生活保護Q&A その4
Q 部屋が狭いので引越しを考えているが、敷金などの引越しの費用は支給されるのだろうか?
A 三畳一間・トイレ風呂共同の部屋にすんでいる人たちから「入居した当初は問題なかったが、1年もすると荷物もふえて手狭になった」という相談は多く寄せられます。
結論からいうと、火事で焼け出されるとか、アパートが古くなって立退きになるなど、よほどの理由がない限り敷金の支給はありません。敷金支給許可の項目(下記参照)には「世帯人員からみて狭い場合」とありますが、三畳一間であっても、一人者であれば「狭過ぎる」ことにはならないようです。
敷金のない物件ならば、比較的簡単に引越しできるのですが、間取りはそう変わらないでしょう。
◆引越し費用を貯めよう
引越しを考えるのであれば、引越しの費用を自分で調達しましょう。生活費を節約し貯金をするのです。一昔前は、生活保護受給者は「貯金はしてはいけない」といわれていましたが、現在は、むしろ「万が一の時のために、生活に支障が出ない範囲で節約して貯金をして下さい」と指導しています。
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転居に際し敷金等を必要とする場合又は、別に定める額とは
敷金支給が認められる項目は全部で14ですが、居宅保護の高齢者に関係ありそうな項目だけを掲載します。
@入院患者が実施機関の指導に基づいて退院するに際し帰住する住居がない場合
A実施機関の指導に基づき、現在支払われている家賃又は間代よりも低額な住居に転居する場合
B土地収用法、都市計画法の定めるところにより立退きを強制され、転居を必要とする場合(中略)
F火災などの災害により現住所が消滅し、又は、居住にたえない状態になったと認められる場合
G老朽又は破損により居住にたえない状態になったと認められる場合
H世帯人員からみて著しく狭隘であると認められる場合
I病気療養上著しく環境条件が悪いと認められる場合又は身体障害者が居る場合であって設備構造が居住に適さないと認められる場合
(中略)
K家主が相当の理由をもって立退きを要求し、又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより、やむを得ず転居する場合
L離婚により新たに住居を必要とする場合
M高齢者、身体障害者などが扶養義務者の日常的介護を受けるため、扶養義務者の住居の近隣に転居する場合 または、双方が被保護者であって、扶養義務者が日常的介護のために高齢者、身体障害者等の住居の近隣に転居する場合 「生活保護手帳」平成14年度版より
◆敷金支給された例
◆木造住宅の2階に住んでいたAさんは、転んで足首・膝などを骨折、1ヶ月の入院。退院後も後遺症が残り、階段の昇降が辛くなったし、誰から見ても危険。主治医に意見書を書いてもらい、敷金支給を受けてエレベーターつきの住宅に引越した。(右のIに該当)敷金支給が認められるのは、ほとんどがAさんのような場合のよう。◆入院が6ヶ月以上になり一旦アパートがなくなったが、退院の時、新たにアパートの敷金を出してもらったBさん(@に該当)等。◆その他見聞きした例では「結婚することになった」三畳一間で夫婦2人はさすがに狭すぎ。(右のHに該当)(2)「夫婦に子どもが出来たが、住んでいたアパートは“子どもお断り”とのことで引越しを余儀なくされた」(右のKに該当か?)など。
◆具体的にどういう手順で引越しをすすめることになるのか?
@まず、担当のケースワーカーに引越しの予定があることを必ず一言いっておきましょう。家賃の限度額・準備する書類のことなど、きちんと確認しておきましょう。
A退去予定日を決め、現在住んでいるアパートの大家さん・管理人さんに通告しましょう。契約の内容によっては転居する1〜2ヶ月前に、その旨通告しておかないと、余分に家賃を支払わなければならない場合もあるので注意が肝腎です。
B不動産屋で部屋探し。部屋探し開始日は早すぎても遅すぎてもうまくいきません。一般的には毎月二十日前後位が良いそうです。
条件に適った部屋が見つかったら不動産屋に「重要事項説明書」を書いてもらいます。これは不動産屋が出す書類で、物件の詳細・契約内容が書いてあります。
CBの「重要事項説明書」を担当のケースワーカーに提示します。その後、不動産屋で正式に契約を。
◆不動産屋での部屋探しのポイント◆
【一】条件・希望を整理しておく。
敷金などの予算・所在地・間取り・入居予定日などをきちんと整理しておきましょう。生活保護を受給していることは最初にはっきり言っておきましょう。
【二】わからないことは率直に質問しましょう。これから長く住む部屋です。あとで後悔しないように何でも聞いておきましょう。
「引越しの虎の巻」みたいな本も多数出ているので一読をお勧めします。
府営住宅・市営住宅の抽選に応募という手もありますが・・・。またの機会に特集記事を掲載します。
引越しには、どれくらいの予算が必要か?■四畳半・炊事場付・トイレ共同(風呂なし)といった物件ならば20万円■ワンルームマンション型でトイレ・風呂が部屋にあるものなら30万円は必要でしょう■引越しの際に運送屋をたのむことになれば、もちろん、その費用も必要です。
♪みんなの引越し体験談
▲Dさん(67才)は、18万円を貯めて不動産屋にいった。西成区玉出の四畳半の物件を紹介されたが、「礼金15万・家賃3万」との条件で、仲介手数料1か月分をあわせると予算をオーバーする。しかし事情を汲んでくれた不動産屋は、大家と交渉、「礼金9万・家賃4万」に話をまとめてくれた。仲介手数料を含めて17万となり、何とか予算内に収まって、無事引越しができた。
◆「敷金・礼金・保証金分割払い」はリスクがいっぱい!
不動産屋の中には、「敷金・礼金・保証金など分割払いでOK」というところもありますが、これは、絶対にお勧めできません。やめましょう。
なぜか。毎月一〜二万ずつ(あるいはもっと)家賃とは別に敷金礼金分を返済していくことになります。「このぐらいなら大丈夫」と鷹をくくるのは早計というもの。例えば、今後、病気をして入院しなければならない時が来るかもしれない。一ヶ月以上の入院になれば、支給される保護費は月額二万三千円と家賃を足した額に減ります。入院すれば食事は出るとはいえ、シーツ交換代・テレビ代など何かと出費も多いもの。仮に二万円の借金返済となると、手元にほとんど残らないどころか病院への支払いが出来ないことにもなりかねません。引越しするなら貯金が目標額に達してからにしましょう。
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