兵庫県尼崎市


 尼崎市地域福祉計画  平 月  尼

 

住みよい地域をつくる基盤づくり

(1) 地域福祉の意識啓発

社会環境が大きく変化する中で、本市においても、ストレス社会が原因で起こるとされる精神障がい者への対応、ひきこもりや不登校、さらにはホームレスなどの問題が私たちの身近に存在します。これらの人々は、固定観念や風体だけで判断され、そこに至るまでの経過や要因等を考慮せず、いわゆる偏見のみが先行し、正しい理解がされているとは言えないのが現状です。

これらの問題に対する偏見や差別感は簡単には払拭(ふっしょく)されるものではありませんが、市としては、一人でも多くの方が正しい知識と理解のもとに行動できるよう、粘り強く啓発に努めていかねばなりませんし、ホームレス問題についても現在実施している個別対応だけでなく、県との連携のもと、広域的な対応からの措置がなされなければなりません

いずれにしても事業者も含め、より一層のノーマライゼーション理念の普及促進が必要です。

なお、浸透しつつある男女共同参画の視点は地域福祉を推進する上での前提であることは言うまでもありません。

<市民の役割>

l 地域住民は、ホームレスなどに対して、単に外見や風評だけで判断せず、正しい知識と理解のもとに行動できるよう努めます。

<市の役割>

l ホームレス問題については、県が策定した「兵庫県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」をもとに県と連携して広域的で適切な対応を図っていきます。


 第2回 計画策定部会会議報告

  

日時 平成16年6月1日(火)午後2時〜4時  

場所 すこやかプラザ 多目的ホール

   出席者 (委員)

藤井委員、松原委員、大石委員、東田委員、右下委員、上田委員、中根委員、桑山委員、小林委員、藤原委員

(市関係者等)

健康福祉局総務部長、障害福祉課長、高年福祉担当課長、介護保険管理担当課長、保健企画課長、企画担当課長

  会議結果等

 平成16年度最初の計画策定部会のため、人事異動のあった健康福祉局総務部長からのあいさつを行った後、藤井部会長の進行により、予定の議題について審議を行った。骨子については、前回の会議で総論部分でいただいた意見を反映した、全体の叩き台(施策体系などの一部を除く。)を示し、論議をいただいた。その際の主な発言は次のとおりであった。

(委 員) ホームレス等の問題については、具体的にどこで扱ったらよいと考えているのか。

(委 員) 私は、入るとすれば基本目標「人を育て・つなげる」の「支えあうコミュニティの形成」の項目のところをイメージしています。

(委 員) ホームレス、異文化の人については、理解不足や認識不足といった意識面での問題が切り離せないと思います。ですから、併せて「住みよい地域をつくる」の「地域福祉の意識啓発」にも入るのではないかと考えています。

(委 員) かなり前に、ホームレスの施策を県がしていたことがあったが、それは今どうなっているのか。県から民生委員の講習会などが開かれていたが。

(事務局) 現在ホームレスの対策は遅れている状況であると思いますが、その施策については聞いておりません。実際その対応は福祉事務所でも扱いにくく、苦慮しているところです。そこらへんの仕組みを今後どうしていくのかが大きな課題となっています。

(委  員) 現象的には家がないということだが、実際に社会生活になじめないとか、精神的な疾患があるいろんな原因があったりするので、それに対応する仕組みがきちっと国・県・市の役割分担も含めて順調にできていない。女性や子連れのホームレスもでてきているのではないか。子どもの修学などの問題も出てくる。

(事務局) 今の生活保護制度の中では、家族全員について対応できない。

(委  員) ホームレスの支援ということで、NPOが古い文化住宅などを借り上げて住まわせ、生活保護を受けさせて、その一部を取っており、その取り分が多く不満でそこから出て行き、またホームレスになるといった事例をよく聞いている。

(委  員) NPOでもいいところばかりでなく、いくつか悪いところが出てくる時もある。

(事務局) そういう噂を聞いたことがあるが、自立の意志があり、そのような施設に入り実際に自立していく場合もあるので、非常に難しい問題ではあります。

(事務局) 社会的援護を要するというのは、都市問題の現れとして尼崎としては押さえておいたほうがよいだろうと思います。その中でも何を切り取って地域福祉計画に取り上げるのかその精査は必要になると思います。

(委  員) ホームレスなどの人権尊重の視点について、お金がかかるかからないの事もあるだろうが、これまでの意見を踏まえて書き入れておけばどうでしょうか。


 第8回車座集会 

 日時:平成17年12月4日(日)13:00〜15:00 場所:エムアイエーステイション  参加者数:22

市民 

京都から尼崎に帰って来た者だ。尼崎はホームレスが多くよく目立つと思う。今年もホームレスの人たちが越冬できるのか心配だ。市はどのくらい支援するのか気になる。昨年、ホームレスの人たちが毎日集まって横になるような所があったのだが、今年はなくなっている。庄下川や蓬川沿いにもたくさんホームレスがいる。市が積極的な支援をするべきではないか。例えば、商店街で炊き出しをするとか。自分が生まれ育ってきたまちにホームレスが増えていくのは心配だ。

市長 

尼崎では定期的に実態調査を行い、相談活動も併せて行い、必要に応じ対応してきた。大阪のNPOが3年前よりホームレスの自立支援を目的に、宿舎提供や就業支援の活動をしており、市でも生活保護の適用をしているが、本人が嫌だと言えばできない。人権を守っていかなければいけない一方で、苦情も多い。仕事をしたい、家を持ちたいという人には聞き取りの上、市で支援してあげたいと思う。

市民

ホームレスの人の健康状態や精神状況はかなり厳しくなっている。トラウマを持っている人もいる。積極的に行政が動かないと、限界がきていて、福祉の事業として、また制度的に医療面でサポートする必要があるところまできている。

市長

結核の検査などの医療的なサポートはしている。治療の必要な人に対しては、病院で治療を受けてもらっている。大阪のNPOや「神戸の冬を支える会」なども尼崎に入って活動をされているが、市が独自でサポートすると、周囲からホームレスが尼崎に集まってしまう。市としても、県を通して国に対策を要望している。今後も、他機関との連携を図りながら相談、自立支援を行っていきたい。


 平成18年度 事務事業評価表(17年度決算額)

福祉保健施策企画調整業務

事務事業の目的:急速な少子高齢社会の進展、核家族化等からに起因して増大・多様化する福祉ニーズへの対応やホームレス問題等の新たな都市問題の解消を解決していく必要がある。また、その他福祉保健に関する諸問題が発生した場合も速やかに解決していく必要がある。

求めるべき成果:増大・多様化する福祉ニーズに対応やホームレス問題等の解消に向けた施策構築がなされている状態。

事業内容

増大・多様化する福祉ニーズに対応やホームレス問題等の解消に向けた施策の企画立案業務であり、市が主体となって実施していくべきものである。

(参考)

・ 市長は、経済的、社会的及び文化的条件を配慮し、市民福祉に関する施策の基本となるべき方針(福祉施策基本方針)を定めなければならない<尼崎市民の福祉に関する条例 第15条>

・ 市民の社会保障及び社会福祉について必要な事項を調査審議させるため、市長の付属機関として、尼崎市社会保障審議会を置く<尼崎市民の福祉に関する条例 第16条>

・ 地方公共団体は、第三条第一項各号(自立支援、防止、問題解決)に掲げる事項につき、当該地方公共団体におけるホームレスに関する問題の実情に応じた施策を策定し、及びこれを実施するものとする<ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法 第6条>

等規程されている。

求めるべき成果達成上の課題:

・ 尼崎市社会保障審議会を通じて、あまがさきし地域福祉計画を推進していく。

・ ホームレス問題への解決に向けた広域的な対応方針の策定やソフト事業の実施の検討及び民間支援団体への具体的な連携、支援施策の立案を行っていく。

課題解決に向けた取組内容:

・ あまがさきし地域福祉計画の推進に向けて、尼崎市社会保障審議会から地域福祉推進会議と庁内推進会議への指導・助言を行っていただけるよう調整を図る。

・ ホームレス問題の解消に向けて、阪神南地域ホームレス問題連絡会議等の連携体制を再構築し、対応方針について検討を行い、民間支援団体との連携した検診事業を継続実施するとともに、新たな事業等も検討していく。


 第4回 施策評価委員会(議事要旨)

時: 平成15 11 5 日(水)午後1 30 分〜5

所: 第4委員会室

席: 石原 俊彦 委員(関西学院大学 産業研究所 教授) ※途中から出席

稲澤 克祐 委員(四日市大学 総合政策学部 助教授)

末村 祐子 委員(大阪経済大学 経済学部 非常勤講師、

大阪大学工学研究科 阪大フロンティア研究機構 特任教員)

永田 潤子 委員(大阪市立大学 大学院創造都市研究科 助教授)

渡辺 憲治 委員(尼崎信用金庫 理事 本店営業部長)

事務局: 企画財政局 村山局長、行政経営推進室 吹野課長、中浦課長、増田課長補佐 ほか

料: ・次第

・平成15 年度新規事業&事業の再構築の流れ

・施策評価委員会による評価の基準(案)、施策評価委員会による新規事業評価の結果、

新規事業案件に係る計数分析

     平成16 年度新規事業提案の概要について(案)

○委員

No.2ホームレス実施計画策定事業)について。アンダーラインの部分で、有効性を2としている。県計画との時期の問題の説明があれば、有効性のポイントを3にしては、いかがでしょうか。

○委員

・コメントのずれは、説明不足に起因しているようだ。県より先行することを考えていないのであれば、評価を変えればよいが。

○委員

・しかし、審議会という方法論に関しては適切さを欠いているのでは。

○委員

・手段として、委員会を開くことの有効性は。

○委員

・担当局からの提案では、計画策定のために委員会を作って、という組み立てだ。

○委員

先行して尼崎市の特徴を分析して、県の計画が出た点で、尼崎市が独自の視点も加えて策定するのは問題ないが、審議会という手法が問題だろう

○委員

県がやるべきものについて、予算があって人が余る状態ではよいが、そうでない現状でやることには議論があるのでは。県の計画を引用するのでも、決して遅いわけではない。県が施策を利用すれば十分だ。切迫した状況でないであれば、あえてやる必要性はどうか。

○委員

・仮に総合評価でBとなったら、このままやってもよいのだと捉えられるのであれば、コメントのなかに、「有効な手段については再度検討する必要がある」というコメントを付ければどうか。

○事務局

・これまでの委員会の意見は、ここの事業については、委員会設置の時期の問題と、委員会方式の問題があるということだと受け止めている。施策評価委員会として、委員会方式に対して、どのような代替案があるか、そこを言及するのか。

○委員

・委員会の手法に言及するよりも、総合点を下げて、手法の見直しを促したら

○委員

・評価委員会の指摘事項が原課や市に届いたほうがよいと思います。今のままだと、時期についての記述しかない。

○委員

・新規事業の全体について、委員会・審議会方式の問題についてコメントしておけば。

○委員

・総合評価はCのまま。審議会方式について再考する点をコメントに付け加える。

○事務局

・委員会の総括的なコメントのなかの2つ目に、行政自らやる発想から抜けきれないというコメントがある。そこで、委員会方式についても言及するのか。

○委員

・手法の問題として、分けて書いた方がよい。

○委員

・とすると、アンダーライン箇所は、削除か。

○委員

・アンダーラインは削除して、手段について再考する必要があること。有効性が2だとわかる表現にする必要がある。

○委員

必要性について、県事業と市事業との重なりにも触れる必要があるが

○委員

・総括的な意見として、「事業に対する課題の把握が甘いこと」を指摘する。この場合、ホームレスの問題の課題がはっきりしていれば、県とは違う点について、尼崎市として取り組むのであればよい

・総括的な意見の扱いは。

○事務局

・これまでの委員会の議論から、新規事業評価の結果として、12 月に公開するのは個別の事業の冠する評価と意見と認識している。

○委員

・課題の把握は、How に関わること。この重要性は、事業を構築する担当者に、意識してもらいたい。課題の構造化については、別項で記載したい。

○委員

・この事業については、課題を把握することに対して、委員会という手法が適切かどうか。

○委員

・課題の構造化と、それに対する手法を合わせて、総括的意見として書く。

○事務局

・了解した。

○委員

・それでは、No.2(ホームレス実施計画策定事業)は、有効性は2のままとする。時期についてのコメントは削除。「県の実施計画(県の計画は本年度中に策定予定)と市の計画の役割分担や、事業計画の策定方法の有効性について、再考する必要があります。」という表現とする。


 『平成19年度改革改善取組(素案)』に対する市民意見募集結果

市民意見            29  人・ 45 件

 ホームレスの人たちを助ける対策に取組んでほしい。

[今回の意見公募の対象としていないもの]

 本市のホームレス対策は、生活保護の適用を中心とした既存の施策で対応しております。

 また、ホームレス対策は、ホームレス自体が広範囲に存在し、移動性を有していること等から、県、隣接市、民間団体をはじめとした関係機関等との連携をはかり、広域的な対応についても検討しているところであります。

(既存施策)

〇 生活保護の適用〇 市民検診の実施(年1回)〇 各施設管理者による巡視、指導等

〇 NPO法人等との連携

                          【健康福祉局】

 

駅前再開発によるまちづくりに関するご意見

○駅前再開発により整備されても、ホームレスが多くベンチなど汚くて座る気になれません。駅前再開発と同時にホームレス問題についての対策をお願いしたいです。


 尼崎市議会


 【 平成18年  2月 定例会(第4回)-0302日−04号 】

【◆ 35番(塩見幸治君)】

次に、ホームレス対策について質疑いたします。

 ホームレス問題も今日の不安な世相、格差社会拡大の中で発生している問題であることは明白です。国レベルでは、ホームレス自立支援特別措置法が施行されていますが、しかし、政府を初め各自治体もこの課題に本格的に手をつけることを相当の重荷と感じているようで、残念ながら、口では人権問題を語る自治体も、目視による実態調査を繰り返しているだけで、具体的な手だてが立てられないのが実情なのであります。尼崎市も目視で355人のホームレスが生活している状況が把握されているわけでありますが、対策としては県任せ、県は国任せで、主体的に尼崎市としてこの問題に取り組もうという姿勢はないようであります。当局は一般施策で対応していると言いますが、生活保護においても、医療扶助はともかく、生活扶助では住居要件がクリアできない状況です

 そこで、まずお伺いいたしますが、なぜ本格的なホームレス対策に取り組む姿勢を示すことができないのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

 さて、御承知のことと思いますが、世界各国でホームレスの自立を支援しているINSP、インターナショナル・ネットワーク・オブ・ストリート・ペーパーズという組織があります。日本ではビッグイシューの日本版が有名ですが、要するに、ホームレスが最初に1冊200円の雑誌を無料で受け取り、これを売って2,000円の元手をつくって、以降は90円でこの雑誌を仕入れて、110円をホームレスの収入として自立のステップを得ていくという活動であります。1日に25冊から30冊売ることによって簡易宿泊所への宿泊が可能となり、路上生活から脱出。1日に35冊から40冊売って、毎日1,000円程度貯金をし、7ないし8カ月で敷金をつくって安いアパートを借りる。そして住所をベースにして新たな就職活動をするという3段階のステップで自立してもらおうという取り組みをしております。尼崎市内のターミナルでも、このビッグイシューを販売しておられます。そして、この運動は、外国では地元企業、行政、住民によってサポートされています。仮に行政がホームレス対策に乗り出すのに困難があるとすれば、例えばこのような市民活動を支援したり連携することにより、効果的な対策を展開できるのではないでしょうか。

 川崎市では、川崎市野宿生活者自立支援対策市民協議会を設置し、市民公募も含めて、学識経験者、町内会、福祉、行政などの関係者で取り組みを協議しています。もし尼崎市行政で知恵がないならば、市民や専門家の知恵をお借りすればどうでしょうか。川崎市のような市民協議会をつくられるようなお気持ちはありませんでしょうか。お尋ねいたします

【◎ 市長(白井文さん)】

次に、ホームレス対策についてのお尋ねでございます。

 まず、本格的な対策への取り組み姿勢についてでございます。

 ホームレスの対策は、就業、住宅、健康問題など多岐にわたる事業の実施や、ホームレス自体が広範囲で存在していることなどから、市単独で実施するには限界があり、抜本的な解決に向けては、広域的な対応が必要であると考えております。また、危機的な市財政のもと、市民サービスの見直しなど実施している状況では、本市が単独で特別対策を打ち出すことは容易ではないと考えております。しかしながら、現状においても、既存事業の中で生活保護を適用するほか、市民健診や健康相談など、民間団体等との連携により実施しているところでございます。

 今後につきましては、県を初めとした関係機関、民間団体とも連携を図りつつ、広域的な対応について検討してまいりたいと考えております。

 次に、市民や専門家の知恵を借りればどうかといったお尋ねでございます。

 ホームレスの自立を支援する上で、生活実態を知っている身近な地域の民生児童委員、社会福祉協議会やボランティア団体等との連携、協力や学識経験者等の知恵をお借りすることは重要なことと認識しております。しかしながら、先ほどもお答えいたしましたとおり、ホームレス対策は広域的な事業及び対応が求められることから、今後とも県や関係機関との連携を図り、検討していく中で、議員御指摘の市民等の知恵をお借りするような場面も出てこようかと考えております。


 【 平成18年 5・6月 議会報-0501日−01号 】

◆(松村委員) 尼崎市の生活保護課さんの方からなのか、前年度の末と聞いておりますけれども、ことしの2月ぐらいに北九州市の生活保護行政について、他都市の方々とも御一緒だったかもわかりませんが、視察か勉強会か研究会か何かに行っておられるというふうに聞いていますが、その辺の事実確認はいかがでしょうか。

◎(保護課長) ただいまの御質問でお答えいたします。

 平成18年3月9日から10日にかけまして、兵庫県主要都市生活保護制度運営研究会のメンバーの一員といたしまして、保護課職員が2名、実地研修に参加いたしました。

 研修先は福岡市の博多の福祉事務所と北九州市の小倉北並びに八幡西福祉事務所でございます。

 あわせて、研修内容でございますけれども、自立支援プログラム並びにホームレス対策などについてでございます。

 研修内容といたしましては、北九州市では、自立支援プログラムとして就労促進事業に取り組んでいることから、その概要についての講義を受けてまいりました。

 次に、ホームレス対策につきましては、自立支援の施設を見学させていただきまして、福祉事務所、社会福祉協議会、NPO、ボランティアなどの調整会議との組織連携についての状況を見せていただきました。これらにつきまして、市では今後とも自立支援プログラムにつきましては国の考え方を基本に進めていきたいと考えております。

 以上です。

◆(松村委員) 私は、この尼崎市が3月に県の何とかという組織と一緒に、兵庫県の運営何とかという、ちょっと書き取れなかったんだけど、それで実地研修に行かれたということで、非常に気になっていましたのが、最近、北九州市の生活保護行政が目標を設定していると。目標設定しているということで非常に厳しい締めつけがあって親族の扶養をかなり強力に求めているという中で、生活保護の利用がままいかずに餓死をしたとか、光熱水費も払えないような状態の中で餓死をしたとか、そういう事件が新聞報道されています。

 そのことに関して、尼崎市で今、保護率は決して県内では低い方ではありませんので、北九州市から一体どういうことを研修されてきたんだろうか、大変気がかりだったんです。それでこの所管質問をいたしましたが、北九州市で行っているような目標設定とか、そういうことについては尼崎市は、目標設定すること自体が私は非常におかしなことだというふうに思っていますが、まずそれだけ確認していただけますか、北九州市が生活保護の利用者の割合の目標設定をしているということについて。

◎(保護課長) 新聞報道を見ますと、北九州市が目標管理しているかどうか、ちょっとわかりにくいんですが、これは北九州市の責任のもとに決定、実施されていると思うんです。

 尼崎市におきましては、従来から保護の実施要領等に基づきまして適正保護に努めている、そういうことです。


 【 平成18年 4月 議会報-0401日−01号 】

◆(弘中副委員長) 次に、ホームレスの問題なんですけれども、これは、いろんな社会的な大きな問題ですから、私は、生活福祉委員会でこの質問ということは、いろいろとちょっと戸惑ってはいたんですけれども、やはり御存じのように、23日の日曜日ですか、朝方に、この市役所の目の前で、ホームレスの住んでおられるテントが不審火で全焼するといったような事件がありました。新聞等には、それを含めて、既にその分を含めて7件近く、最近その4月18日から10日間でそれだけのいろんな事件が起こっているというふうな報道がありました。

 やはり御存じのとおり、せんだって兵庫県の姫路でしたでしょうか。10代の青少年が身体障害を負っているホームレスの方を火炎瓶等で焼死させるといった事件が発覚ということで、逮捕等というようなことも大きく報道されまして、こういうふうなホームレスへのある種のいじめというのが、結果的には若い、この犯人はわかっていないですから、決めつけることはできませんけれども、そういった若い青少年の人たちのある種のストレスの発散として、さらに弱い人たちへ加害行為となるというふうな構造も、やはり報道等の中で聞き知るに及んでいます。

 そういう点で、今回質問させていただくのは、まず尼崎等がホームレスが非常に県下でも一、二番多いというふうな話を昨年の議会で都築委員の中からもありました。あるいは津田議員の中からも、そういった関連するような、やはり生活保護的なそういったような何らかの援助も必要ではないかというふうな話もあったりしているところですけれども、そういうことを含めてこの場で質問させていただきたいんですけれども、尼崎市ではホームレスの実態を把握、どのような方法で把握しておられるのか、その点についてお聞きしたいなと、お尋ねしたいなと思っています。

 そして行政として、現在のホームレスの人々に現状としてどのような支援策をしておられるのか。また、市民団体の方でも、そういったホームレスへの就労や自立支援を援助するそういう動きがあり、実際に尼崎市内でも行政に、一緒にやれないだろうかというふうな活動の申し出があるというふうなことも聞いていますけれども、そのあたりの連携等を含めて、以上3点、この場で私としてもこのホームレスの問題、知るに、勉強させていただくということを含めて、現状を報告していただければということが今回の質問の意図です

◎(企画担当課長) ホームレスの実態調査の関係をおっしゃいましたけれども、市の方では毎月、嘱託職員で調査を行っております。嘱託職員ばかりでなくて、施設管理者と連携をとりながらやっておるということでございます。それで、数字で申し上げましたら、17年9月、昨年の9月末の調査ですが、355人でございました。それで、この兵庫県下の状況でいいますと、同じ時点での調査でいいましたら、神戸市が221人、姫路市が95人、西宮市が108人というような状況でございまして、尼崎市が県下では第1位でございます。

 続きまして、ホームレス対策をどのように実施されておるかという御質問だったと思いますが、ホームレス対策は、就業、住宅、健康問題など非常に多岐にわたる施策の実施であるとか、ホームレス自体が広範囲で存在していることなどから、広域的な対応が必要でありまして、市単独で実施するには限界があると考えています。したがいまして、現状におきましては、引き続き、県を初め関係機関に対しまして広域的対応を要望していくとともに、本市としましては、生活保護を中心とした対応や健診などを実施しているところでございます。

 それで、火災に関する部分で、青少年の犯罪というようなことを心配されておったような質問ではないかなと思います。火災に関しましては、私どもがお答えするのは何ですが、一応ホームレス窓口にしております立場で申し上げますと、先般、姫路で事件が起きた際にも、市の教育委員会の方と連携をとりまして、こういった事件が尼崎市においても起こらないように指導願っております。今回につきましても、現在のところ、その青少年が関与したというような情報はございませんけれども、今後とも市教委、あるいは関係機関、そういうところと連携を図る中で対応してまいりたいと、このように考えています。

 以上です。

◆(弘中副委員長) 355人というふうな話なんですけれども、実際として一人一人の聞き取り調査ですね、健康の状態を含めて、そういった点での聞き取り調査の点ではどのようにされているんでしょうか

◎(企画担当課長) 調査しておりますのは、先ほども申しましたように目視調査でございまして、ホームレスの方々を現認して、その数をカウントしておると。ただ、ずっと毎月実施をしてまいっておりますから、多少顔なじみにもなっておりますから、テントをのぞいて声かけするようなことも伺っていますから、その状況の中で、病気であるとか困ったことがないかというふうなことは相談を持ちかけておられると、そういうことでは伺っております。

 それと、先ほどの質問の中でちょっと答弁漏れがございましたので、お答えしたいと思います。

 民間団体、NPOを初め、そういうところとの連携はどうかというようなことをおっしゃっておられたと思います。NPO等民間団体につきましては、路上等で生活されている方にとって身近な存在でありますし、生活支援などにおいて機動性や効率性の高い活動が期待されるなど、大変重要な役割を担っていただいていると認識しております。私どもの方としましても、従前からこういったNPOと連携をとっておりまして、一時的な住まいの確保であるとか市民健診、こういう実施の際には、その連携、協力、支援をいただきながら対応しているところであります。

 以上であります。

◆(松村委員) ちょっとホームレス対策に関連して質問させていただきますが、大阪市で特別清掃事業という国の補助事業を活用して、ホームレスの人、年齢は55歳だったと思いますが、55歳以上の人で特別清掃事業に登録をすると。そうすると順番に回ってきて、道路の清掃だとか公園の清掃の仕事があって、日給がたしか五、六千円だったと思う、6,500円だったかなというふうに思うんですが、そういう事業をNPO団体の人たちに委託をして、そこがその順番、登録者を受け付けてやっていると。なおかつ、それだけでは食べていけないということはもちろんなんですが、その事業を通して、登録、その仕事のある日ですね、順番に回ってきますから、仕事のあるときに、作業に出かける前に健康状態、問診をする。そして問診をした後、結核の検診者、レントゲン撮影をする。それでレントゲン撮影をした者については、仕事に行って帰ってこられるまでに判読をする、読影をされる。その中で結核の疑いがある人については入院とかDOTSとかいう形で治療に結びつけていく、そういう事業が民間だとかボランティアの人だとかの協力を得て行われています。

 非常に結核患者に対しての部分と、健康状態の掌握に大変実態がよくわかるというようになって、大阪府の対応も少しずつ改善されているやに聞いております。そういう事業があることは尼崎市としては御存じでしょうか。

◎(企画担当課長) そのようなことは伺っています、やっておるというのは。国の方では、そういう清掃であるとかごみ拾い、少し雑用的事業のような呼び方をしておりますけれども、そういうのを、ホームレスの方々が自立するために就労という部分ではなかなか難しい状況がありまして、高齢化しているということもあるわけですが、なかなか職業につくというのは難しい部分で、そういうのを請け負って、NPOから、そういうホームレスを雇用して仕事をしておる、そういうことは伺っております。

 それで、結核のことをおっしゃいましたけれども、私どもは14年度から市民健診、これは特別対策ではありませんけれども、一般健診の中で対応しております。そこで結核等の事象がそこにも判明をしたんですが、なかなか次のフォローまで至らないような状況がございまして、これも今後の検討課題かなというふうに認識しています。

 以上です。

◆(松村委員) 私も、実はそのボランティアの一員として大阪の西成に伺ったことがあります。それで、ホームレスの方たちからいろいろお話をお聞きいたしました。それで、端的に言って、健康状態の中で一般の方たちと比べて極端に違うのが、歯の衛生状態がよくない、歯がそろっている人が極めて少ないというのが特徴でした。歯は、虫歯になろうと歯槽膿漏になっても、直接すぐさま命にかかわるということはないので、歯が一番後回しになると。そういう状況に中で、結核だけでなくて口腔内ですね、ここが非常に不衛生な状況で、歯がない人、1本もない人もたくさん私も面談をいたしました。

 そういう経験があるんですが、何らかの対応で、神戸市と西宮と尼崎とか兵庫県内で、この阪神間でいろいろその辺の対策について協議をしてでも、市独自ではなくて、そういう事業を組み立てていって、ボランティアの人たちの援助をいただきながらすると。大阪で取り組んでいることを参考にしながら何らかの対応をする。それで、結核検診だけでなく、今申し上げました歯の問題、それと生活保護に当然つなげていくという取り組みが必要ではないのかなと思うんですが、一度検討していただけたらというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◎(企画担当課長) 松村委員、おっしゃることがその大々的にできるかどうかはわかりませんが、今現在、阪神南県民局とこの問題について、冒頭申し上げましたように、広域的対応を要望しておるところでございまして、県を中心として、尼崎、西宮、この連携の中で、こういうその健診の分野を担ってもらえませんかというようなことはちょっと今要望しております。

 ちょっと歯のことをおっしゃいましたけれども、この辺、専門的なことはわかりませんけれども、その辺はちょっといろいろ御意見を聞きながら、そういうことの実施ができるのかどうか、その辺はまた協議してまいりたいと。

 以上です。

◆(松村委員) 生活保護の関連でお尋ねしますが、歯の状態が非常に悪い、入れ歯でもしなくては物が食べられないような状況の人がたくさんやっぱりいらっしゃいますね。尼崎のホームレスの方たちの中にも歯の状態が悪い方がいらっしゃる。そういう人が歯の治療を受けるすべは生活保護行政の中でありますか。

◎(保護課長) 生活保護自体は、居宅保護というのがありまして、その時点でたしか医療はもちろん扶助としては対応できると。ただ、ホームレスの方、これは居宅、家がない方になりますので、ストレートに虫歯の通院に行きますよというような感じで来られても、これはちょっと対応しにくいのが現実です。ただ、急迫の時点であればこれはまた別です。ただ、その歯科の部分で急迫かというのは、また判断が難しいところではないかと思います。

◆(松村委員) 今の御答弁を要約すれば、歯が悪い程度のことでは急迫になることはほとんどないだろう、生活保護を利用して歯の治療を受ける道は、ホームレスの方の場合はないというふうに判断していますが、そういうことですね。

     (保護課長) 個々のケースではなかなか助けにくいんですけれども、17年度で外来医療単給でホームレスの方ですね、対応で295人の方が医療単給で実施しておりますので、その中にはおられるかどうかちょっと個々の部分は把握しておりません。ただ、全体としては個々のホームレスの方で医療が必要な方は医療単給保護で295ケースの方を対応した経緯があります。

◆(松村委員) 恐らくその中に歯の人は私は入っていないんじゃないかなと思いますし、本人も歯の病気というのは、なかなか命にかかわらないので、そうならないと思いますが、医務監さんにちょっとお尋ねしますが、こういう状況が放置されているということは、保健行政に携わっておられる最高責任者の方として放置しておいてよいのかどうか。今、医療単給の話もありましたけれども、生活保護行政の中で通院というものは極めて困難な状況があることは私も承知いたしておりますが、健康で文化的な生活を守らなければならない日本において、このような医療も満足に受けられない状況というのは、やっぱり改善の余地があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◎(医務監) ホームレスということに限定せずに、基本的にやはり市民の方、国民の方の健康を守るというのは非常に大事じゃないかというふうに考えております。ただ、先ほど来ちょっとお話ありましたように、生活保護の制度をどう活用するかということについては、その制度の仕組みの上でクリアしなければいけない問題もあるというふうに考えておりますので、その辺は県を含めまして十分協議をしながら考えていかなければいけないだろうというふうに思います。

◆(松村委員) 歯にこだわらず、結核にこだわらず、通院で手おくれにならないうちに医療が受けられるということが万人に保障されないと、特に自治体ですから、住民に対する責任があるのはやっぱり自治体だと思います。だから、その辺については、生活保護行政の改善もあわせて保健行政の前進というんですか、充実という立場で、ぜひ十分御検討いただいて、見るべき成果が出るように要求をしておきたいというふうに思います。

 以上です。


 【 平成17年 12月 定例会(第3回)-1206日−02号 】

【◆ 18番(津田加寿男君)】

あわせて生活保護率の高さが市行政に与える影響についても考えをお示しください。

 生活保護を受けてしまうと、逆に働かなくても食べて行けるのではないかと思い、就労意欲をなくしてしまうことが問題ではないかと私は考えております。それが先ほど述べたような意見となって聞こえてくるのではないかと思います。実際、生活保護の申請については、窓口でかなり厳しい取り扱いをしておられますが、一たん保護を開始すると、なかなか保護を受けておられる方の自立が見込めないようです。

 そこでお尋ねしますが、他都市と比べ、事務の仕方に甘さはないか、また、生活保護を受けておられる方に対しての指導とか保護の見直しは実際どのようにされているのか、基本的なことになると思いますが、お答えください。

 正直申し上げまして、生活保護に対する対応の仕方がよくわかりません。というのも、ここ数年、自転車で空き缶を集められる姿をよく見かけます。いわゆるホームレスです。年配の方が、こけそうになりながら空き缶を積んでおられます。このようなホームレスは、河川敷や駅周辺に多数おられますが、現在本市では300人ぐらいいて、神戸市と並んで県下1位であったとの記事を以前見たことがあります。非常に多いと感じるとともに、私から見れば、このような人は一見生活保護を受けられるように思えるのですが、市としてどのような考え方で対応されているのでしょうか。お尋ねいたします

 間違った見方でしかないかもしれませんが、対応しなければならない人に対応せず、自立させられるのに放置しているのではないかと見えてしまうのです。一方、なぜ本市においてホームレスがこれほどまでに多く生じているのか。何か呼び寄せているような感じを持ってしまいます。このようなホームレスそのものが与えるまちのイメージの低下を避けることはできません。いろいろな要因があると思いますが、そもそも生活保護の措置について、他都市に比べて措置されやすいようなことも聞くところです。

 市として、ホームレスがこれほど多い原因はどこにあると考えておられるのか、また、具体的な対策は現在どのようにされているのか、お尋ねします。

 また、市内にいるホームレスの指導とか管理はできているのでしょうか。地域にこのような方が住んでおれば、住民としては、やはり不安を感じるというのが率直なところではないでしょうか。あわせてお尋ねします。

【◎ 健康福祉局長(守部精寿君)】

次に、ホームレスに対する保護適用の考え方はという御質問でございます。

 ホームレスに対する生活保護の適用につきましては、単にホームレスであることをもって当然に保護の対象になるものではなく、一般の人と同様、資産、稼働能力、他の諸施策等、あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない人に対しまして、必要な保護を実施いたしているところでございます。

 最後になります。尼崎市としてホームレスが多い原因はどこにあると考えているのか、具体的にどのような対策をしているのか、また、指導等はできているのかといった御質問でございます。

 近年、厳しい経済雇用情勢や高齢化、核家族化などが進展をし、ホームレスとなることを余儀なくされた人が全国的に増加している傾向にございます。本市におきましても、ホームレスが多い背景につきましては、平成15年2月の国の実態調査結果によりますと、日雇い労働者などの社会的、経済的な情勢に影響を受けやすい人が比較的多いことや、大阪市、神戸市の大都市に隣接しているという立地条件、また、多くの河川を擁しているという地形上の問題等が考えられると思っております。

 また、ホームレスの対策は、就業、住宅、健康問題など多岐にわたる施策の実施や、ホームレス自体が広範囲で存在していること等から、広域的な対応が必要であり、市単独で実施するには限界があると考えております。

 したがいまして、現状におきましては、既存施策の中で生活保護を中心とした対応や健診等を実施してまいるとともに、県を初め関係市、関係団体等との連携を図りながら対策を実施、検討しているところでございます。

 なお、河川敷などのホームレスにつきましては、各施設管理者が関係機関や庁内部局と連携を図りまして、巡回をする中で指導等を実施いたしております。

 以上でございます。


 【 平成17年  2月 定例会(第19回)-0303日−04号 】

【◆ 10番(飯田浩君)】

次に、ホームレスの問題です。

 基本的人権にかかわる問題で今いちばん深刻な問題は、やはりこの冬空に寒さをしのぐ家のないホームレスの人たちのことではないでしょうか。兵庫県で確認されているホームレスのおよその数は、目視調査で864人、そのうち神戸が190人、尼崎が380人などとなっています。武庫川の河川敷や名神高速の高架下を中心に、尼崎はたいへん多い数になっています。ホームレスの平均年齢は56.7歳。私なんかも同じぐらいです。50歳から64歳で全体の7割近くを占めており、直前には建設関係の仕事に就いていた人が6割ぐらい。また、全体の4割近くが正社員として雇用されていたということです。恐らくは幾つかの職場を替わり、追い詰められて野宿生活に入らざるをえなかった人たちが多いと思われます。ホームレスの期間が1年以上3年未満の人が4割強、アルミ缶や廃品回収を夜明けから早朝にかけて行い、平均月収は1万円から3万円までということです。ホームレスの数は日本全国で3万人を超えると言われ、先進国では特異な状況となっています。尼崎でも、中学生にテントに火をつけられたとか石を投げられたという訴えがありますが、実は、この子どもたちもホームレス予備軍とも言えるのです。というのは、今日の若年労働者は、雇用形態が非正規で不安定、しかも無年金、無保険で、最低賃金すれすれの低賃金で働くというケースがたいへん多いのです。手に職をつけるゆとりもない若者たちがホームレスに追い込まれていくというのは、既に現実にも起こってきている話です。この問題は、これまで平山議員がよく取り上げてこられました。私自身は、なにかホームレスの自立支援のために運動しているということではないのですが、市内での数が増えており、見て見ぬふりを決め込む段階を超えていると感じています。

 生活保護で医療を受けている人も300人以上おられ、NPO団体の関係するアパートへの生活保護での入居も70人近く。福祉事務所からの見回りも定期的に行われ、市民検診の受診機会も設けていますから、行政も何もしていないわけではありません。しかし、ホームレス自立支援法の成立によって、実施計画をつくり、就労の場所と住居を確保していくということで、今から何が必要になってくるのか、また、ホームレス情報連絡会の開催状況や課題は何なのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

【◎ 市長(白井文さん)】

次に、ホームレスの自立支援に関するお尋ねでございます。

 ホームレス対策は、まず市民の理解と協力が前提であり、更に、就業、住宅、健康問題など、広範かつ多岐にわたる対応には広域的な統一基準が必要であり、市単独で実施すれば、庁内体制や財源問題など、多くの課題が生じます。したがいまして、これまでも申し上げておりますように、一地方自治体独自での対応には限界があると考えており、抜本的な解決に向けては、今後とも引き続き国、県等関係機関に広域的な対応の必要性を訴えて参りたいと考えております。

 なお、庁内ホームレス情報連絡会につきましては、本年度2回開催しておりますが、これ以外にも、適宜庁内の情報交換を行うとともに、個々の問題に対しましては、必要に応じて連携して対応しております。


 【 平成16年 9・10・11月 議会報(384回)-0901日−01号 】

◆(義村委員) 武庫川の危険水位は、堤防の天端から1.5mと聞いているが、台風23号の時、猪名川や武庫川の状況はどうであったか。

◎(防災対策課長) 危険水位の取り決めはない。天端から1.5mというのは、堤防を造るときの強度を示すものであり、天端から1.5mまで水位が上昇しても耐えられるように設計されている。また、危険かどうかについては、周辺等の状況も見ながら判断していくものである。武庫川には、本市が甲武橋と南武橋に、県が甲武橋と小曽根橋に水位計を持っており、甲武橋においては、警報水位より1mほど水位が上昇した。また、小曽根橋では、高潮の影響もあり、警戒水位より2mほど水位が上昇した。

◆(義村委員) 何時ぐらいに水位がピークに達したのか。

◎(総務局総務部長) 1120日の1753分に南武橋において、6.5mの天端に対して水位が4m、1810分に甲武橋において、6.88mの天端に対して水位が3.95mに達した

◆(義村委員) 台風が来た翌日に、武庫川河川敷に住むホームレスに話を聞くと、16時ごろに水位が上昇してきて、危険を感じたため避難したと言っていたが、そのような状況は把握しているのか。

◎(防災対策課長) ホームレスの被害状況については調査していない。

◆(義村委員) 避難誘導なども行わなかったのか。

◎(防災対策課長) ホームレスの基本的な問題については、防災とは別のところで考える必要がある。

◆(早川委員) 避難については警察官から誘導されたと聞いている。土木事務所でも指導をしているとのことであるが、河川敷に水があふれてきたときに、防災対策課として、避難指示や避難誘導は行ったのか。

◎(総務局総務部長) 武庫川の水位が上昇してきたので、現地で水位を監視することを市として決定し、消防局が警戒にあたっていた。居場所のないホームレスに対しては、避難所に誘導するなどして、15人のホームレスが避難所に避難した。

     (早川委員) ホームレスからは、消防や市の職員からは声をかけられていないと聞いている。近隣住民に声をかけられて、避難所に避難をしたとのことである。避難誘導を行ったということであるが、話が食い違っており、ほんとうに市が誘導したかどうかわからない。今後は、ホームレスに対してもきちんと対応してもらいたい。

◆(義村委員) 避難所に避難したホームレスからは、避難所の端に追いやられ、そこから動かないようにと言われ、2310分になったときに、避難所を閉めるので出ていってほしいと言われたと聞いている。避難所ではあってはならないことと思うが、避難した15人のホームレスに対しての対応は適切であったのか。

◎(防災対策課長) 避難してきた人は、全員避難所に入ってもらい、ホームレスの人に対しても、行く場所がない人には避難所である学校に泊まってもらい、毛布などを支給したと教育委員会事務局から報告を受けている。また、市では福祉相談業務を行っており、後で1人が相談を受けた。

◆(義村委員) 差別的な扱いをされて帰っていったホームレスの人もいるので、きちんと対応をしてもらいたい。また、ホームレスの人で、避難所に行くことも知らずに、バス停で1日過ごした人もいた。そして、翌日に流されたブルーシートを回収して再建していた人もいたと聞いている。今後は、防災の観点だけでなく、福祉との連携もきちんと図ってもらいたい。また、ある地域で災害時には毎回、自主的に避難をしてくる人がいると聞いているが、その人についてもきちんと福祉と連携をとれているのか。

◎(防災対策課長) 災害時には毎回、自主的に避難をする婦人が1人いる。今回についても市役所に電話があり、市役所に避難したいとのことであったので、防災対策課に来てもらった。その後、しばらくして避難所である大島小学校まで職員が送っていき、23時ごろに自宅に帰られたと聞いている。

◆(義村委員) きちんと対応していることは良いことである。また、雨以外にも強風などの不安になる要素もあるので、福祉ときちんと連携をとっていってもらいたい。そして、ホームレスなどの市内滞在者に対してもきちんとした対応をお願いする。


 【 平成16年 3月 議会報(第380回)-0301日−01号 】

◆(松村委員) 3年前に、ホームレス問題と生活保護について、住居がなければ保護できないとするのは生活保護法の誤りだと、私は厳しく指摘した。昨年の7月31日、厚生労働省は、生活保護法に保護の実施要領などの一部改定を出した。保護申請をすれば、居宅保護を認めるように変更するというものである。ホームレスの人が、家がない、なんとかしてほしいと言って申請すれば、居宅保護を認めるという変更である。金銭管理や健康管理など、普通の日常生活のできる人には居宅保護ができる。公営住宅に入れなければ、住宅を確保するため、限度内の敷金等を支給するという内容である。国がこのように態度を是正したことを、私は最近知った。ほんとうにうれしい衝撃を覚えた。これは間違いないか確認したいがどうか。これについて、全福祉事務所の相談員などに熟知するように徹底しているのかどうか。

◎(健康福祉局長) ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第8条に基づき、国が定めたホームレスの自立の支援等に関する基本方針を受けて、生活保護法による保護の実施要領が改正されている。保護開始時に安定した居宅のない要保護者に対して、福祉事務所が居宅生活が可能と認めた場合に限って、住宅の確保に際し敷金を支給することができるという取り扱い規定が設けられた。これについては、当然のことだが、6福祉事務所に周知しているし、所長会をはじめ指導員会議、面接相談員会議等々で周知徹底を図っている。

◆(松村委員) 議会では、ホームレス問題については酒井議員、平山議員もさまざまな観点で取り上げた。ホームレスの救済につながる重要な実施要領の改正があったことについて、なぜ生活福祉委員会などで報告しなかったのか。

◎(健康福祉局長) 国の通知が出たのが平成15年7月の終わりで、本市に来たのが8月になってからであった。これについては、実施要領の中身であったので、行政の内部だけでよいのではないかと判断し、特に報告はしていない。

◆(松村委員) 昨年8月7日にこのことは厚生労働省から全国の係長会議で知らされているはずである。ところが、先日私のところに、月額にして3万円程度の厚生年金を受給しているホームレスの人が相談に来た。もう限界だから助けてほしいと福祉事務所に二度行ったそうだが、聞いてみると、この方の相談カードさえない。つまり、門前払いしている。それが事実として明らかになっている。今後このようにホームレスの人が、家がないということだけをもって相談も申請も受け付けないようなことは絶対にしないことを確認したいがどうか。

◎(健康福祉局長) ホームレスに対する生活保護の適用に関しては、国の通知に基づき取り扱うことは、各福祉事務所はじゅうぶん承知しているところである。指摘のケースについて、その事実関係をきちっと把握していないので、確認したい。なお、保護の適用については、国の定める実施要領に基づき、適正に実施していく考えである。

◆(松村委員) 私は担当者に確認してもらった。ところが、相談カードがない。ないということは、相談さえも受けずに、あなたはだめだと追い返している。二度行ったが、二度とも追い返しているとしか考えられない。こういうことは今後絶対にないように、それが保護実施要領の一部改定で明確にされている事実であるので、厳しく要求しておく。これは、大阪のホームレスが支援者の援助を得て裁判に訴え、一審で勝利した。大阪市が高裁に控訴し、その判決が出る前に、この裁判は負けると判断した厚生労働省が、判決が出る前に改正した。2日前も高校進学のための学資保険を認める判決が出た。朝日訴訟をはじめ、裁判によって数々の生活保護行政の改善が進められたが、裁判にかけなければ改善されないというのが、日本の福祉行政の貧困さの証明だと思っている。私は、敷金の問題についても、市独自ででもやってほしい、法の精神から間違っていると指摘した。そのとおりのことが判決として出されたことを非常に重く受け止めてもらいたい。二度と門前払いをするようなことがないように、厳しく指摘しておきたい。


 【 平成16年 1・2月 議会報(第379回)-0101日−01号 】

◆(今西委員) 生活保護を受給している者のうち、稼働年齢者については、就労促進相談員が個別面談を実施することにより一定の成果が上がっているとのことだが、確かに、就労指導はたいせつな処遇の一つではあるが、うつ病など精神疾患を持っている者が、そういった指導により、かえって病状が悪化したということをよく耳にする。そういった状況をじゅうぶん配慮したうえで指導、助言を行ってほしい。次に、生活保護費の扶助費のうち、県支出金が約541万円増えているが、その理由はどういったものか。

◎(福祉課長) 国庫支出金が減り、県支出金が増えているが、それは、県負担の変動における精算によるものであり、当初の見込みと実績との差である。

◆(今西委員) そういった背景には、行旅病人が増加したことがあるのではないのか

◎(福祉課長) 行旅病人が増加したということはない。主な原因は、ホームレス対策によるところが大きく、ホームレスが医療機関に受診した場合、医療費の扶助は県費で負担することになるため、県支出金が増えた結果となった。内訳としては外来が222件、入院治療が56件である。

◆(今西委員) 件数はどうなっているのか。

     (福祉課長) 若干増えている。


 【 平成15年  6月 定例会(第10回)-0612日−03号 】

【◆ 21番(平山丈夫君)】

ホームレス問題は、地域において、地域住民もホームレス自身も不安な生活を送っており、なんとかしたいと考えています。ホームレス自身は安定した健康的な自立した生活を過ごしたいと思い、住民は良好な環境を取り戻したいと願っております。早急な解決が図られなければならないことについては、白井市長も御理解いただいていると思います。この点について、白井市長の御見解をお伺いいたします。お答えください。

 現在の尼崎のホームレスの状況は、福祉事務所における野宿生活者対策、2002年7月の目視調査集計表によりますと、テントを含め323、人数は198と、このように確認がされております。この部分の半数が大庄地区にあります。この数年、毎年150人程度の野宿生活者を入院による保護がされています。その後の生活保護で継続されている内訳を見ますと、2002年度で30代4人、40代が7人、50代26人、60代27人、70歳以上が15人となり、50代から60代でその7割を占めています。最近の傾向として、年齢がだんだん低くなってきているというふうに言われております。近隣都市のホームレスの対応を比較した場合に、この尼崎の生活保護の在り方については、たいへん手厚いという形の評価を受けているようであります。

 そこで、このホームレスに対する本市の構えの問題で質問をさせていただきます。

 現在尼崎において、ホームレス、野宿生活者を直接保護し、生活支援を行う方法はありません。病気などによる入院などの保護があるだけです。これは、住所がないために生活保護が受けられないことにあります。しかし、逆に考えた場合に、住居があると生活保護が受けられることになります。これを悪用する方法として、賃貸のアパート経営者が空き家を埋めるためにホームレスを入居させ、生活保護を申し立てることもできるわけです。このような悪用を防止することも踏まえ、本市としての対応が必要であると考えますが、市長におかれましてはどのようにお考えでしょうか。お聞かせ願います。

 ホームレスの実態に関する全国調査が、本年2月9日から11日にかけまして、生活実態調査の聴き取り調査が実施されました。その結果、元建設労働者が約半数であります。次に製造業、事務職、自営、こういった結果になっておって、本市のホームレスの状況にもよく似た傾向があるようです。このように報告がされております。ホームレスになった理由として、倒産、失業が3割です。野宿期間は、5年未満が82パーセント、収入が1万から5万円、約62パーセントの方がこの金額で生活をしているということになります。平均で月3万円、1日1,000円であります。今後の希望としては、きちんとした場所に就職して働きたい、これが約49パーセント。50パーセントですね。尼崎の場合もほぼ同数のようであります。一方で、全国調査では、13パーセントの方が今のままでいいというふうに回答されております。この部分では、本市のほうがかなり多いように聞いています。今のままでいいというのは、何を言っても聞いてもらえない、このようなことであきらめもあるだろうし、また、人とのかかわりが苦手なこともあり、今の生活に甘んじていたいということもあるのかもしれません。

 そこで、本市のホームレス対策は、生活保護だけであります。ほかは皆無です。このような状況で本市としてはじゅうぶんと考えておられるのでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。

次に、ホームレス対策は国の問題だと市民に答えたことを記憶しているかということのお尋ねでございました。

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 私は、多くの市民の皆様とお会いする中で、市政に対するいろいろな御意見や御要望もお聞かせいただいておりまして、その中にはホームレス対策に係りますお話もございます。議員御指摘の件のホームレスの相談に係る私の対応の件につきましては、申し訳ございませんが、御答弁させていただくほどの記憶はございません。しかしながら、どの問題に対しましてもそうでありますが、それは国の問題ですというふうに一しゅうした覚えは、正直のところございません。ただ、私が市民の皆様から市政に対しまして御意見をお聴かせ願った場合は、誠意を持ってその内容をお聴きし、後に所管部局に確認し、対応するほか、場合によっては時間を割いて直接現地に足を運ぶといったことも心がけており、ホームレス対策について御意見をいただいたときにも、実際にその場所に伺って確認をしたことはございます。

◎健康福祉局長(守部精寿君) ホームレス対策についての御質問に順次お答えをさせていただきます。

 まず、ホームレス自身、更には地域住民のためにも、早急な解決が必要と考えるがどうかという御質問でございます。

 長引く不況等社会的要因によりホームレスとなることを余儀なくされた方が都市を中心にあふれ、地域社会とのあつれきが生じてきているのが現状でございます。しかしながら、ホームレス問題は、これまでも申し上げて参っておりますように、一地方公共団体での対応には限界があると考えており、抜本的な解決に向けましては、広域的な施策及び対応が求められることから、今後とも引き続き国、県等関係機関との連携を図って参りたいと考えております。

 次に、生活保護の悪用を防ぐことも踏まえて、本市としての対策が必要と思うがどうかにお答えをいたします。

 生活保護制度は、利用しうる資産、能力、その他あらゆるものを活用しても最低限度の生活を維持できない方、すなわち、真に生活に困窮する方に対しまして、必要な保護を行う制度でございます。したがいまして、生活保護の適用に際しましては、居住実態が適正であると認められる場合、生活保護法に基づき実施することといたしております。なお、保護要件の判定に当たりましては、一般世帯に対する保護の要件と同様であり、保護申請がされた場合、その方が保護の要件を満たしているか否か、保護が必要か否かを判定し、決定しているところでございます。

 次に、本市の対策は皆無であるけれども、このような状況でじゅうぶんと考えているのかという御質問でございます。

 ホームレス問題の抜本的な解決に向けては、広域的な施策及び対応が求められることから、現在本市において特別対策は実施いたしておりません。ただし、窮迫保護の必要性がある場合など、医療保護などを適用する一方、ホームレスに対する健診事業も一般施策の中で工夫して取り組んでおるところでございます。

 また、ホームレス情報連絡会を設け、関係部門との連携にも努めるとともに、兵庫県が設置いたしております県市連絡調整会議や阪神南県民局が設置するホームレス問題連絡会議に参画をいたしまして、情報交換と連携を強めておるところでございます。

 いずれにいたしましても、ホームレス対策については、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき、まもなく国が基本方針を示すという段取りになっております。兵庫県としましても、これを受けた実施計画の策定に向けて準備を始める予定であるというふうに聞いておりますことから、当面これらの動向を見守りたいと考えております。

 以上でございます。

◎土木局長(松井重紀君) 本市の河川敷公園などのホームレスの実態をどのように考えているのか、また、改善すべき点はないのかという御質問にお答えいたします。

 公園、河川敷などにおけるホームレス対策につきましては、関係機関や庁内部局の協力を得ながら、平成14年度には約80回程度、各公園や河川敷等を巡回する中で、指導、勧告を行ってきたところでございます。とりわけ武庫川河川敷公園につきましては、日常的に散策やジョギングなどたくさんの市民に利用されているところであり、また、突発的な集中豪雨による被害も想定されます。したがいまして、その対策につきましては、今後とも関係機関と連携を図り、現場に赴き、人権にも配慮しながら面談する中で、不要物の撤去などの指導を強く行い、良好な環境の保全に努めて参りたいと考えております。

 以上でございます。

◎健康福祉局長(守部精寿君) ホームレス対策について、必要な施策を国、県に要望していると聞いているがどうか。また、庁内連絡会議の進ちょく状況並びに各支援団体などとの協議内容についてどうかという御質問でございます。

 要望につきましては、昨年度も全国市長会を通じ、国に対して、自立を希望するホームレスの生活保護に当たっての財源負担等について要望をいたしているところでございます。また、庁内連絡会議につきましては、平成12年から、関係する部署が中心となって、ホームレス情報連絡会を設けまして、この問題に関する国や県からの情報の共有化や関係各課の各種取組状況について意見交換を行い、連携を図ってきておるところでございます。

 更に、この関係各課が中心となりまして、支援団体からの要望事項に対して話合いを行って参りました。市といたしましては、本市の置かれている厳しい状況の説明や、議会に説明させていただいておりますように、対策そのものが一自治体の対応ではなく、広域的に取り組むべき問題であることの理解を求めて参っておりますが、一方で、要望事項にございました健診など、工夫できる事項については取り組んで参っております。

 以上でございます。


 【 平成14年  9月 定例会(第7回)-0911日−02号 】

先日、懇意にしている不動産屋さんを訪ねたときのことです。今年の2月、その不動産屋さんに中央福祉事務所の職員から、伊丹市や西宮市に空き家があるかとの問い合わせの電話があったとのことです。生活保護の人で転居するための家を探しているのかと思い、調べて後日西宮市や伊丹市には適当な物件がないと、電話でその職員に返事をしたが、そのときに特定の人の家を探しているのでなく、尼崎市は生活保護費の予算がもう残っていないので、新しく家を確保するためには、まだ予算が残っている西宮市や伊丹市で住宅を紹介してほしい、そのために尋ねたのだということが分かったというのです。その不動産屋さんは、尼崎はそんなことまでして生活保護受給者を市外へ排除しようとしているのかと、市に対する不信感を募らせていました。ホームレスなどが入院した場合は、退院時に新しく住居を確保する必要があります。居住地の福祉事務所が担当するので、恐らく尼崎から出ていってもらいたいとの判断があったのではないかと考えます。その不動産屋さんには、市の中央福祉の所長が訪問をして話を聞いております。不動産屋さんに西宮市や伊丹市への照会をということは、憲法で保障された居住地の自由を侵害することにならないのか、福祉事務所の職員がなぜこのような問い合わせを依頼したのか、お尋ねいたします。

 この背景には、市幹部職員が生活保護世帯を減少させること、新規受給者を減らすことが福祉事務所職員の成績を向上させるような経営的視点を重視する雰囲気を醸成しているのではないかと思いますが、答弁を求めます。

◎健康福祉局長(斉藤実君) 生活保護にかかわる再度の御質問にお答えをいたします。

 まず、住居の確保についてでございますが、被保護者の方の都合や希望で市外に住居を探すということはございますが、御質問にありましたように保護費の予算の都合で他市の住居を探すというようなことはございません。

 もとより、生活保護の適用につきましては、第1問でもお答えいたしましたとおり、資産、能力、その他あらゆるものの活用、それから扶養義務者の扶養、他の法律による給付、いわゆる他法優先、こういった生活保護における補足性の原理など、法令及びその基準に基づき適正に執行しているところでございます。

 以上です。

◆18番(松村ヤス子君) 生活保護行政で職員が尼崎以外で家を探したい、そういうふうに言っていたということは、これま紛れもない事実で、公式の会議ですから認めようとはしませんが、事実だということは申し上げておきます。(発言する者多数)

 名前もすべて分かっておりますが、職員の人権があります。これは市の幹部の対応が悪いということを申し上げておきたいと思います。


  平成15年 12月 議会報(378回)-1201日−01号 】

◆(義村委員) ホームレス実態調査事業費について、委託料として約113万円が挙がっているが、ホームレス対策については、昨年国において時限立法が制定された。その法律に基づいて、国からなんらかの通達があったか。

◎(健康福祉局企画担当課長) 本年2月にホームレスの実態調査を実施したが、その後、国において7月31日にホームレスの自立の支援等に関する基本方針が出された。しかし、基本方針の中には具体的な施策は盛り込まれておらず、今後策定予定である県の実施計画の中で具体的な施策が示されると思われる。

◆(菅村委員) 本市が実施した実態調査の結果、本市においては新たに125人のホームレスを確認し、神戸市と同数の323人のホームレスがいると発表している。この結果を見ても分かるように、県下において最も多い数字である。確かにホームレス対策は国が施行する法律に基づいて対応すべきものであると思うが、本市独自でなんらかの対応を検討しているのか。

◎(健康福祉局企画担当課長) 本市におけるホームレス対策についてであるが、現在、各所管部局における既存施策の中で対応している。国が示した基本方針には、具体的な対策が示されておらず、今後策定される県の実施計画の中でそういった具体的な対策が示されると思われる。よって、これらの実施計画等を踏まえ、市としても検討を行っていきたい。

◆(菅村委員) ぜひ検討してほしい。また、本市はホームレスの数が多いことから、生活保護の適用に至るケースがあると思うが、ホームレスに対して生活保護を適用した数は幾らか。

◎(福祉課長) 14年度実績においては、入院、居宅を含めて153人である。

◆(平山副委員長) 本市においては、NPO法人がホームレス支援団体として活動しているが、そういった支援団体から生活保護申請があり、実際に生活保護の適用を行ったケースのうち、社会復帰ができた者が何人いるのか把握しているのか。

◎(中央福祉事務所長) その団体は12月6日からNPO法人として活動しているが、実際に就労自立に結びついた数は10人である。

◆(平山副委員長) 自立につながっているケースがかなり少ないように思う。やはり、別途なんらかの支援策が必要ではないかと思うがどうか。

◎(中央福祉事務所長) 福祉事務所において、職業安定所と連携を図り、ケースワーカーの指導、助言の下、就労確保に努めているが、なかなか就職できないのが実情である。