TV東京製作「浅草橋ヤング洋品店『ヒッピーはヤッピーになれるか』」に対する確認会への参加要請

TV東京が製作し、TV大阪が関西で放映している「浅草橋ヤング洋品店」(日曜、よる9じ)で、今年6月〜8月にかけて、7回にわたって「ヒッピーはヤッピーになれるか」というコーナーが放映されました。

東京編が3回、大阪編が4回、いずれも、公園などで野宿を強いられている労動者を「ヒッピー」にたとえ、フロに入れ、散髪をして最先端の流行の服に着替えさせて、アメリカのエリートサラリーマン「ヤッピー」に変身したとして、その変化を笑うという内容の番組です。

私たちは、この番組が、次の点で、きわめて差別的であり、野宿を強いられている労働者に対する偏見をあおり、人権を著しく侵害するものであると考えています.

(1)野宿せざるを得ない現実を強いられていることに疑問をはさまず、「当たり前」のこととして前提にしたうえで、野宿生活の結果である容姿や服装からの「イメージの激変」を見世物にし、笑いの対象にしていること、つまり、野宿を強いられていることを興味と笑いの題材としていること、

(2)その結果、「汚い服装をしているから差別される」という野宿者に対する差別観念をあおることになっていること、

(3)ヒッピーとして野宿者を表現することによって、「自分自身の意志で好き好んでああいう生活をしている」という、野宿者への偏見をあおっていること、

(4)野宿者のテントにいきなりカメラをつっこんだり、タパコやビールをいきなり差し出して話をしようとするなど、対等な人と人とのコミュニケーションの方法を著しく逸脱していること、

(5)出演した本人に対して、容姿や服装の原因である野宿生活に対する責任ある対応も行わず、出演者との関係を、視聴者に対する興味と笑いの対象としてのみ捉えていること.

私たちは、放映以降TV大阪に対する抗議電話などをおこなってきましたが、TV東京やTV大阪に行われたいくつかの抗議電話の後も、製作サイドでの「問題はない」との判断によって、放映が続けられてきました。

それ故、現在、このコーナーがなくなったとは言え、製作サイド・放映サイドの責任を糺し、放映によって生じた社会的影響に対して責任を取らせていかなければならないと考えています。

よって、次の日程で、TV東京・製作会社ロコ・モーションおよびTV大阪との確認会をおこないたいと思います。

当日は、コーナーの全放映分を上映し、釜ヶ崎の労働者とともに制作・放映サイドとの話合いをおこなっていきたいと思います。 ぜひともご参加をお願いする次第です。

(日時)10月5日(火)、午後2時〜

(場所)西成市民館(JR環状線・新今宮、地下鉄・動物園前下車、西成警察署(建て替え中)西側)

以上 1993年9月22日

(呼びかけ人)

釜ヶ崎差別と闘う連絡会議代表・金井愛明、代表幹事・西岡智

釜ヶ崎日雇労働者の仕事と生活を勝ち取る会 共同代表・中尾春男、藤原昭、本田次男

釜ヶ崎日雇労働組合委員長・山田実

釜ヶ崎連帯会議・前田秀夫

・確認会の事前の打ち合わせ会議を、9月29日(水)午後7時半より、「旅路の里」にておこないたいと思いますので、ご出席をお願いいたします。

・別紙質問状に名を連ねていただけるかどうか、確認会への出欠につきましては、同封のハガキもしくはお電話で、10月2日(土)までに上記連絡先まで、ご連絡をお願いいたします。


南大阪記者クラブ加盟各位 

釜ヶ崎差別と闘う連絡会議

「テレビによる野宿者差別確認集会」への出席ご依頼

「テレビによる野宿者差別確認集会」を10月5日午後2時より、西成市民会館にて開催いたします(詳細は添付文章を御覧ください)。

各位が持ち場とされている釜ヶ崎(あいりん地区)では、現在多数の労働者が野宿を余儀なくされていることは、すでにご承知のことと思います。

その存在について社会に伝える必要を考えておられる人、そうでない人、一人一人考え方はあろうとは思いますが、一 度、野宿者について、直接考える場に参加し、野宿者の存在についてより深く理解していただきたいと考え、確認集会への出席をご依頼することにいたしました。  

勿論、「会」を計画したものとしては、野宿者への差別は許されないことだという主張 を、社会に広く根づかせるために、この確認会を一つの機会として使っていただければ幸 いに存じます。

以上、簡単ながらご依頼もうしあげます。 1993年9月30日