福岡県久留米市


 2006.10.1 公報くるめ

ホームレス支援の講演会・研修会 1014日(土曜)1330分〜17 えーるピア久留米(諏訪野町)

内容=講演「ホームレスを生まない社会のために」(講師=東京都社会福祉士会会員・戸田由美子氏)、事例検討などの研修会 受講料=無料

申込方法=ファクスか電子メールで県社会福祉士会事務局へ


 社団法人福岡県社会福祉士会

ホームレス支援

ホームレス生活を余儀なくされた方々の自立とその権利擁護を目的とし、久留米市にてホームレス巡回相談事業を行っています ぜひ、相談員登録をお願いします(会員に限る)

活動日は 毎月第2・第4火曜日の夜です。

(お願い)所持金が全くないホームレスの方からの連絡用として使用するテレホンカード(度数が残っているもの)を寄付してください。


            日社福士 2003-094平成15年7月24 

厚生労働省 社会・援護局地域福祉課  御中

        社団法人 日本社会福祉士会

              会長 土師寿三

「ホームレスの自立支援等に関する基本方針()」への意見

 長引く経済不況及びそれに対処するための急激な社会変動により、複数の生活問題を抱えて、路上生活者が急増しています。本会では東京都支部、大阪府支部、神奈川県支部および広島県支部において、先に行われたホームレスの全国実態調査に関わりを持って参りました。

 今回、標記基本方針()に係るパブリックコメントをお出しするに当たり、ホームレス支援に実績を持つ上記4支部に意見を求めました。共通して述べられている意見に次の点が上げられます。

国が基本的に地方自治体を支援し、共同して地方自治体のホームレス自立支援事業を行うべきである。 

上記視点にたって基本方針()を読むとき、地方自治体が実効性ある実施計画を作成する担保として、地方分権法の主旨を活かして、国と地方自治体とが対等な関係の中で助言、協議を行い、実施体制を整備することを明確化する必要がある。

 なお、意見の詳細につきましては、添付の各支部意見書をご参照下さい。

 地域で人々の個別的な生活をトータルに支える仕組みは、ハード面での問題でもありますが、やはり重要なことはいかに適性と能力のある者がこの取り組みを担い活動を実践していくかであると考えています。一般市民が人生の主人公として最後までその個別性を尊重され、またノーマライゼーション理念が実現されるために、私たち社会福祉士、社会福祉士会も微力ながら地域の福祉問題解決に取り組み、地域福祉の向上に貢献していきたいと考えています。ソーシャルインクルージョンが必要とされる新たな福祉課題を解決するに当たり、これまで我が国では整備されてこなかったソーシャルワーカーの活用について、ご理解ご助力を賜りますようお願い申し上げます。

以上

東京都支部意見書

神奈川県支部意見書

広島県支部意見書


                    平成15年7月24日

厚生労働省 社会・援護局地域福祉課  御中

           会ホームレス関連問題委員会

                    委員長 柴田純一他委員一同

 

「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づく基本方針()に関する意見

 

  日頃東京社会福祉士会の運営につきましては、何かとご指導ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本会におきましては、社会的な支援を要する人々の権利擁護の一環として、ホームレス関連問題委員会を設置し、ホームレスの自立支援を、専門職団体の立場で追求してまいりました。

 ホームレス関連問題委員会では、都・区において実施される「路上生活者対策事業」の緊急一時保護センターのアセスメント事業や新宿区における「路上生活者実態調査」事業等を受託し、ホームレスの地域生活復帰の推進に微力を尽くしてまいりました。

 さて、このような立場から、73日、貴省から発表された「『ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法』に基づく基本方針()(以下「基本方針()」という。)は、この法律による支援が、やっと具体化され、抜本的な施策の実現の端緒となるものであると考えております。なかでも「ホームレス対策は、ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本である。」として、ホームレス自身のエンパワメントが対策の基本として整理されたこと、また、現在実施されている期間限定、通過型の自立支援事業から「安定した居住の確保が確保されることが必要である」として、住宅確保が基本的な観点に据えられた事は、極めて重要であり、意義深いと考えています。

(基本方針()3 ホームレス対策の推進方策 1基本的な考え方)

 さらに、今回の方針に、「ホームレスの人権の擁護に関する事項について」として「人権尊重」「尊厳の確保」として明記されたことは、「社会的な支援を要する人々の権利擁護」としてこの問題に取り組んできた本会としては、まさに、待ち望んでいたものと言わねばなりません。

 また、これらの方針実現に際して、「() 生活に関する相談及び指導に関する事項について」や「(11) ホームレスの自立の支援等を行う民間団体との連携に関する事項について」において、実績のあるボランティア団体やNPOとならんで「福祉士会」の名前があげられたことについては、今後のこの事業に関する本会への期待の大きさを感じるとともに、その責任を痛感するものです。

 ホームレス関連問題委員会としては、基本方針()を支持するという立場に立った上で、公園等に起居するホームレスの人々の実態や現在実施されている自立支援事業が多くの課題を抱えて曲がり角に立っている現状を踏まえ、ホームレス状態にある人たちの地域生活復帰支援を今後一層実現させていくために、今回の基本方針()について以下の点を要望します。

  記

ホームレスの就業の機会の確保について

大田寮でのアセスメントの経験や新宿区内の公園での聞き取りからしても、就労の機会の確保は極めて重要です。日本経済の現状からすればこのことが極めて困難なことは 言うまでもありませんが、雇用の場の確保や就労の機会の確保を、多くのハンディキャップを持つ路上生活者自らの意思にのみ委ねることには、エンパワメントの基本があるとしても限界があると思考えます。例えば、地方自治体の固有事業に一定の比率で自立支援センター入居者の雇用を義務付けることはできないかと考えます。義務づけることに法的に問題があるとすれば、例えば請負事業者に雇用奨励金を交付することも含めて地方自治体に可能な範囲で積極的な措置を講ずべきものと考えます。 

安定した居住の場所の確保について

 (1) 「借上型福祉住宅」への特別補助枠等の設定

基本方針()においては、「公営住宅の事業主体である地方自治体において、単身入居や優先入居の制度の活用等に配慮する」ことが提案されていますが、公営住宅のストックが増加する訳ではなく、このままでは、結果的に低所得者間での入居競争を激化させかねません。このため、各地方自治体が設置する「借上型福祉住宅」について、対象をホームレスの人たちまで拡大するとともに、ホームレスを専ら受け入れる場合は、特別補助枠等を設定する等により低所得者住宅ストックの拡充を誘導しながらホームレスの安定した居住の場所確保を図る必要があると考えます。

 (2) 公設宿泊所の拡充

 基本方針()においては、無料低額宿泊事業(社会福祉法第2条第3項第8号に規定する無料低額宿泊事業をいう。以下同じ。)は「ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項」において活用が図るべきものとされていますが、東京、名古屋等においては公設の無料低額宿泊事業宿泊所があり、活用されています。特に東京においては、これらは公営住宅の補完的役割を果たし、文字通りの低額な使用料で中長期的に利用できる宿所となっていますが、絶対数が不足し、需要に応え切れていません。

このため、直ちに公営住宅の活用等が困難な地域においては、直接自治体等がアパート等を借り上げ、公設宿泊所として設置し、ホームレス対策事業に組み込み、ホームレスの安定した居住の場所として提供することが必要と考えます。現在、都内ではかなり多くの賃貸住宅が空き家のままデッドストックとなっているため、これらを活用することは、街に人がもどることであり、街興しにつながると考えます。

生活に関する相談及び指導について

 (1) 相談体制について

基本方針()においては、「ニーズに的確に応えられるよう、関係機関の相互連携を強化した総合的な相談体制の確立が必要」として、様々な機関による相談支援の仕組みを提案しています。そして、その核になるのは、福祉事務所ですが、現状では日々増加する被保護者等への対応に追われ、新たな事務に取り組むことが困難な場合も少なくありません。とりわけ、東京では、緊急一時保護センター利用の入り口から、自立支援センター利用の決定、あるいは自立支援センターへ行けなかった人の処遇の決定まで広範な権限を保持していますが、この権限を行使するに足る十分な体制が担保されているとは言い難い状態にあります。このため、本当は、アセスメント等を生かし、個別の支援を行って行かなければならない人たちを、画一的な処遇でしか対応できず、みすみす路上にもどしてしまうことも少なくありません。

この問題を解決するため、福祉事務所の行うホームレス等に関する街頭相談、訪問相談、移送、また、無料低額の宿泊事業に居住する被保護者や保護施設入所者に対する訪問調査、相談等の事務は、厳しい守秘義務を課して民間の機関へ委託できるものとし、委託する場合には、当該福祉事務所に国庫補助する仕組みをつくり、誘導することが必要と考えます。

このことは、「(11) ホームレスの自立の支援等を行う民間団体との連携に関する事項について」の内実をつくる意味でも必要な事項であると考えます。

 (2) 女性ホームレスへの対応について

今回基本方針()には女性ホームレスに関する記載がありません。公園等には、パートナーからの暴力被害にあっている女性や、精神障害等が疑われる女性などが数は多くはありませんが、確実に存在しています。

これらの女性のホームレスの人たちは、要保護性が高く、かつ適切なアセスメントを必要とする人たちです。これらの人々の一時保護等に関しては、婦人相談所(女性相談センター)が対応してきましたが、近年DVへの対応が求めれらているためか、従来の対象者に必ずしも十分な対応がなされているとは言い難い状態ではないかと思われます。

このため、設置の法的根拠は異なっても、ホームレス対策事業における婦人相談所(女性相談センター)の役割を基本方針に明記し、積極的な取り組みを促す必要があると考えます。

 (3) 若年のホームレスへの対応について

大田寮でアセスメントをしていると、最近移動型で、路上期間が短い20代の人にであう機会が多くなっています。これらの若年のホームレスの人達は、学校卒業後定職につけず、フリーターとなりそのままズルズルと転職、失職を繰り返しながら、住居を失いホームレスになっています。十分な、社会性を身につける機会もないままに乏しい人間関係の中で、家族と切り離されると完全に孤立状態になっています。昔なら親や地域が教えた基本的な生活技術が継承されていない人たちが少なくありません。これらの若年ホームレスの人たちには、生活技術などを、関係機関が継続的に関わるなかで伝えることが必要であると考えます。特に、児童自立援助ホーム等と連携するなどにより、独自の支援プログラムによる援助が必要と考えます。

生活保護について

 (1) 稼働年齢層への保護適用について

雇用情勢が厳しいなかで稼動年齢の人への生活保護のあり方も考える必要があると思われます。最近の調査では、長年やって来た仕事を続けられずに、失職、住宅喪失、路上生活へというパターンが多く見られます。年齢や身体状況も保護をかけるひとつの目安とは思いますが、稼働能力があって、稼働の努力をしたにもかかわらず稼働できない人に対しては、保護をかけることが必要であることはいうまでもありませんが、実態はかならずしもそうなってはいません。福祉事務所への監査指導方針の中に、ホームレスに対する適性な保護の適用についてもりこむ等、実効を上げるようなシステムが必要です。

 (2) 住宅扶助の適用について

従来、生活保護受給の場合、施設等で金銭管理ができるか、生活管理ができるかを見極めたうえでしかアパートに入居させない、という運用をしている福祉事務所が少なくありません。施設等での集団生活に適用できず、施設等から出て来る人が、かなり路上にはいます。本来はアパートなどでの保護が原則であり、施設等は例外ということが、こと路上生活者に対しては昭和50年の厚生省の保護課通知以来全く逆転しています。福祉事務所も、現実に窓口にあふれる路上生活者にまず対応することが求められるため、じっくり、原則をどう貫くか、どう実現するか、という検討はできにくくなっているように見えます。今回これを機に、居宅保護の原則に基づいた保護の適用が可能となるようにする必要があると思います

民間無料低額宿泊事業宿泊所(以下「民間宿泊所」という。)について

基本方針()においては、民間宿泊所について「() ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行われるこれらの者に対する生活上の支援について」及び「() ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項について」においてその活用を図ることを求めています。都内では、それら民間宿泊所に暮らすホームレスの人たちは3,600人に及んでいるとされており、ホームレス対策事業において極めて大きな役割を果たしています。しかし、民間宿泊所における生活環境、支援内容について必ずしも好ましくない状態があるともされており、その活用には改善が不可欠です。このため、民間宿泊所の活用を図る前提として、その最低基準を事務処理標準として示し、底上げを指導するとともに、住宅扶助こ関する取り扱いを整理することが必要と考えます。

また、この指導により、この事業から撤退する事業者が発生した場合には、直接自治体等が当該宿泊所建物を借り上げ、先に述べた公設宿泊所として設置できるようにする等の対応策が必要と考えます。

ホームレスの人権の擁護に関する事項について

ホームレスが地域社会へ復帰していく際には、地域住民の理解と協力は欠かすことができません。しかしながら、現状では理解が十分に得られているとは言い難い状態にあります。このため、ホームレスの実態を地域住民が理解できるような区民の啓発活動は不可欠です。とりわけ、中高生等少年による路上生活者に対する「襲撃」などが繰り返し行われる状況下では、学校教育分野における人権啓発事業の一環として、ホームレス問題が取り上げられることが必要であると考えます。

以上


厚生労働省「ホームレスの自立支援等に関する基本方針案」への意見

            社団法人神奈川県社会福祉士会横浜支部支部長 須田幸隆

 今般、「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針()」が発表されたことについて、社会福祉に携さわる者として、関係者に深く敬意を表します。

はじめに

 社団法人神奈川県社会福祉士会横浜支部(横浜市社会福祉士会)に所属する社会福祉士12名は、今年の2月に行われたホームレスの全国実態調査に、県知事から委嘱を受けて調査員として、横浜市内のホームレスの実態調査に関わりました。その調査員の感想文は、既に調査票とともに厚生労働省に提出済みですが、概ね次のようなものでした。

雇用問題について

 以前働いていた仕事への再就職希望が強いこと。しかし、その再就職への期待は希薄であること。そして年齢は50代後半で、労働力としては限定されてしまうこと。

雇用の支援・提供にソーシャルワークやカウンセリングを取り入れた支援策が必要なこと。

かっての失業対策事業のように、ホームレスが参加出来る仕事を創出すること。

生活保護について

 セフティーネットとしての機能を十分に果たしていないこと。

生活保護基準を下回る収入・資産状況でありながら福祉事務所の窓口の厳しい対応によって制度利用に至っていないこと。

良質なNPOを意識的かつ積極的に育てて、第二種社会福祉事業(宿泊事業)を行政と住み分けてやっていくこと。

医療について

 3年以上路上生活している人で、怪我が原因で職につけなかったという人がいた。医療扶助が十分であったのか疑問であったこと。

相談窓口について

  全国の福祉事務所の相談実施体制が整備されてなく、ホームレスの相談が十分に行われていないこと。

以上、いずれもよく指摘されていたことです。

 さて、基本方針を読んで感じたことを率直に申し上げれば、従来言われてきたことは、一応網羅されているように思います。しかし、ホームレス支援をより一層発展させる立場から、批判的に意見をまとめて提出します。

1. 全体について

 まず、方針はあっても、具体的行動のプログラムが示されていない。実施計画は、都道府県、市町村が策定するといわゆるホームレス支援法に定められてはいるが、それは地方自治体への丸投げにならないか。地方自治体が実効性ある実施計画を作る担保はあるのか。

 同じことかもしれないが、「全体に何々が必要である 何々が重要である 何々に努める等」とありますが、誰がやるのかという主語が明らかになっていない。そして、その実施体制の整備が何も明らかにされていない。

2. 生活保護の問題について

 言うまでもなく、ホームレス問題は貧困(生活、住宅、医療、労働)問題です。

 わが国は、貧困問題に対しては、生活保護制度を中心に据えて対処してきました。従ってホームレス問題に対しても適正に生活保護制度を機能させていたならば、現在のようにはホームレス問題は生じなかったのではないか。

 ところが、あえて言えば全国の福祉事務所の窓口は、長年住所のない人には相談に乗れない、住所を定めてから来てくださいとホームレスを閉め出してきていたのではないか。

 ここ数年、再三再四厚生労働省が見解を示しても、福祉事務所自体が未だに自己抑制、自己規制から抜け出せないでいるのではないか。社会福祉事業法(社会福祉法)改正時に、わざわざ国会で不当に取り扱われることがないようにと付帯決議が付されたのは、このような背景があったからこそではなかったか。

もっとも、厚生労働省保護課が、現在示している取り扱い指針でさえ、「居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではない」を言うのに、まず先に「一般の者と同様であり、単にホームレスであることをもって、当然に保護の対象となるものではない」と抑制する表現を付けている。

 これは、単にバランスを取っておく必要があるということなのかもしれないが、だとすれば、それはホームレスが生活保護から閉め出されているという現場実態を知らな過ぎると言わざるを得ません。この場合の取り扱い指針は、「ホームレスに対する生活保護の適用は、一般の者と同様であり、居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではない」でいいはずです。底流に流れる国のこの抑制意識が、微妙に福祉事務所の窓口に影響を及ぼしていることをもっと知るべきです。ソーシャルインクルージョンがどこか虚しく響きます。

 さらに付け加えますが、ホームレスはその数こそ少ないが、大都市だけではなく中小都市まで拡散していると報告されています。自立支援センターやシェルターを設置していない中小都市は、民間の住宅を利用せざるを得ないことになります。その為には、基本方針に合わせて生活保護の実施要領の改正も必要ではないのか。

3. 子細な部分について

( 雇用の問題では、事業所での一定期間の試行雇用事業など、新しいものも散見されるが、就労支援などでは、ソーシャルワーカーやカウンセラーによる個別支援やそれに成功報酬を支払う等欧米諸国に学ぶところはなかったか。

() 資格取得、職業訓練も大事ではあるが、もっと生活していく上での基礎的な生活訓練の視点が必要ではないか。そのためには、グループホームなどが有効な施策ではないか。

( 自立支援センターもシェルターも必要な施策であるが、小さなメニューが沢山あるのが望ましい。その人に相応しいメニューが選択できるのが望ましい。

() 良質なNPOによる第二種社会福祉事業(宿泊事業)を積極的に活用すると同時に、設置運営のガイドラインを策定する必要がないか。

( 都市間の流動の問題も見過ごすことの出来ない問題です。例えば、横浜市のサービスを求めて

他都市からホームレスが流入すると言った問題です。時には他都市福祉事務所の窓口が横浜に、積極的に向ける例さえあるのです。そして、それは横浜市の納税者からは、横浜が甘いからだと批判にさらされるのです。これはどこかが間違っていないだろうか。

 まとめ

 横浜市は、都市の規模に比しては、ホームレスは少ないと思います。

 その理由は、20年以上に亘って、次のような地道な施策の積み上げがあったからだと思います。

1. 毎日、600人から700人を越えるホームレス等の人の相談面接を実施していること。

2. パン券、宿泊券に膨大な予算を投入していること。

3. 要保護性のあるホームレスには居所の確保に協力しながら生活保護の申請を受理していること。

4. 緊急一時宿泊所を設置してきたこと。

5. 新たに、恒久的な自立支援センターを設置したこと。

6. 夜間街頭相談を隔週に一回実施していること。

7. 福祉事務所職員(福祉職)の適切な判断、理解がある。

8. 支援団体との話し合い、協同、連携が構築されていること。

 ホームレスの問題は、新しい都市問題と言われます。過去は過去として、この基本方針をきちんと実行したならば、解決の難しいホームレス問題も、一応の改善方向に向かうことは間違いないものと信じます。

 私たち社会福祉士、社会福祉士会も微力ながら、地域の福祉問題解決に取り組み、地域福祉の向上に貢献していきたいと思います。

 最後になりましたが、福祉サービスの質を決めるのは、結局は従事職員の質によります。ホームレス問題についても同じことが言えるのではないでしょうか。どんなに立派な基本方針、実行計画が樹立されても、最後はそれを実行する職員の質に左右されます。その意味では国家試験資格である社会福祉士の位置付けなどもしっかり行われるならば、まわりまわって、ホームレス問題解決にも良い影響を及ぼすものと考えます。


 厚生労働省「ホームレスの自立支援等に関する基本方針()」への意見

                  日本社会福祉士会広島県支部長 岡崎仁史

これについては下記の通りです。

国が基本的に地方自治体を支援し、共同して地方自治体主体のホームレス自立支援事業を行うべきである。この案にはそれが弱いように思える。

 (理由)2000年4月からの地方分権一括法の施行により、従来の機関委任事務も廃止され、住民の生活に関する行政事務は全て国から地方に移され、地方自治体の事務となり、ナショナル・ミニマムに関するものは法定受託事務とし、それ以外のもの、即ち、大半の地方自治体の事務は、自治事務となった。しかし、ホームレス問題は、全国的規模かつ長期間の不況ならびに社会経済構造の急激な変化を原因としているものである。また、国際水準から考えて、日本の官・民双方の対策の遅れは恥ずかしいものであり、地方分権法の趣旨を生かして、国と地方公共団体とは対等な関係で助言、協議が必要なものである。

具体的には、国は、財政措置をして、ドイツ連邦政府の「モーツアルト・プロジェクト(MoZArT)」のように失業者、ホームレス支援の実験事業を、国と地方自治体との協働関係の中で行うべきである。そのことを通して、市町村および国は、ホームレス自立支援の適切な施策を、見つけ出すことができる。また、ホームレスの人に対するケアマネジメントの適用を行う。

(参考:「モーツアルト・プロジェクト(MoZArT)」とは)

 論文「ドイツにおける社会的排除への対策」(庄谷怜子・布川日佐史著、『海外社会保障研究bP41』2002年冬、国立社会保障・人口問題研究所発行)によれば、ドイツは歴史的に州政府中心の地方分権の国であり慢性的に失業率が高いので、ドイツ連邦政府は、地方自治体と協働して、失業者やホームレス支援のために、全国に30個所の市町村において(平均1州2ヵ所となる)、社会事務所と労働事務所(職安)を統合化して双方のノウハウを持って個人の複合化したニーズに適合するよう一人ひとりのニーズ・アセスメントを行い、支援計画を立て、しかも、ジョブ・コーチを行い、自立生活に結びつけている。

(アイディア)

1) ホームレスの人に対するケアマネジメントを行う。

2) (社会福祉士会と社会福祉協議会との連携)事業を希望する社会福祉士会と都道府県社協は、社会福祉協議会の職安事業「社会福祉人材センター」を活用して、就労希望するホームレスに対して、就労支援、ホームヘルパー養成講座などの職業転換のための職業訓練、相談援助を行う。

3) (福祉事務所・住宅課とボランティア団体・社会福祉士会等支援団体との連携)高齢者・病気のホームレスに対する生活保護の適用と相談援助、

4)  (社会福祉士会とボランティア団体との連携)事業を希望する社会福祉士会とボランテ

ィア団体は連携して「社会的支援を拒否するホームレス」に対する長期にわたる相談援助を行う。 

  知恵を絞って、政府(中央政府の地方機関、地方自治体)も含めてあらゆる領域における保護雇用として「雇用の場の創出」を行うべきである。

 就労支援は、民間領域の雇用に限定しないで、(p6のアのように「事業主等の理解を深めために事業主に対する啓発」)、1政府の領域(中央政府の地方機関、地方自治体)、2非営利法人、NPOの領域、3営利法人の領域にも求めるべきである。「各課題に対する取組み方針」「()ホームレスの就業の機会確保について」のように、ホームレスのニーズの第1位は、就労による自立が一番であり、そのための自立支援策は、就労支援が基本であるが、「ア 事業主等の理解を深める…事業主等に対する啓発活動を行う」と、直ちに政府の領域以外に求めるのは疑問が残る。

(アイディア)

) 政府の領域(中央政府の地方機関、地方自治体)で緊急雇用対策として行う。

非営利の社会福祉施設や医療施設の領域において、失業対策の緊急雇用助成制度を活用して、半年間でも単純労働で雇用し、吸収する方策を追求する。

そのために、社会福祉施設経営者協議会、老人福祉施設協議会、知的障害者福祉協会、医師会理事会等の非営利法人の事業者団体での説明と保護雇用の促進。

建設業、単純労働の職場は構造改革で縮小しているので、緊急雇用制度の利用の間、ホームヘルパー養成講座などの職業転換のための資格取得訓練を行い、介護系の職場への就労転換の準備行う。

また、シルバー人材センター事業のような、ホームレス人材センター(仮称)を組織化し、

求人と雇用を確保する。ジョブ・コーチ制を採用する。

 (最近の事例)

●ボランティアAさんの就労支援

 郡部の民間病院の事務長が、1月のホームレス実態調査のTVニュースを見て、「一人雇用したい」と申し出てくれた。その後、Aさんは散髪をしてもらい、身だしなみも整えて、ボランティアに付き添って面接にも同行してもらい、従業員寮付で病院が雇って、住居と職業、収入、社会関係を一度に得て自立した。

●Z病院

 路上生活者が入院し治癒したが、その後、病院の単純労働で雇用された。

●ボランティアAさんの就労支援

 知り合いの事業経営者が10人分のアパート付きの仕事を提供するの旨の申し出があった。

●カナダのホームレス支援センター

 仕事紹介、職場探しのための電話の提供、面接の練習、衣服の貸与を行っている。ジョブ・コーチである。 

住居

  路上生活は人間の尊厳を侵すものなので、真っ先に住居の提供、確保が必要である。

  保健医療の確保

(アイディア)

1) ホームレスの人に対するケアマネジメントを行う。

ホームレスの人々は、入浴の機会が少ないので清潔と健康を保つために、巡回入浴車(シャワー付き、あるいはキャンプ用のドラム缶入浴など)を活用して清潔を保つ。将来的には、これらの事業にホームレスの人に従事して雇用を創出する。入浴車のサービスに合わせて、清潔な衣服の支給、食事の支給、保健師による健康相談、医師による医療相談、就労相談、生活保護相談などを行い、自立支援を行う。 

  高齢者・病気・障害者のホームレスの人々に対する生活保護の適用のための相談援助

 なかなか受け入れてくれないけれども、長い期間の相談援助によって生活保護(住居、収入、医療)に結びつける。

 (アイディア)

1) ボランティア団体と連携して、事業意思のある社会福祉士会による相談援助を行う。 

2) ホームレスの人に対するケアマネジメントを行う。 

(事例)

●公園の掃除道具入れの箱の中で起居していた60歳代の人

本人が健康を害していたので、ボランティア(Yさん)は長い期間、生活保護利用を薦めてきたが「頑張る」と言って受け入れず、そのままの状態であった。ボランティアがこの3月末に訪れると、「先日福祉事務所に行って生活保護を申請した。明日、近くのアパートに引っ越すことになった。色々世話になった」。ボランティアが、後日その人のアパートへ花をもって訪問したら、アルファベットの表札「A」が掛かっていた。

→ 何が、この人の気持ち、意思を動かせたのか?7年くらいにおよぶ関係性の蓄積なのか。

→ 生活保護制度についての情報提供。

→ 住居地の必要性(広島市は旅館借り上げ。他都市は支援センター構想)


 くるめ市議会便り 平成17111日発行

民間賃貸住宅の公的保証人制度の検討は

問 保証人のなり手がないために民間のアパートを借りられない人や、施設や病院から出られない障害者がいる。高齢者、養護施設を経て成人した人、外国人、ホームレス等にも居住支援が必要である。他市には、公的保証人制度や居住支援制度の例がある。早急に実現すべきだと思うがどうか。

答 高齢者や障害者世帯等は、民間賃貸住宅に入居の際に、保証人を確保できず入居が困難な場合があり、住宅対策上の課題の一つにあげられている。市内の民間賃貸住宅の入居条件等の実態把握や、先進地の事例調査を進め、国や県の動向を踏まえながら検討を進めたい。


 くるめ市議会便り 平成15年11月1日発行

不法投棄や放置車両への対応は

問 不法投棄対策等について伺いたい。

 @昨年より山間部に監視カメラを設置し、さらに本年は緊急雇用対策事業で夜間パトロールも実施し、地域も含めて不法投棄防止に努力されているが、その現況は。

 A陸上競技場周辺には多数の放置車両があり、利用者の駐車にも困難が生じている。早急な対策は。

答 @広報誌等による啓発や昼間・夜間パトロールを行い、さらに監視カメラを設置するなど、市民意識の高揚と不法投棄ができない環境づくりに取り組んでいる。また、郵便の集配バイクやタクシーへも日常的な監視をお願いし、市民との協働による不法投棄のない地域環境の実現を目指している。

A陸上競技場周辺には、現在51台の放置車両があり、その中にはホームレスが使用しているものもある。市条例に基づき順次撤去するが、ホームレス関連車両については福祉部局と連携を取りながら、撤去・指導に努めたい。