埼玉県


埼玉県ホームレス支援計画推進委員会

http://www.pref.saitama.lg.jp/A03/BB00/homeless/suisinkaigi.html

社会福祉関係者 杉浦信剛 埼玉県社会福祉協議会副会長  委員長

学識経験者   宮寺由佳 浦和大学総合福祉学部専任講師 作業部会部会長

支援活動関係者 吉永京子 さいたまホームレスサポート

雇用対策関係者 河原塚真 埼玉県雇用対策協議会就労アドバイザー

市町村職員   松岡尚幹 戸田市福祉部福祉課長     副委員長

市町村職員   野田貞行 川口市福祉部福祉課課長補佐

(平成18年3月31日まで)


 ホームレス支援拠点(広域的・専門的支援活動の展開)について

〜平成17年度 ホームレス支援計画推進委員会作業部会報告 平成18年3月

1 現場から見た埼玉県のホームレスの現状

(1)疾病・障害を抱えた人が多く、治療を希望している者も多い。しかし現場で病院へ行くことを進言しても、身なりが汚いなどの理由や公的機関に対する遠慮から拒否するケースが目立つ。そのため健康状態が悪いまま路上で生活している人や、状況が悪化してから救急車で搬送されるケースが見られる。

(2)結核やその他感染症が疑われるケースもあり、当該本人の健康問題のみならず、周辺住民への感染も懸念される。

(3)通行人などによるホームレスに対する嫌がらせや暴力、居所としている車への放火などが発生している。

(4)わずかながらであっても就労をしている人が多い。補足的・部分的な支援があれば、路上生活を脱出できる可能性を持つ人も含まれている。また、年齢、住所、保証人、技能などが障壁となり、職安などが提供する仕事に就くことは事実上困難である。

(5)現状ではホームレスにとって、利用できる社会資源は生活保護と無料低額宿泊所利用の二つしか選択肢がなく、結局、路上生活が継続されてしまう。

2 ホームレス支援施策の現状と課題

(1)無料低額宿泊所

 県内のホームレス支援は、生活保護を活用し、無料低額宿泊所(27カ所、定員1,646人)に入所させた上で、多重債務等の生活課題を解決し、就労支援等を行うことにより、自立を図ることが中心となっている。

無料低額宿泊所の入所者には、高齢者、障害者、傷病者、DVの女性など、多様な人が含まれている。一部には、高齢者用等、専門に特化した宿泊所も設置されるようになったが、ハード的にもソフト的にも、様々なニーズに対応できる体制にはなっていない。従って、利用者の中には順応できないケースも生じている。

(2)路上等のホームレスに対する支援

 路上や河川敷等に起居するホームレス(平成17年8月現在、808人)を対象とする施策は、巡回相談員による巡回相談事業が中心である。しかし、その活動内容は安否確認が主であり、各種の生活課題に対応した支援手段が不足している。

(3)生活保護による対応の限界

 ホームレスに対する支援方策は、事実上、生活保護制度が唯一かつ最後の手段となっている。しかし最低生活費以上の就労収入や年金等の収入があるホームレスや就労能力を有し、働く場がありながらも就労しないホームレスは生活保護の対象にならない。また実際には要保護状態にあっても、行政とのこれまでの関わりが必ずしも良好でない人や役所に敷居の高さを感じている人は、生活保護の申請をためらう場合が多く、最終的には路上生活の長期化によって健康状態が悪化し、生命の危機にさらされる場合もある。

 また生活保護の対象となったとしても、実際に住むアパートを探したり、アパートに入居した後のきめ細かな生活支援等を全て生活保護で対応することは極めて困難である。

 このように生活保護制度に依存したホームレス支援は、必ずしもすべてのホームレス問題の解決に対して効果的ではなく、さらに各自治体にとっても、ホームレス支援の体制が必ずしも十分に整っていないため、困難が生じやすくなっている。

(4)他の制度利用の限界

 他の制度を、ホームレスが活用するには、生活保護以上に難しいといえる。例えば、ホームレスの中には、年金の受給権がある人や債務処理をすれば  社会復帰できる人もいるが、年金の受給申請や自己破産等の手続きをするための住所が設定できない等の問題がある。

(5)申請主義の問題

 生活保護を含めて、いずれの制度も、本人の申請があってから、相談が始まる。本人が制度そのものや申請窓口を知らない場合や申請窓口に行くことに消極的な場合には、対応できず、ますます生活が困窮するという問題がある。

3 民間支援活動の現状と課題

(1)支援団体の現状

 県内のホームレス支援を目的とするNPO等の支援団体は、県内に4〜5団体であり、巡回による相談活動や農作業による自立支援等、特色ある活動を展開している。団体の地道な活動によって、ホームレスとの信頼関係が構築され、現在ではアパート入居、就職、健康の回復などの成果が見られるようになった。

(2)マンパワー不足

 しかし、いずれの団体も小規模であり、継続的に関わっている支援者は10人前後である。加えて、医療、保健、社会福祉、社会保険、多重債務、労働、住居等の専門職が不足しており、またバックアップする機関がなく、専門的な相談への対応が難しいため、問題が放置されてしまうケースもある。

(3)団体間の連携の不十分さ

 こうした課題を克服するために、団体間の連携が不可欠であるという認識が強まり、現在、団体による定期的な連絡会を開催し、情報交換等を行う他、総合相談会や映画会を協力して実施するようになっている。

 このような機会を通じて、各団体の特徴や専門性が発揮されることによって、例えば、あるホームレスの疾病の発見と病院での治療を支援し、その結果、路上生活の脱出の見通しがついたケースもあった。またホームレス支援団体以外の団体との連携も構築されつつあり、精神疾患のあるホームレスに対して専門的支援を開始できたケースもある。

 しかし現時点では、各団体間のコーディネート役が不在であり、日常的な団体間の連携とシステム化された支援体制が構築されていないという状況である。

4 ホームレス支援拠点の必要性

 ホームレス問題の解決は、個々のホームレスの自立はもちろん、地域住民が安心して暮らしていくためにも重要である。従って、上記の課題を視野に入れた支援体制が必要である。

 ホームレス支援の資源が必ずしも十分でない埼玉県においては、既存の資源を効果的に活用するためにも、行政と民間の各分野の関係機関・団体が密接な連携を図り、総合的な支援を行う必要がある。

 また、各地域に密着した継続的な支援をベースとしながらも、それをバックアップする広域的専門的な支援が必要である。

 つまり、各分野の横の連携を充実させる(総合性)とともに、各支援機関のバックアップを図り、支援の層を厚くする(多層性)ことが求められる。こうした総合的多層的支援体制を構築する中核として、支援拠点が必要になる。

  【資料1】、【資料2】

5 支援拠点に求められる機能 【資料3】

(1)情報収集

・ホームレスに関する情報収集、分析

 ホームレスの実態や生活課題、支援ニーズ等を把握する。

・ホームレスの支援に関する社会資源の情報収集

 活用できる社会資源(場所、制度、支援内容等)を把握する。

(2)支援調整

・支援が必要なホームレスに対して、その場所やニーズを踏まえて、適切な社会資源を橋渡しする。

・支援活動を行っている各団体や機関の求めに応じて、福祉、医療、法律等の専門的見地から、人的コーディネートを行う。

(3)普及啓発

・地域住民や各種団体を対象に、ホームレスの実態やホームレス支援に関する理解を深めるため、普及啓発活動を行う。

(4)ネットワークづくり

・ホームレス支援に関する社会資源を開拓するとともに、社会資源相互の協力、連携ができる体制を構築する。

(5)社会復帰へのステップ

・制度や資源を利用するための前提条件を整え、社会復帰への足がかりとなる支援を行う。

 *衛生状態の改善、社会関係の形成、連絡先機能の提供など

6 支援拠点の運営主体

柔軟性、多様性、ネットワーク性に富み、ホームレス支援に実績のあるNPO等の民間支援団体による運営が望ましい。

   〔理由〕@ホームレスの多様かつ緊急の課題に対応するため。

        A行政に対する逡巡があるホームレス等に対応するため。

 また、運営主体となる民間支援団体のみに任せるのではなく、行政や様々な分野の支援機関・団体が組織的、人的に支える仕組みにする必要がある。

 例えば、今年度、NPOが先駆的に実施した「総合相談会」のような事業を、県や市町村の事業として位置づけ、その運営の一部を民間支援団体に委託するなどの方法が考えられる。

7 さらなる課題

(1)支援拠点の具体案

 現段階では、支援拠点の主な役割は、ホームレス支援団体のバックアップであり、また形態としては、入所型や通所型ではなく、職員が現地を訪問して支援活動を行うアウトリーチ型を構想している。支援拠点には、最小限、職員2名程度と事務スペースが必要と思われる。

 しかし支援拠点の具体的な場所、設備、運営の中心となる民間支援団体については、現時点では目処が立っておらず、さらに検討する必要がある。支援拠点を担う民間支援団体については、育成という視点からも県が積極的に関わっていく必要がある。

(2)役割分担

 支援拠点と行政機関との役割分担や県と市町村との関係等については、さらに詳細に検討する必要がある。支援拠点がホームレス支援の全てを担うものではなく、各制度の専門的運用は福祉事務所を始めとするそれぞれの行政機関において確実に実施されなければならない。

(3)既存の法令や制度等との関係

 「連絡先機能」等、既存の法令や個人情報の取り扱い等の課題が考えられることから、さらに検討する必要がある。

(4)地域住民との軋轢

 現実的に、支援拠点が設置運営されると、「地域のイメージが低下する」「ホームレスが集まってしまう」といった地域住民の不安も予想される。

 このことについては、次のようなことから理解を求めていく。

@支援拠点は、ホームレスの通所・入所の施設ではなく、支援拠点の職員がアウトリーチを行なうことや既存の支援活動のバックアップ機能が主であること。

Aホームレスの状態の維持ではなく、路上生活の状態から脱出し、社会復帰を目指すものであること。

B感染症の防止や防犯という観点からも地域に貢献すること。

Cホームレスに対する偏見や理解の不十分さから生じる誤解に対する啓発を行い、ホームレスに対する事件を未然に防ぐものであること。

8 検討方法

 上記の課題について、机上の検討だけでは限界がある。民間と行政の協働により、可能なところから試行的に事業を実施して、検証を進めていくべきである。

 また、推進委員会については、来年度以降も継続し、ホームレス支援計画の進行管理を図る中で、この支援拠点について、さらに検討していく必要が


第2編 第2章 埼玉県が市町村等と連携して行うホームレス対策

(平成17年度の主な事業の進捗状況)

                  ○は、平成17年度新規の取組

   項   目               実  施  状  況                                        

1 就業機会の確保          

(1)職業相談員による就労指導

              職業相談員事業 平成17年4月〜18年2月末現在

職業相談員 2人配置、就労者 43人

(2)職業訓練の機会提供              (宿泊所職員研修会で情報提供)

(3)個々の事情に合わせた相談・アドバイス           (宿泊所職員研修会で情報提供)

(4)就職支援セミナーの実施           (宿泊所職員研修会で情報提供)

(5)職業紹介事業の推進              (宿泊所職員研修会で情報提供)

(6)就職情報の収集・提供           (宿泊所職員研修会で情報提供)

2 安定した居住の場所の確保

(1)宿泊所の活用                      

平成17年8月現在 25施設、入所者1,424人

○宿泊所職員研修会の実施

  平成17年7月及び11月 参加者延べ62人

  内容:生活保護、就労支援施策、感染症対策等

・無料低額宿泊所に対する検査の実施

         実地検査:全17施設

         書面検査(経理等):全運営主体5団体

(2)県営住宅等の活用   

(3)民間住宅の活用       

3 保健及び医療の確保

(1)健康相談・保健指導                           

 (2)結核予防対策事業   

(3)関係機関との協力体制

              (保健医療部感染症対策室と連携して宿泊所職員研修会を を行った)

4 生活に関する相談及び指導体制の確保   

(1)巡回相談員             

平成17年4月〜18年1月末現在

        川口市、戸田市にそれぞれ2名の巡回相談員を配置

       面接件数 759件、内入院・入所22件

(2)歳末一斉巡回の実施

              平成17年12月〜18年1月 33市で実施

    456人を確認 内、5人が入所(宿泊所、養護老人ホーム)

(3)法律相談   

平成17年4月〜18年3月   13回実施 37人の相談に対応

(4)相談体制の整備

              ○ホームレス総合相談会(県補助事業)

  平成17年10月、12月 参加者(延べ)ホームレス30人、ボランティア75人

5 ホームレス自立支援事業

            ○ホームレス支援計画推進委員会作業部会において、ホームレス支援拠点の検討を行った 平成17年6月〜、4回

6 地域における安全の確保          

(1)パトロール活動の強化          

(2)再発防止活動の推進             

(3)適切な保護活動の推進          

7 民間団体との連携      

(1)NPOなど民間団体への支援              ○ホームレス支援団体(者)連絡会議の開催

民間団体相互の情報交換等を行った。平成17年5月〜、7回

 (2)情報提供    ○ホームレス支援ホームページを開設

 平成17年7月〜

(3)啓発活動    ○ホームレスに関する映画・講演会(県補助事業)

 平成17年10月 参加者:民生委員等


 第二種社会福祉事業(無料低額宿泊所)の届出の事務処理及び運営に関するガイドライン

                 埼玉県福祉部社会福祉課

 路上生活者や、火災、立ち退き等により住宅に困っている生計困難者に対して、社会 福祉法第2条第3項第8号の規定に基づき、無料又は低額な料金で利用させることを目的とした宿泊所等の届出の事務処理の方法及び運営について、以下のとおり定めるもの とする。

1 開設地の市町村等との事前協議

 開設希望者は、施設開設地を所管する市町村、県福祉保健総合センター(以下「市  町村等」という)と施設の開設前に施設運営や生活保護等に関する協議を行うこと。

2 住民説明会

 開設希望者は、市町村等と協議し、施設の開設前に地域住民に対する説明会を行い、  理解を得るように努めること。説明会の結果は、県及び市町村等に文書により提出すること。また、地域住民からの意見や要望等に対しては、担当者を定め誠実に対応すること。

3 県との事前協議

 開設希望者は、市町村等との協議及び住民説明終了後、県と協議を行い、開設日は原則として県との協議終了後とすること。

4 関係法令の遵守

(1)開設希望者は、労働基準法・消防法・食品衛生法・建築基準法など、各種法令を遵守すること。開設前には、施設開設場所を所管する労働基準監督署・消防署・保健所・県土整備事務所・市役所等において関係する基準や手続き等について必要な指導を受けること。

(2)定員あるいは面積などの規模により各種法令の規定が適用されない施設であっても、法の趣旨に基づいた運営に努めること。

5  第二種社会福祉事業開始届等

(1)社会福祉法第69条第1項により、開始日から1ヶ月以内に、次の事項を届け出ること。また、同条第2項により、届出の事項に変更が生じた場合、変更日から1ヶ月以内に届け出ること。事業を廃止した場合も、同様とする。

  ア 事業経営者の名称及び主たる事務所の所在地

  イ 事業の種類及び内容

  ウ 条例、定款その他の基本約款

   (ア)社会福祉法人、公益法人等

    定款、寄附行為等及び法人の概要が紹介されているものを添付すること。

   (イ)上記以外の法人、任意団体及び個人

団体の概要が紹介されているものを添付すること。個人については、設立の趣旨が分かるものを添付すること。

(2)開始届には次の書類を添付すること。

ア 法人及び施設の組織図

イ 事業経営者及び施設長の履歴書及び施設に従事する職員名簿

ウ 事業計画、予算書及び会計財産目録

エ 入居(入所、利用)規約

オ 入居(入所、利用)契約書

カ 施設賃貸借契約書

キ 施設見取図(平面図)

ク 施設及び設備等の写真

ケ 施設設備一覧

コ 施設案内図

サ 関係する不動産の登記簿謄本

シ 地域住民等に対する説明会の開催に関する報告書

ス その他関係機関等への届出書類の写し

 ただし、イの事業経営者の履歴書については、既に別の施設の届出に際して提出し、その後変更が無い場合、省略して差し支えないこと。なお、施設長及びその他の職員が、県内の別の施設から異動する場合、当該履歴書及び名簿の他に、後任者の履歴書及び名簿を添付すること。

6 設置基準

  施設の設置については、次の要件を満たすこと。

(1)建物は耐火建築又は準耐火建築であるなど建築基準法を遵守すること。

(2)10人以上の人員が利用できる規模とすること。

(3)一の居室は、原則として2以上の世帯に利用させないこと。

(4)居住スペースについては、入居者一人あたり居室面積4.5u及び延床面積7u を最低基準とすること。

(5)居室を地階に設けないこと。

(6)居室の出入り口は硬質な扉とするなど、プライバシーが守られるよう環境整備に配慮すること。

(7)談話室及び相談室を設置すること。兼用とする場合は、プライバシーが守られるよう配慮すること。

(8)食堂を設置すること。

(9)浴室は定員に見合った広さ及び設備を確保すること。

  洗面所及びトイレを居室のある階に定員に見合った数を設置すること。

10)誘導標識、避難口及び避難通路を整備し、利用者の安全確保を図ること。

  また、消火器及び避難器具等を設置するなど消防法を遵守すること。

7 職 員

 施設長及び必要に応じてその他の職員を置くこと。

 職員は、地域における社会福祉の増進に熱意を有し、業務遂行に必要な能力を有する者を充てること。

(1)施設長の要件

ア 社会福祉法第19条各号のいずれかに該当する者。

イ 社会福祉事業に2年以上従事した者。

ウ 上記ア又はイと同等以上の能力を有すると認められる者。

(2)その他の職員の要件

  可能な限り社会福祉主事の資格を有する者であること。

8 職員の職務

  職員は施設管理以外に、利用者等に対し次の業務を行うこと。事業経営者はその支援を行うこと。

(1)利用者処遇

 利用者の安定した生活を確保するため、生活全般にわたる相談に応じたり、健康管理に留意し通院等の援助を行う等、利用者処遇の向上に常に努めること。

(2)自立促進

 情報提供や相談に応じる等、就労援助を行うこと。就労が困難な者等に対しては生きがい対策を講じること。

(3)市町村等との連携促進

 施設の適正な運営の確保、利用者の処遇や自立促進等のため、市町村等と情報交換を行うなど、相互の協力体制を構築すること。

(4)地域住民との関係構築

 利用者や地域の福祉向上のため、住民の意思を尊重して、情報交換や地域活動を行い、良好な関係を構築すること。

9 入居費用等

 (1)居室使用料

  ア 居室使用料は、無料又は地域の実態等を勘案した低額なものとすること。

使用料を徴収する場合には、当該使用料に見合った居住環境を確保すること。

適正な使用料決定のため、決定及び見直しの方法について市町村等と協議をするなど連携を図ること。

  イ アの「低額」とは、近隣の同種の住宅に比べて低額な金額であること。

  ウ 敷金、礼金、更新料等による負担は求めないこと。

(2)食費、日用品費等

ア 食事、日用品等を提供し費用を徴収する場合は、利用者の負担に見合った内容のものを提供すること。

イ 光熱水費を徴収する場合は、実費相当とすること。

(3)(1)及び(2)の金額は、文書で利用者に明示すること。なお、(2)については、内訳も明示すること。

10 運営基準

(1)入居に当たっては、利用者に対し、社会福祉法第77条第1項に規定される書面を交付すること。

(2)入居に当たっては、保証人を求めないこと。

(3)危険物の管理は責任者を定め徹底すること。

(4)利用者のプライバシーを尊重した施設運営に努めること。

(5)食事を提供する場合は、各種法令を遵守するとともに、調理従事者、調理器具、食品、食器、食堂等の衛生管理に努めること。

(6)施設内の衛生管理に努めること。

(7)施設内における感染症の発生及びまん延防止に努めること。

(8)入浴は週3回以上行うこと。

(9)常に地域住民との相互理解に努めること。

   施設開設後も利用者の状況や施設運営等の情報提供を行うよう努めること。

10)利用者、住民等からの苦情に対しては責任者を定め適切な解決に努めること。

11)消防計画を作成し、避難訓練を実施すること。

12)職員処遇については、労働基準法等を遵守し、その向上に努めること。

13)事業経営者は、次の事項により事業経営の透明性を確保すること。

ア 領収書、契約書等を保管するとともに、施設の収支等に関する帳簿類を整備すること。

イ 貸借対照表及び損益計算書など収支の状況を毎会計年度終了後3ヶ月以内に県及び設置場所を所管する市町村等に報告すること。

ウ 利用者への情報公開

14)利用者名簿を整備し、効率的な処遇や非常時の適切な対応に資すること。

15)利用者が遵守すべき規則を定め、その遵守を徹底すること。

11 その他

(1)利用対象者は、埼玉県内に生活の本拠のある者とすること。

(2)開設地の市町村で要綱等を定めている場合は、指導を遵守するよう努めること。

(3)社会福祉法第70条により、必要な理由を明らかにして、関係行政機関から資料の提供、立ち入り検査等を求められた場合は協力をすること。

(4)社会福祉法第72条第1項及び第2項に該当した場合は、施設の経営の制限又は停止を命じられることがある。

 この命令に違反して施設を経営し続けた場合は、社会福祉法第131条の規定により刑事罰に処せられるものであること。

(5)利用者で組織される自治会等が利用者から費用を徴収して活動を行う場合は、その自治会等に活動実績や収支報告を利用者に報告するよう指導に努めること。

  附 則

 平成14年6月21日から施行する。

  附 則

 平成17年3月1日から施行する。


 

 

 


埼玉県のホームレス支援施策の概要                              埼玉県福祉部社会福祉課

1 巡回相談員による総合相談

    河川敷等で生活するホームレスに声をかけ、生活相談を行う。相談の結果により、宿泊所の利用案内、生活保護等の各種施策の活用に対する助言を行うとともに、関  係機関との連携を図る。

〔平成17年度〕川口市、戸田市に各2名配置

        延べ1,007人に面接し、施設入所15人、入院11人

 

 

2 特定非営利活動法人(NPO)活動費助成事業

 ホームレスを対象とした支援活動を行うNPOが、相談事業、物資配付、研修事業等を実施した場合に、事業に要した経費を助成する。

      補助率2/3、1団体当たり補助額上限200千円

 

 

3 弁護士による法律相談

 ホームレスの自立を妨げる要因となる借金問題等を解決するため、生活保護を受け、宿泊所等に入居している元ホームレスに対し、弁護士による法律相談を実施する。     埼玉弁護士会に弁護士を派遣依頼 毎月実施。

      〔平成17年度〕対象者37人。相談後、自己破産の手続き等を行った。

 

4 職業相談員事業

 ハローワークと連携して、専任の職業相談員による相談、求人情報の提供、職業訓 練を実施し、ホームレスの就労自立を支援する。   

    埼玉県雇用対策協議会に委託 相談員2名

       〔平成17年度〕対象者91人。内、46人が就労を開始した。

 

5 ホームレス自立支援推進事業

 県ホームレス支援計画の推進を図るとともに、セミナー等を開催してホームレス問題に関する啓発を行い、行政、民間支援団体、地域によるホームレスを支援する体制の構築を図る。


 ホームレスに対する歳末一斉巡回の実施について

目的

ホームレスに関わる事故や事件の発生予防のため、また、一段と寒さが厳し

くなる歳末を迎えることから、県内各市で巡回を実施し、ホームレスの状況把

握や相談、保護等を行う。

実施主体埼玉県、県内各市(33市)

さいたま市、川越市、熊谷市、行田市、秩父市、所沢市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、ふじみの市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、吉川市

実施時期平成17年12月20日〜12月27日

(一部、この期間の前後での実施あり)

実施方法市職員2名程度の体制で市内を巡回し、本人に直接面接する。

その状況や希望により、宿泊所への入所や医療機関への受診等を勧め、必要な保護を行う。

その他戸田市については、県市共同で実施する。

〔実施時期〕平成17年12月22日(木)午前9時〜午後4時

〔実施体制〕市職員3名及び県職員1名


 【ホームレス支援団体活動費補助事業概要】

 

1 補助対象団体

  県内に、定款に記載された事務所を有し、県内で活動している特定非営利活動法人

 

2 補助対象事業

(1) ホームレスの自立に有効と認められる事業

(2) 県民のホームレスに関する理解を促進する事業

(3) ホームレスを支援する活動を助長する事業

(4) 上記以外に、特に知事が必要と認める事業(物資提供を主目的とする事業、無料低額宿泊事業の運営及びそれに付随する事業は対象外)

 

3 補助率 対象経費の2/3 (一団体200千円を上限)

 

4 申請書受付期間

  平成18年7月3日(月)〜7月31日(月)

 

5 申請書提出先

  埼玉県福祉部社会福祉課ホームレス対策担当

 

平成17年度実績

NPO法人さいたま自立就労支援センター 

  地域住民を対象とした普及啓発事業(映画会&講演会)

NPO法人埼玉チームケアさぽ〜と

  ホームレスを対象とした支援事業(総合相談会)


 (1)県内ホームレス数

調査時期13年8月 14年8月 15年1月 15年8月 16年8月 17年8月

人数   627    747   829    711    753    808

 

 


埼玉県社会福祉審議会議事録

 

◆日 時 平成15年11月18日(火)午後2時〜4時

(3) 埼玉県ホームレス支援計画の策定について

【事務局】

 社会福祉課長から資料3-1及び3-2により説明

 

【質疑応答】

(小笠原委員長)

 ホームレスの方々に対する様々な事件、事故など、人権をどう守るのかということを含めて、深刻な状況が広がっている。県内でも800名強の方がおられる。この方々に対する支援の計画をこれからつくっていくということで、これについて御意見をいただきたい。

 

(鈴木委員)

 ホームレスが829名いるというが、どこにいるのか。

 

(社会福祉課長)

 今年の1月に市町村の職員が目視で調査している。駅や橋の下、公園など様々なところにいる。市町村別では、さいたま市に211名、戸田市に97名、川口市に71名、八潮市に30名、川越市に29名、蕨市に29名、蓮田市に25名、越谷市に23名など県南に多い。

 

(鈴木委員)

 この中で、すぐにでも病院に入らないといけない、医療的な対応が必要という方はいるのか。

 

(社会福祉課長)

 目視しただけで、829人に対しては直接声掛けをして状況を確認したわけではないので、確認していない。

 

(鈴木委員)

 現時点では、炊き出しなどはないのか。

 

(社会福祉課長)

 都内ではNPOなどが炊き出しをしているが、埼玉県では現在ない。

 

(鈴木委員)

 病気の方を収容する計画もないか。例えば生き倒れている人など。これから冬に向かっていくが・・・。

 

(社会福祉課長)

 保健所などで巡回相談、健康診断などを行うことを現在検討している。各福祉事務所では、生活保護を適用するという形で対応している。これは本人が申請するものだが。

 

(秋山委員)

 ホームレス対策については、やや及び腰のような感じがする。就労する意欲があるかないかということを前提で物を考えているように思う。ホームレスが路上生活をしているわけで、まずこうした方々を一掃すること、これが行政としての仕事だと思う。自立する意欲のない人は放っておくという感じがしてならない。収容施設をつくって、強制的に収容するということも必要ではないか。

 

(社会福祉課長)

 私も実際にホームレスが生活している荒川にも行った。また、公園にも行ったが、最初声がかけられない。声をかけると「何しにきたんだ」と不信の目で見られ、話も聞いてもらえない。現在、巡回相談員を川口と戸田に2名づつ配置して、毎日、毎日粘り強く声掛けをしている。路上生活が好きでやっているので、かまってくれるなという人が非常に多い。そういう方々を強制的に民間の宿泊所に収容するということは難しく、本人の意思を確認してからでないとできない状況である。ホームレスの自立を促すということから初めて、生活保護で対応するということを市町村や各福祉事務所で真剣に対応していて、施設に収容することまでは行っていないのが現状である。

 

(秋山委員)

 河川敷の橋の下などは公的な場所であり、そこを占有している。そういうことに対しては、有効な手段がとれるのではないか。

 

(社会福祉課長)

 市町村でもいろいろな分野と連携していて、河川敷などでは台風や大雨で水が出ると危険なので待避を指導しているが、いなくなってはまた現れるということで、なかなか思うにまかせない状況である。

 

(岡田委員)

 私が住んでいる近くの公園にもホームレスの方がいる。自治会なども何とかしなければということで、行政にお願いしても対応が仕切れていない。まち中の公園なのでお母さんが子どもを連れてきたり、小さな子どもがみんなで遊んでいるところである。万一何かがあれば非常に問題となる。強制的にやるということではなく、説得しながら仕事につかせるとか、収容するとか、そうしないと事件に繋がるのではないか。そう感じている。

 

(社会福祉課長)

 強制執行については、今、再確認したが、10年の時限立法であるホームレスの特別措置法の最後の11条に、「公共の用に供する施設の適正な利用の確保」というところで、都市公園など公共の用に供する施設を管理する者は、適正な利用が妨げられるているときは必要な措置がとれるので、この辺を今後徹底していきたい。

 

(秋山委員)

 こうした点を確立しないと、基本的な問題の解決にならない。県も収容施設を用意しないと追い出したことになる。施設を用意すれば、住むところがあるのになぜ来ないのか、という理屈も成り立つので施設は必要である。

 

(小笠原委員長)

 一つはホームレスの方々の安全の問題、一つは地域住民の安全の問題ということで、非常に難しい点がある。強制的な対応もあり得るのではないかということと同時に、本人の意思をどう尊重するのかということは社会福祉法の基本的な理念なので、そこに抵触するわけにもいかず、痛しかゆしである。

 なお、施設への宿泊者がいるとの説明があったが、施設は既に準備してあるということか。また、整備することも考えていくということか。

 

(社会福祉課長)

 民間の宿泊所が県内18か所あり、約1,300名入所している。また、埼玉県としては、ホームレスの数が首都圏ではそれほど多いというわけではないので、新たに整備するということではなく、民間の宿泊所の力を借りながらと考えている。

 

(小笠原委員長)

 警察との連携も必要になってくると思うのでよろしくお願いしたい。


 埼玉県議会


 【 平成16年 12月 定例会-1209日−05号 】

P.370 ◆ 二十一番(石田昇議員)

次に、ホームレス問題についてでございます。

 今日の厳しい経済や雇用情勢を背景に、何らかの理由により、ホームレスと呼ばれる状態となることを余儀なくされている人々が増加しております。失業が大きな原因として挙げられますが、借金を抱え、一定の居所を構えた社会生活を送ることが困難になるなど、様々な事情及び原因によりホームレス生活を余儀なくされる人が多く存在しているのです。

 厚生労働省が平成十五年に実施したホームレスの実態に関する全国調査によると、全国のホームレスの人数は二万五千二百九十六人で、都道府県別では大阪府が七千七百五十七人、東京都が六千三百六十一人、愛知県が二千百二十一人と、主に大都市に集中していますが、視察で愛知県の名古屋市に行ったとき、道路の中央分離帯にブルーシートの群れが連続してございました。通行したときが夏の暑い時期であったため、風通しをよくするために入り口のシートが開いていたのがほとんどでございましたので、多くのホームレスが住んでいるのが見えました。上を見上げますと高速道路であるために屋根として利用され、暑い日差しも、また雨も避けられる場所として住居をつくっておりました。中には、家の形にブルーシートを覆い、中にテレビを持ち込んでゆったりと定住をしているかのように思えたのもありました。また、町じゅうの公園内にもところどころにブルーシートがあり、聞くところ、甚だ街の中心部に近いこともあり、目にするには迷惑なところということで恐縮しておりました。

 以上のように一例を挙げて述べさせていただきましたが、ホームレスの問題は周辺都市に広がりを見せており、一方では、ホームレスへの殺傷事件に象徴されるような社会的な偏見が広がるなど、全国的に深刻な社会問題であると言えます。

 埼玉県でも、平成十五年に厚生労働省調査の一環として調査を行ったところ、県内では八百二十九人のホームレスが確認されました。多くのホームレスが生活する地域は、さいたま市二百十一人、戸田市九十七人、川口市七十一人となっており、また年齢分布は五十から五十九歳が全体の五〇パーセント、六十から六十九歳が二七・五パーセントを占め、公園や河川敷において多くのホームレスの確認がされるなど、全国調査と同様の傾向が見られます。

 鳩ヶ谷市内でも数年前に、公園の公衆トイレの中に、その公衆トイレは車椅子に乗った高齢者や身障者の方々にも利用できるように設計されていたため、トイレのスペースが広いので、ホームレスが段ボールや布団などを持ち込み、内側からかぎをかけ入り込んだことがありました。トイレに入れないと通報があり、駆けつけたところ、ホームレスが中にいたとのことでありました。ほかでもこのような出来事が起きたことがあると聞き及んでおります。

 ホームレスに至った要因といたしましては、倒産や病気、けが、高齢などで仕事ができなくなるなど、就労意欲はあるものの失業状態にあること、医療や福祉などの援護が必要でありながら社会的な束縛を嫌う、あるいは諸般の事情から身元を明らかにしないなど、社会生活を拒否することなどが挙げられます。そうした中で、中高生によるホームレスに対する集団暴行事件に象徴されるような社会的排除も背景として挙げられることから、ホームレス支援に向けて対策を講じる必要があると思います。

 埼玉県では、国のホームレス自立の支援等に関する特別措置法第九条第一項に基づき、平成十六年三月に埼玉県ホームレス支援計画を策定し、諸課題の解決に向けた取組が始まっております。しかし、社会生活を拒否しているホームレスが仕事や自立した生活を取り戻していくことは容易ではありません。働かせようとしても、意欲を持たせなければならず、身元を明かさないなどでは、誰が身元の保証をして就労させていくのか、課題はたくさんあると思います。

 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。

 ホームレスに食料、住居、そして医療などの健康についてどのように支援されていくのか。そして、社会復帰の支援対策など自立に向けた施策や啓発活動もお伺いいたします。そして、声掛けなどはボランティアやNPOの協力も必要と思いますが、民との協力体制についてもお伺いをいたしますので、健康福祉部長の御所見を賜りたいと思います。

◎伊能睿健康福祉部長 御質問五、ホームレス問題についてお答えを申し上げます。

 ホームレスの自立支援につきましては、議員御指摘のとおり、住居、健康、就労など数多くの問題を抱えております。その中でも、まず安定した住居の確保が何よりも最優先に解決しなければならない問題と考えております。そのため県では、河川敷や公園などに居住するホームレスに対し、巡回相談員や福祉事務所などの関係職員が巡回しながら生活相談を行い、生活保護制度などを活用した無料・低額宿泊所への入居など、住居の確保について支援しているところです。このように生活保護を受けて住居を確保していただくことにより、食料、衣服、医療など、生活していく上で必要な課題も順次解決できるものと考えます。

 次に、社会復帰の支援策についてでございますが、平成十五年の全国調査によりますと、ホームレスの六割以上の方が就労の希望を持っているという結果が出ております。そこで、平成十五年度に県雇用対策協議会の御協力をいただき、職業相談員一名による就労支援を始めましたところ、四十七人が就職に結び付く成果がございました。十六年度には、更に職業相談員を一名増員して充実を図りました。また、ホームレスになった原因として、多重債務に陥ったことが多く認められますことから、弁護士による法律相談なども併せて実施いたしまして、自立を促進しているところでございます。

 次に、啓発活動についてでございますが、ホームレスに対する社会的偏見は、人権にかかわる大きな問題でございますので、関係部局と連携を図りながら、偏見の解消に向けた啓発活動に取り組んでまいります。

 次に、住民との協力体制についてでございます。ホームレスの自立支援を推進するためには、議員御提言のとおり、声掛けなどを通した街頭相談や夜間パトロールなどを行うボランティア、NPOなどと連携することが必要であると認識しております。このため、平成十六年度予算でお認めいただきました特定非営利活動法人活動費助成事業によりまして、ホームレスの自立支援を行うボランティアやNPOなどの育成に努めているところでございます。

 県といたしましては、市町村、警察をはじめとする関係機関、NPOなど多くの方々の御協力をいただきながら、ホームレス問題の解決に取り組んでまいりたいと思っております。


 【 平成15年  2月 定例会-0225日−03号 】

P.239 ◆ 九十二番(秦哲美議員)

次に、ホームレス対策について質問します。

 私は、平成十一年二月定例会の一般質問でホームレス問題について質問しましたが、当時の労働商工部長、健康福祉部長は「国の動向を踏まえて対応する」と答弁しています。平成十五年度予算にホームレス対策の推進が計上されていることは、隔世の感があります。平成十四年八月七日にホームレスの自立の支援に関する特別措置法が施行されています。厳寒の折にもかかわらず、駅舎、公園、路上などで段ボールにくるまって生活しているホームレスを考えると、まさに人権問題であり、生活保護の適用や施設入居などの措置、医療や生活相談窓口の設置など、市町村と提携して積極的に支援していくことの必要性を痛感しています。ホームレスの中には、長い不況で企業の倒産、リストラで失業した人がやむなく路上生活者になっているケースもあります。実効性のある支援策を講じる段階にあると思いますが、知事にお考えをお伺いします

P.259 ◎ 土屋義彦知事

次に、御質問第八のホームレス対策についてのお尋ねでございますが、今日、不況という社会的要因もあり、本県においてもホームレスが急増しております。また、事件に巻き込まれる事態も発生するなど、路上生活を余儀なくされている方に対する支援は、一刻も猶予ならない課題と認識をいたしております。これまで生活保護を中心として積極的な保護、救済に努めてまいったところであります。また、昨年末には、職員に指示し、厳しい寒さの下にあるホームレスの方を一人でも多く救済するため、市と一体となって巡回させたところでございます。

 現在、県内の民間宿泊所などで約一千百人の方を既に保護しており、その現状を把握し、今後の対策に生かすために、宿泊所を利用するホームレスであった方に対し、聞き取り調査も実施いたしました。その結果、仕事の減少やリストラなどを原因とする方が多く、また、就業への意欲を持った方も約四割を占めていることが明らかになりました。

 ホームレス問題の解決には、保健・医療・福祉をはじめ、雇用、住宅など幅の広い対応が必要なことから、平成十五年度におきましてはホームレス担当組織を新たに設置し、全庁を挙げて取り組んでまいります。併せて、巡回相談と保護を担当する専門相談員や就労相談、求人情報の提供などを行う職業相談員をホームレスの多い県南の市などに配置し、実効性のある事業を進めることといたしました。ホームレス問題は、人権に大きくかかわる社会全体の課題でございますので、庁内はもとより、市町村、警察を含む関係機関、NPOなど多くの方々の協力をいただきながら、その解決に全力で取り組んでまいりたいと存じます。


 【 平成14年 12月 定例会-1212日−05号 】

P.357 ◆ 四十番(白石孝一議員)

次に、ホームレス対策についてお尋ねいたします。

 先日、熊谷市で発生したホームレス状態にあった人に対する傷害致死事件は大変痛ましい事件でありました。報道によりますと、亡くなった被害者の方は一年以上前から事件のあった場所で生活していたようであります。福祉事務所の職員も何度も接触に試みて、やっと相談に応じる兆しが見えてきた矢先のことで、こうした場合の対応の難しさも認識したところであります。

 本県が今年九月に実施したホームレス数についての調査では、全県で約七百四十七人と、前年の調査と比較して百二十人も増加していると聞いております。私の住んでいる桶川市においても、ホームレスの人を対象とした民間の宿泊施設が本年開設されましたが、入居者は、桶川市をはじめ周辺市町村からも入ってきておりまして、既に空きがない状態にあります。増加するホームレスへの対策は、一市町村で解決できる問題ではないことから、県と市町村が連携した対応が必要であると強く痛感しております。現下の経済状況にあって、今後もホームレスになる人たちが更に増えることが予想される中で、本県としても積極的な取組が求められてきております。そこで、埼玉県におけるホームレス対策について現在どのようなことを行っており、また、今後どのような対策を考えているのか、健康福祉部長にお伺いいたしたいと思います。

P.376 ◎ 井上晶子健康福祉部長

次に、御質問十、ホームレス対策についてお答えを申し上げます。

 まず、ホームレスに対する現在の対応といたしましては、一般の生活保護受給者と同様に適切な保護を行うよう各福祉事務所を指導しておりまして、九月一日現在、八百九十一人の方が民間の宿泊所などで保護を受けております。また、今回発生した傷害致死事件に際しましては、担当職員の研修会を開催し、ホームレスの状況把握と相談や保護を適切に行うよう、改めて周知徹底を図りました。

 次に、今後の対策でございますが、福祉事務所に専任職員を置き、巡回による相談や保護を行うことを検討しております。また、就業に結びつく各種の資格取得など自立に向けた積極的な支援を行うため、現在、かつてホームレスであった人たちに対し、これまでの状況や今後の生活において何を期待しているかなどについて個別の面接調査を実施しております。

 これらホームレスへの具体的な支援に当たりましては、市町村と一体となった雇用、住宅、福祉、保健など幅広い分野での取組が必要となりますので、市町村に対し、担当窓口の設置や強化を働き掛けますとともに、警察、病院、ハローワーク、道路や公園などの関係機関による連絡調整会議において、それぞれの役割を明らかにしてまいりたいと考えております。ホームレスとなることを余儀なくされた方々への支援は社会全体の課題でございますので、庁内はもとより関係機関との連携を密にして、その解決に取り組んでまいります。


 【 平成14年  9月 定例会-1003日−05号 】

次に、ホームレス問題についてお伺いをいたします。

 かつての日本経済成長は、産業の発展とともに国民生活の向上等に大きく貢献し、我々も様々な生活の面でそれを享受してきました。しかし、バブル経済の崩壊後の今日、現在の経済不況、雇用環境の悪化・停滞は、私たちの生活に不安をもたらし、また様々な深刻な問題を生んでおります。

 こうした中、いわゆるホームレスと言われる人たちがおり、経済不況のあおりを受けてホームレスを余儀なくされている人々が多くなっていることも事実かと存じます。ホームレスは、厚生労働省の調査によると、昨年九月末現在でも全国に二万四千人とされております。今後の景気の動向によっては、その更なる増加等が憂慮されるところです。

 また、ホームレスは首都圏だけでなく地方都市でも増加していると伺っております。私の住む戸田市においても、公園や河川敷等にも相当数のホームレスがおり、行政として福祉的に何らかの手だてやアプローチができないものか、私自身、日々思いをめぐらしております。また、市民の方々からも同様の相談やお話をいただくこともあります。ホームレス状態であれば、空腹や不眠、通行人とのトラブルなど、日々の厳しい生活が想像されるところであり、まず食事や住まいの確保といった基本的な生活を望んでいるはずです。また、ホームレスの人たちは現在の状態を何とか脱したい、自立に向けてもう一度頑張ってみたいと思っている人も少なくないはずです。国においてもホームレス法案が成立し、ようやく国や地方自治体の責任においてその対策が進められようとしております。

 そこでお尋ねします。県内にホームレスはどのくらいいるのか。また、現状ではどんな対策が行われ、また今後どのような対策を図っていくのか。

P.408 ◎ 井上晶子健康福祉部長

次に、御質問七、ホームレス問題についてお答えを申し上げます。

 まず、県内のホームレス数についてでございますが、平成十四年九月に実施いたしました県の調査では、四十五の市町村で七百四十七人が確認されております。

 また、現状での対策についてでございますが、市町村と連携し、巡回による相談・指導あるいは宿泊所の情報提供などを行いながら、主として生活保護制度で対応しており、現在八百九十一人が入院や民間の宿泊所などで保護を受けております。

 次に、今後の対応についてでございますが、先般成立したホームレス自立支援法におきましては、雇用、住宅、福祉、保健など各種の施策を総合的に推進することが求められておりますことから、全庁的に対応していくための庁内連絡会議と併せて、市町村及び警察署、病院、ハローワーク等の関係機関と連携し、具体的な対策を進めるための連絡調整会議を発足させるなど、ホームレス対策の推進体制を整えたところでございます。

 また、過去にホームレスであった人たちに対し、当時何を望み、今後何を期待しているかなどの調査の準備を今進めておりまして、その調査結果を踏まえ、関係機関との連携を図りながら、ホームレスの自立支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


 【 平成12年 12月 定例会-1212日−03号 】

P.214 ◆ 二十九番(並木仁議員)

次に、ホームレス対策と生活保護行政の充実について伺います。

 厚生省が九九年十二月にまとめた調査結果では、全国のホームレスの数は二万人を超え、七か月前の調査結果より約四千人も増えました。今回の調査から大宮市と川口市は調査対象に加えられました。ホームレスの急増の要因がリストラや倒産で職を失い、住居を追われた結果であることは、国と東京都などでつくるホームレス問題連絡会議が「経済・雇用情勢の悪化等がホームレスを増加させている」と分析していることでも明らかです。昨年五月、国もホームレス問題に対する当面の対策についてをまとめ、ようやく対策に乗り出しました。今年度全国八か所の自立支援施設に財政支援し、東京と大阪に無料宿泊所を開設するとしています。

 自治体でも東京都では二十三区とともに、就労意欲のある人たちを一定期間宿泊させ、自立を支援する路上生活者自立支援センターを五か所に設置することを決め、先月二か所で事業が開始されました。神奈川県も実数調査を実施し、今年九月に県市町村連絡会議を設置しました。ところが、本県はというと、深刻な社会問題となっているホームレス問題について実態調査すら行っていません。寒空の下、多くの方が路上生活を余儀なくされている実態はこれ以上放置できません。緊急に対策を講じるべきです。具体策として次の二点を提案します。

 第一に、県として聞き取り調査も含めた実態調査を行い、人権を守る立場から住居の確保や食事の提供、就労相談や就労の場の提供、医療ケアなどの対策を具体化すべきです。

 第二に、ホームレスが急増している背景に八〇年代からの適正化の名による生活保護行政の極端な締めつけがあることは明らかです。厚生省は今年三月の自治体担当者会議でも、「住居の有無は条件ではないこと、働く能力はあっても求職に努力していれば保護の対象となる」と説明しています。県としても同様な立場で生活保護行政に当たるとともに、市町村に対して生活保護申請は必ず受け付けるよう徹底すべきであります。また、生活保護の適正化を求めた百二十三号通知は撤回するよう国に求めるべきです。

P.238 ◎ 井上晶子健康福祉部長

次に、御質問六、ホームレス対策と生活保護行政の充実についてお答え申し上げます。

 まず、実態調査と対策についてでございますが、本県におけるホームレスの方々の実態につきましては、全国主要都市を対象とした調査によりますと、平成十一年十月現在、大宮市六十九人、川口市六十五人となっておりますが、県全体での実数は把握されておりませんことから、実態調査につきましては、今後市町村等関係機関との連携を図りながらその体制等について検討してまいりたいと存じます。

 現在、国におきましては、関係省庁及び関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議が取りまとめた当面の対応策に基づき、ホームレス自立支援事業などを推進しております。県におきましても、ホームレス対策の基本は自らの意思で自立して生活できるよう支援することにあるとの認識の下に、就労の問題につきましてはハローワークと連携するとともに、生活の相談や住居、医療などにつきましては、生活保護法の活用も含め御相談に対応できますよう福祉事務所に対して引き続き助言を行ってまいりたいと存じます。

 次に、生活保護行政についてでございますが、生活保護法は憲法で保障された生存権を実現するものであり、日ごろからその重要性を認識し、法の適正な運用に努めているところでございまして、実施機関である福祉事務所に対しましては、保護を必要とされる方の相談に際し、住居の有無や稼働能力などについて表面的にとらえることなく、その困窮の実態を十分把握した上で、保護の適用について検討するよう助言を行っているところでございます。また、保護の申請につきましては、制度の趣旨を十分説明し、申請意思のある方につきましては、申請を受理し、その上で必要な調査に基づいて決定するよう助言しているところでございます。

 次に、百二十三号通知につきましては、真に保護が必要な方に適切な保護が行われるよう資産や収入状況の確認事項などについて事務処理が示されているものでございまして、保護を必要とする方の立場を十分尊重し、適正に運用してまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。


 【 平成11年  2月 定例会-0226日−05号 】

P.514 ◆ 七十七番(秦哲美議員)

次に、ホームレス問題について質問します。

 大宮市内には、大宮駅周辺を中心に、西口の歩行者デッキ下や公園等に住み着いているホームレスが三十余名もいると言われています。特に、大宮駅西口のアルシェ前の歩行者デッキ下の階段付近には十五名近くものホームレスが集団で寝泊まりしています。段ボール、毛布、衣類、傘、炊事用具等の生活必需品を所狭しと並べているもので、まちの景観を著しく阻害しています。

 この場所は大宮駅西口の駅頭にあるため、毎日大勢の人が往来していて、ひんしゅくをかっています。また、日中は二階の歩行者デッキの広場で段ボールを敷いて寝込んだり、じっと黙り込んで座っているため、一休みしようとする高齢者等が居場所を奪われた状態になっています。

 しかし、このままの状態が続いていくと、市民生活にかなりの影響が出てくるものと憂慮しています。

 ホームレスは、それぞれ今日に至った様々な事情があると思いますが、せんじ詰めればバブル崩壊の犠牲者でもあります。国は、不況でホームレスが急増していることを重視して、この二月十二日に、国と東京都、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市でホームレス問題連絡会議を設置して、ホームレス対策に乗り出しました。自ら自立する意思を持たないホームレスの自立支援策はほとんど考える余地がないと思いますが、社会問題化している今日、このまま放置しておくわけにもいかないので、人道的な立場に立って、今後、方策を検討していただきたいと思いますが、このことについての見解を、島村労働商工部長及び健康福祉部長にお伺いします。

◎島村秀夫労働商工部長 御質問四、ホームレス問題についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。

 いわゆるホームレスの方々は、様々なかたちで日々を過ごされ、また、多くの問題を抱えているものと思われ、その雇用ということにつきましては、必ずしも就労意欲があるかどうか把握が難しい問題もございます。現在、県下十四の公共職業安定所で行っております職業紹介につきましては、就労意欲を持った求職者に対する就職活動の支援として取り組んでいるところでございまして、ホームレス対策につきましては、お話にございましたとおり、現在、国におきまして、ホームレスが急増しております東京都や大阪市など、五つの大都市自治体と国の関係省庁によりますホームレス問題連絡会議を設置し、対応に乗り出したところでございますので、今後、その動向を十分注視してまいりたいと存じます。

◎遠藤明健康福祉部長 御質問四、ホームレス問題についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。

 公園や路上で生活しているいわゆるホームレスと呼ばれる人々の本県における実態につきましては、これらの方々が移動することもあり、正確には把握されていないのが現状でございます。これまでも、福祉に関する相談につきましては、福祉事務所等におきまして個々に対応してきているところでございますが、これらの方々が抱えている問題は、福祉分野のみならず、医療、雇用、住宅など幅広い分野に及ぶとともに、それらの原因も複雑かつ多岐にわたっております。そのため、ホームレス問題への対策につきましては、国をはじめ都道府県、市町村がどのような役割を担い対応していくのか、国においても、関係自治体の協力を得て検討が開始されたと聞いております。

 県といたしましては、こうした国の動向を踏まえまして、市町村や関係機関との連携を図りながら、その対応について研究してまいりたいと存じます。