「ホームレスの自立の支援策等に関する

臨時措置法案」の早期成立を求めて

 

10・5 国会要請中央行動
10・6
中央総決起集会

釜ヶ崎支援機構を始めとする全国の野宿生活者の支援団体9団体(下記参照)は、「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」について、秋の臨時国会での早期審議を求め、成立させるために大同団結を呼びかけ、10月5日に国会請願デモ、10月6日に中央総決起集会を開催した。

国会請願デモには、19,636名分の署名を抱えて全国から約250名の仲間が集まり、永田町の社会文化会館から国会までデモ行進を行った。議員会館前では国会議員と共に集会を行い、法案の早期成立に向けてシュプレヒコールを行った。併せて、衆議院議長あての署名を民主党、共産党、社民党の衆参合わせて総勢17名の国会議員にゆだねた。

 総決起集会は、永田町の星陵会館で開催され、前日に続き全国の野宿の仲間約200名や我々の他、国会議員や労働組合、キリスト教関係者等が参加し、皆で共に法案成立の日まで闘い続けることを決意した。以下に集会決議文を紹介する。

10・5国会要請中央行動、及び10・6中央総決起集会の参加団体

特定非営利活動法人 釜ヶ崎支援機構 

釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会(釜ヶ崎反失業連絡会)

新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議(新宿連絡会)

池袋野宿者連絡会

神奈川全県夜回り・パトロール交流会 

特定非営利活動法人 北九州ホームレス支援機構

野宿者・人権資料センター

特定非営利活動法人 ささしま共生会

三多摩野宿者人権ネットワーク


集会決議文

バブル崩壊以降、全国の都市部において急増する野宿を余儀なくされている人々に対し、私達の社会が具体的な解決の方途を見出せず、混迷に混迷を重ね、その不作為の不利益を日々、過酷な生活を余儀なくされている野宿当事者に押し付けている現状を、私達は憂う。

私達は路上で呻吟する仲間と共に、野宿という現状を打破しようと長年に亘り奮闘し続けて来た。各地において、夜回り、炊出し、医療相談、福祉相談、労働相談、生活相談など応急的な支援活動を行なうと同時に、路上から脱するための就労支援や自立支援もまた全力で行なって来た。そして、各地方自治体への要求行動、交渉、事業参画なども仲間と共に行なって来た。

が、国は野宿者の生活を守り野宿から脱する施策を行なう責任を回避し、地方自治体も抜本的な施策への踏み込みを回避し、応急的な援護策を細々と行なうレベルでしかない。生活困窮者や失業者を野宿へと安易に転落させるこの社会、そして、野宿者が放置されているこの社会は、多大なる不利益と危険を当事者に今も強いている。

 私達は、いわゆる「ホームレス問題」と言う場合、国の不作為の結果として野宿状態をあえて固定化させ、長期化させている事、そして、野宿者を安易に生み出す今日の社会構造をあえて放置している事こそが大きな問題の根幹であると考える。この点を変えて行く視点と施策を持たない限り、いくら応急的な援護策を拡大したとしても、現状は何ら改善されないだろう。

私達はこれ以上、路上の死者を出さないためにも、これ以上、路上の仲間に不利益を強いないためにも、これ以上野宿者を増やさないためにも、今こそ、社会の総力をあげ、「ホームレス問題」に対する抜本的な取り組みを開始する時期であると訴える。

私達は提起する。まず国が責任を持ち、全国的なホームレス対策をすみやかに行なえるよう、その根拠法として現在国会に上程されている「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」を早期に審議し、成立させる事。そして、その元で、野宿者の就労、住宅の確保に向けた具体的な自立支援策を、当事者のニーズを反映させ確定し、すみやかに実行に移す事。そして野宿防止策を失業対策にまで踏み込んだ広範なセーフティネットとして社会に構築して行く事。

 私達は野宿を余儀なくされた人々、そして余儀なくされそうな人々も含めて、様々な困難を抱えた人々、様々な失敗を繰り返して来た人でも、もう一度やり直せる社会システムの構築を希求する。貧しくとも、仕事に就き、社会に参画できる喜びを感じられ、あばら家でも、安心して雨露が凌げる居所を確保し、地域の中で共に生きる喜びを感じられる社会を希求する。

そのために「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」制定に向けたたたかい、全国各地で生きるためのたたかいを全力で行なう。

そして、野宿者を始め、社会の下積みで働く人々や失業を余儀なくされた人々と共に、雇用対策、失業対策、福祉政策、ホームレス対策の拡大をたたかい取るため、立場を超えた人々との共闘を強化していく。

「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」制定の日まで、私達は全国各地でたたかい続ける事をここに決議する。


請願署名36,426名分受理

 提出した請願は、第153回国会で新件番号49「野宿生活者自立支援法制定に関する請願」として扱われ、受理件数19件、署名者通数36,426名となり、厚生労働委員会に付託されている。なお、請願の紹介議員は、植田至紀、鍵田節哉、今田保典、藤村修、中村哲治、前田雄吉、山井和則、桑原豊、水島広子、井上和雄、大谷信盛、古川元久、土肥隆一、金田誠一、佐藤謙一郎、細野豪志、近藤昭一、石毛えい子各議員となっている。(11月26日現在)


11・16 全国緊急国会行動

  民主党案を中心とした「ホームレス自立支援措置法」は、自民党、民主党の合議がなり、臨時国会での成立が濃厚と朝日新聞で報じられたが、自民・民主の合議でなく、与党(自民・公明・保守)ベースでの成立を求める公明党が「待った」をかけ、あらためて与党のプロジェクトチームで「法案」が検討されることとなった。

このような事態の推移を知った私たちは、法案の臨時国会での早期制定を求め、新たに集まった請願署名21,032名分を携えて、11月16日に全国緊急国会行動に参加した。

全国から約150名が参加した国会前座り込み集会には、山井和則、金田誠一衆議院議員もかけつけて、国会前は終日参加者の熱気であふれかえった。

また、厚生労働委員を務める議員に対して、法案制定を先送りすることのないよう、強制排除に繋がらない法案の早期実現を図るよう要望した。

なお、11月25日現在までに集まった署名は、既に提出したものも含めて48,000名分である。

厳しい冬にさしかかったが、法案制定が遅れれば遅れるほど路上死を増やしてしまうことになる。野宿の仲間たちを見殺しにすることのないよう、法案制定に向けて努力し続けたい。