市との連携を密に図りながら野宿生活者対策を進めてまいる所存でございます。

 次に,野宿生活者の結核検診についてのご質問でございますが,まず,目的といたしましては,検診の機会が少ない野宿生活者に検診を実施し,結核の早期発見及び蔓延を防止することでございます。検診の方法といたしましては,8月4日,5日の両日に富士見公園のパン券支給所にエックス線車を配車し,胸部エックス線検査を実施いたしました。検診受診者数は合計842で,患者数につきましては,精密検査中のため最終結果は出ておりませんが,現在のところ13名で,このうち排菌の認められた方は2名でございます。結核と診断された患者さんにつきましては,結核予防法に基づき適切に処置をいたしました。以上でございます。

29番(鏑木茂哉)

 それぞれご答弁ありがとうございました。

 最後に,ホームレスの結核検診について再度伺いたいと思います。昨年7月と本年6月の二度にわたり,国の公衆衛生審議会結核予防部会が提言,意見等を出したとのことですが,その内容について伺います。また,住所不定者における結核発見対策を進めることは,患者本人の治療,他人への二次感染を防止する観点や,いたずらに情報が誤解され市民にパニックを引き起こさない観点からも,関係各機関と調整した上で具体的な対応策が必要と思われますが,見解を伺います。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

 野宿生活者の結核検診についてのご質問でございますが,公衆衛生審議会は,本年6月に出した意見の中で,国に対し結核緊急事態宣言を求めるとともに,再興感染症としての性格を視野に入れた結核対策や重点的課題への取り組みの充実などを求めており,その中で,都市部の住所不定者は結核の発病者が多く,さらに発見のおくれから重症者が多いことを指摘し,これらの者への積極的な対策が必要と述べております。これを受けて,国は7月に結核緊急事態を宣言したところでございまして,このことにつきましては,既に市内の各医療機関あてに周知いたしました。本市といたしましては,野宿生活者の結核に対しましては平成6年より検診を毎年実施いたしておりますが,今後とも関係部局と連携をとりながら検診を徹底させ,慎重に取り組んでまいります。以上でございます。

29番(鏑木茂哉)

 ホームレス問題はその支援団体と行政,市民との三すくみの感があり,本当に難問だと思います。あらゆる人たちの共生するまちづくりの原点は,その基本となるルールがあり,そのルールをすべての人が遵守することでもあると思います。約束事を守ることからいたわりや思いやりといった慈愛を醸成することになり,それぞれの立場や生活環境を超越した助け合いの精神に満ちた社会がつくり出されると確信いたしております。ホームレスだからルールが守れない,だから食券をくれでは,多くの市民の理解は得られません。ホームレスの人たちも自分たちの窮状を訴えるだけではなく,自分たちが市民に迷惑をかけているのか,迷惑とはどういうことなのかを自問自答していただきたい,そういうふうに強く思うものです。公園や公共物の管理者としての本市も,真の人間の尊厳を問うさらなる方策の検討をしていただくよう強く要望しておきます。

24番(雨笠裕治)

次に,健康福祉費,明るい町づくり対策費について伺います。この補正は路上生活者のためのパン券代を補正するものとされ,当初500人程度と予測されていた人数が倍の1,000人を超えるほどになってしまったために補正を行わざるを得なくなったと説明されています。路上生活者への生活支援は理解できますが,しかし,市民からは,昨年約2億3,000万円,本年も補正を合わせ2億7,000万円の税金を投入しているにもかかわらず,相変わらず駅前周辺等で朝から車座を組み泥酔し,通行人に悪態をつく一部不心得者の存在などは,納税者の立場から批判の声が高まっています。

 そこで,幾つかお尋ねいたしますが,1,このたび,国が路上生活者に対する支援策を固めたと伺っていますが,具体的内容及び横浜市,川崎市が行っているパン券支給方法についての見解があれば述べていただきたいと思います。2,現在,パン券支給が行われていますが,パン券にかわってパン,カップめん,おにぎりなど,現物での支給方法についての考え方について伺います。3,パン券支給を行っている富士見町町内会より支給場所の変更について議会へ苦情が寄せられていますが,検討する考えはないか,伺っておきます。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

次に,野宿生活者についての幾つかのご質問でございますが,初めに,野宿生活者に対する国のホームレス問題連絡会議の具体的内容は,ホームレスも自立でき,地域住民も良好な環境の中で暮らせる社会とするために,国,地方公共団体が適切な役割分担のもと,一体となって取り組むことが必要との観点に立って,1つ,総合的な相談,自立支援体制の確立,2つ,雇用の安定,3つ,保健医療の充実,4つ,要援護者の住まい等の確保,5つ,安心,安全な地域環境の整備の5本の柱となっています。また,パン券支給事業につきましては,平成6年度から本市の単独事業といたしまして実施しているところでございますが,平成7年から,大都市局長会議やこのたびのホームレス問題連絡会議を通じまして,国に食事援護も含めて補助をしていただけるよう要望してきたところでございます。しかしながら,食事援護につきましては国の理解を得ることが大変難しい状況にございます。これらを踏まえまして,本市議会や市民の方々のご意見等を参考に,支給場所,支給物品,支給体制等の新たな支援の方法を検討しているところでございます。

 次に,パン券を支給している地元川崎区富士見町町内会から寄せられております苦情につきましては,支給方法を含めまして,検討課題としてまいりたいと存じます。

17番(徳竹喜義)

次に,川崎市の野宿生活者の就労を援助する問題です。この深刻な問題の背景には,長期にわたる経済不況と大企業のリストラの進行という政治の責任があります。不況,雇用不安と並行して,その数も増加し,地域住民とのさまざまなトラブルが起きております。この問題をこのまま傍観すれば,川崎のホームレス問題はますます深刻をきわめるばかりです。住民の自主的な調査によると,仕事さえあれば自立していけると答えた野宿生活者が7割もいたそうです。働きたくても働く場所がなく,やむを得ず野宿生活を余儀なくされているこうした人たちを支援することが自治体として大切な仕事ではないでしょうか。そこで,伺います。1つ,市内ホームレスの実態を詳しく調査し,問題点とともに当事者の要望を全面的に把握すること。2つ,実態の把握,雇用の促進,宿泊施設などの総合的な対策を行う川崎市としてのホームレス自立支援センターをつくり,総合的な支援を行う体制をつくること。3つ,現在のパン券支給を現物支給に切りかえること。この切りかえに向けて,現在の品物交換所と周辺の実態調査を行い,地域住民の要求を多面的に把握すること。4つ,定期的な健康診断を実施し,ふえている結核患者の救済とともに被害の拡大を防ぐこと。5つ,同じ問題を抱えている他都市の実態や対策,情報を交流し,国への要求をまとめること。これらの市独自の積極的な対策を打つべきと考えますが,それぞれについて伺います。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

次に,野宿生活者に関するご質問でございますが,初めに,野宿生活者の把握についてでございますが,毎日パン券支給時に面接相談を実施するとともに,毎年実態調査を実施しておりまして,本年も2月に841人のパン券受給者対象にアンケート調査を実施するなど,現状は十分掌握しているものと考えております。

 次に,ホームレス自立支援センター等の総合的な支援体制につきましては,今年度,国の決定に基づき,東京都,大阪市,横浜市が設置することになっておりますので,参考にしながら,今後検討してまいりたいと存じます。また,食事援護の支給方法についてでございますが,地域住民の方々に大変ご迷惑をおかけしておりますので,さらに理解と協力を得られますよう,ご意見を伺いながら,その方法につきまして検討してまいりたいと存じます。

 次に,野宿生活者に対する健康診断についてでございますが,平成6年度から実施しております。その中で,結核と診断された患者さんにつきましては,結核予防法に基づく措置がとられます。なお,治療費につきましては,法に基づく公費負担制度が適用されることとなっております。

 次に,多くの野宿生活者を抱える東京都,横浜市,名古屋市,大阪市及び本市の5都市は,以前から定期的に連絡会議を開催しており,情報交換を行うなど,連絡をとりながら国への要望などを行ってまいりました。その結果,このたび国の対応策が示されたところでございまして,今後も具体的な支援策が出された段階で積極的に要望してまいりたいと存じます。以上でございます。

17番(徳竹喜義)

次に,野宿生活者についてです。ホームレス支援センターなどの総合的な支援体制を検討するとのことですが,いつごろ,どんな規模のものを考えているのか伺っておきます。また,雇用対策が問題を解決する決め手だと思います。大阪市などで始められている公園や道路の清掃など,行政としての知恵もお金も出して雇用の場を提供すべきと思いますが,伺っておきます。

◎健康福祉局長(蟹江徹也)

次に,野宿生活者についての幾つかのご質問でございますが,初めに,ホームレス支援センター等についてでございますが,今年度,国の補助を受け東京都,大阪市,横浜市が設置すると仄聞しておりますので,設置場所や運営状況を参考にしてまいりたいと考えております。

 次に,雇用対策についてでございますが,野宿生活者問題の解決には重要な課題ですので,ホームレス問題連絡会議等を通じまして国に強く要望しているところでございますが,この間,本市といたしましては,公共職業安定所や県商工労働部等関係機関と連携を密にし,1人でも多く就労できるよう努力してまいりたいと存じます。以上でございます。


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