生活保護申請手順
―安定した居宅確保のために 9月中旬から有効!
「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が成立し、国の基本方針が発表されたことは、皆もよく知っていることと思う。残念ながら、就労問題では大きな成果は得られず、働くことによって野宿の状態から脱したいという皆の願いはもう少し先まで実現しそうにない内容であった。しかし、「半就労半福祉」の窓口は大きくひろがった。これまでは、65歳未満で元気な人が福祉にかかることは容易ではなかったが、厚生労働省が国の基本方針に則した通知(下記参照)を出したので、年齢に関係なく、困窮の事実に基づいて、敷金が支給され、アパートに入って生活保護の適用を受けられることとなった。
とはいっても、相手はお役所のことなので、窓口にただ行って、「生保かけて」といっても相手にしてもらえない。ではどうすればいいか。その手順を紹介する。個々人の事情で一律には行かないが、参考にして、とりあえず路上から畳の上への移行をめざして欲しい。
1 ホームレスに対する生活保護の適用に関する基本的な考え方
生活保護は、資産、能力等を活用しても、最低限度の生活を維持できない者、すなわち、真に生活に困窮する者に対して最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度であり、ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものでないことに留意し、生活保護を適正に実施する。
2 基本方針の留意点
(1)ホームレスの抱える問題・状況の把握に当たっては、面接相談時の細かなヒアリングによって得られる要保護者の生活歴、職歴、病歴、居住歴及び現在の生活状況等の総合的な情報の収集や居宅生活を営むうえで必要となる基本的な項目(生活費の金銭管理、服薬等の健康管理、炊事・洗濯、人とのコミュニケーション等)の確認により、居宅生活を営むことができるか否かの点について、特に留意すること。
また、自立に向けての指導援助の必要性の程度を分析するに当たっては、利用できる社会資源の状況を総合的に勘案して、ケース診断会議等において処遇の方針を樹立し、保護の適用の方法を決定すること。
1)旧・福祉事務所(各区保健福祉センター支援運営課)に行く前に
@「生活保護申請にあたっての基礎事項」の記入
「基本方針の留意点」に書かれているように、福祉の相談窓口に行くと、まず「生活歴、職歴、病歴、居住歴及び現在の生活状況等」などが聞かれる。お役所でこんな事を突然聞かれると、大概の人はしどろもどろになって、うまく説明できなくなる。あらかじめ心を落ち着けて、自分で書いていった方が、話は早い。そのための書式がある。釜ヶ崎支援機構が作成した「生活保護申請にあたっての基礎事項」の用紙と「記入の手引き」がそれだ。できるだけ自分で書いて欲しいが、書ききれなければ、釜ヶ崎支援機構のスタッフに相談してもらいたい。
Aハローワークにいって「求職受付票」をつくろう
稼働能力(働く力)があるからといって、話を聞かずに窓口から追い返してはいけないが、働こうと努力していることは確認しなさい、ということになっている。では、どのような方法で働こうと努力していることを他人に伝えるか、ということになる。お役人の世界では、仕事探しは職安ですることになっているようで、新聞で探したり、貼紙を見て廻るということでは努力として認めてくれない。仕方がないので、職安に行って「求職受付票」を作ってもらい、相談するたびにスタンプを押して貰うことで、就労しようと努力していることを示すことになる。数は多いほどいい。パート仕事でもあれば、それを決めて働き、収入が基準額以下なら、生活保護に満たない額を足して貰うことができる。アルミ缶の収入も努力の証明となる。
B入居するアパートの目鼻を付けよう
敷金は不動産屋の手数料等いっさい込みで29万4千円を限度に支給される。家賃は4万2千円以内だ。共益費・電気・水道代は自己負担となる。その条件に合う物件を探して、「敷金の見積書」「日割り家賃の請求書」「家賃額証明書」を準備しておこう。不動産屋であれば、重要事項説明書を書いてくれる。賃貸情報は、中之島野営地に張り出す予定です。各自であたってみてください。
2)旧・福祉事務所(各区保健福祉センター支援運営課)に行く
@区役所の中の保健福祉センター支援運営課受付で、生活保護の相談に来たことを伝える
役所という所は、まず待たせる所だと覚悟を決めておこう。受付で名前をいって相談内容をいうと、しばらく待つようにいわれる。次に名前が呼ばれ、別の部屋に案内されることになる。そこで相手をしてくれるのは、受け付け面接専門の職員だ。お役所では「受面担当」と略していう。
受面担当者に、準備しておいた「生活保護申請にあたっての基礎事項」やスタンプをおしてある「求職受付票」、持っていれば最近の残高記帳済みの預金通帳・年金証書などを出して確認して貰う。
受面担当者は質問することが仕事なので、色々聞かれるが、冷静に答えよう。質問の意味がよく判らなければ、判りやすいように質問し直して貰おう。質問の意味がよく判らないのに中途半端に答えると、誤解が生じることになるから。ハンコは必ず持って行くこと。
A居所に関する書類の提出
受面担当者の聞き取りが終わったあとに、「敷金の見積書」「日割り家賃の請求書」「家賃額証明書」を提出するようにいわれる。これは不動産屋が準備してくれる。布団や日用品の見積書も、同時に出した方が、手間が省けていい。準備しておこう。書類を提出すれば、通常、2週間以内に決定が通知されることになっている。この段階で、生活費がなければ、前借りを言ってみよう。貸してくれるとは限らないが・・・・。
B敷金を貰い入居、居所確認のための訪問
入居したあとに、保健福祉センター支援運営課からケースワーカーが、本当に住んでいるかどうかを確認に来る。そのケースワーカーが来るまではあまり出歩かない方がよい。
生活場所の確認が終わって3日後くらいには生活費を受け取りに来るよう通知が郵便で届く。ハンコと通知書をもって受け取りにいこう。生活保護を受けるようになったら、本気で職安に通い、職探しをしよう。極僅かな収入でも確保し、役所に「収入報告」をしよう。これをおこたると、保護廃止となるおそれがある。