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◇業務内容 ・医療相談 ・生活保護の相談 ・生活支援・居宅訪問 ・病院訪問 ◇設立の経緯

◆特別企画◆ ドキュメント
「福祉相談部門の
     長すぎる1日」

 

 

生活支援・居宅訪問 - 再野宿化を防ぐために

 福祉相談部門では、生活保護受給後も、再野宿を防ぐために、関わりを継続しながら、いくつかの試みを行ってきました。

 一旦保護受給すればそれで全てうまくいくとは限りません。入所した施設から退寮して再び野宿生活に戻る人も少なくありません。居宅保護の場合も同様で、アパート出奔・アパート退去を余儀なくされるケースもままあります。

 例えば、認知症の進行により自宅に戻れなくなった人。1ヶ月単位の計画的金銭消費=やりくりがうまくいかず、生活費が足りなくなり、ヤミ金融からの融資を受け、厳しい取り立てから逃れるためにアパートを夜逃げするように出奔してしまった人。アルコール依存症の連続飲酒発作のため酩酊の上、現金を紛失して家賃が支払えなくなった人。これらはほんの一部の例でしかなく、再野宿にいたる理由は多様であり、しかも複数の要因が重なっている事が多いようです。

(1) アパート訪問に関して

 保護受給後の人たちの部屋を訪問し、本人と話をします。これは主にボランティアの方(現在8名)に従事してもらっています。生活現況や健康状態をうかがい、何か心配な点が見受けられれば、その場で助言や提案したり、込み入った問題がある場合であれば専従スタッフが再訪問したり、本人さんに事務所へ来てもらって詳しい話を聞かせてもらったりしています。

 なぜアパート訪問が必要になってくるのでしょうか。大阪市西成区の保護率は極めて高く、その大半が独居です。福祉事務所のケースワーカー1人が約400人のケースを抱えることになり、ケース一人一人の状況把握はもとより、きめ細やかな援助をすることに限界があります。また周囲にとけ込むことがうまく行かず、地域社会から孤立を余儀なくされている独居の高齢者も決して少なくありません。

 上記の認知症の進行により帰宅できず再び野宿を強いられた人も、周囲の人から事情を聞くと、徴候はずいぶん以前からあったようですが、適切な処遇−認知症専門医の診療・介護保険サービスの利用・救護施設への入所−に結び付けることが出来ませんでした。健康状態が悪化しても病院受診が億劫になり、そのまま放置する人もまま見受けられます。アルコール依存症の人の場合、本人と面談を重ね、適切な専門医療を受けられるような初期介入が必要です。最悪の場合、アパート居室内での孤独死という最悪の結果を招来します。私たちのアパート訪問も、関わりを持ったケースの数から見れば十分とは言えませんが、ボランティアの方に手伝ってもらいながら、問題の早期発見と解決に努めています。

(2) 金銭管理

 計画的にお金を使うことが苦手な人がいます。日雇い労働に従事した経験が長いためか、「宵越しの金を待たない」という生活習慣を長らく保持してきた人もいます。アルコール・覚醒剤などの薬物依存症の治療を受けている人では、まとまったお金を所持することが再飲酒・再使用の引き金になることがままあります。その他、(まだ病気としてに世間的な認知は薄いいものの)パチンコ・競輪・競馬などのギャンブル依存症(嗜癖)と思われる方もいます。そういった人も一度に1ヶ月分の家賃・生活費を一人で持つのは危険なことです。また加齢にともない、認知症の進行があり、金銭の自己管理が出来なくなる場合もあります。

  一方で生活保護支給日は月1回で、かりに何らかの理由があって生活費が月途中で無くなっても、貸し金の制度はありません。たった一度の経済的な失敗が、家賃の未払い=住居を失うこと=生活の破綻=再野宿化に繋がりやすいのです。アルコール依存症・その他薬物依存症の人には、適切な専門医療を受けてもらうことに加え、金銭管理などのサポートが必要になります。

受領書

  私たちは本人と話し合って同意を得た上で生活費を預らせてもらい、日ごとないしは2〜3日毎・1週間単位で生活費を本人さんにお渡するようにしています。ただお金を小分けにして渡すだけでなく、少しでも貯蓄が出来るような計画を本人さんに考えてもらったりもします。貯蓄の目標は8〜10万円を設定しています。家賃と1日1000円以上の生活費の確保。これが達成された暁には、本人と再度話し合いを持ち、お金の渡し方を見直すようにしています。もちろん、金銭の授受に間違いがあってはならず、受け渡しの際には細心の注意を払っていますし、日ごと過不足が出ていないかの厳正なチェック体制もひいています。
 現在釜ヶ崎支援機構で金銭管理をしている人は63人います。「金銭管理」とひとくくりにしていますが、その内容は様々です。認知症とアルコール依存症が合併しているためお金を少しでも持ったら飲酒がとまらなくなり、家に帰ることさえ困難になり死ぬ恐れのある人たちは、一緒に買い物をして現金を持たないように「現物支給」している人が4人、生活保護受給者で介護保険の点数が足りないため「買い物代行」している人が6人、1日2回朝夕お金をとりにきている人が2人、毎日とりにきている人が20人、2,3日に一度が9人、1週間に1回が6人、2週間に1回が1人、不定期が7人、積み立て方式を採っている人が9人となっています(1人だけ「現物支給」と「買い物代行」をしている人がいます)。

 また、高齢者・障害者を対象とした大阪府の社会福祉協議会の権利擁護事業「あんしんサポート」サービスでも月単位の金銭管理を行ってくれています。そのサービスの情報提供を勧奨、手続きの支援も行っています。ただ申し込みをしてから、サービスが開始されるまで半年から10ヶ月も待たなければならず、その間家族がいない人たちの金銭管理をどうするのかという問題はあります。そして「あんしんさぽーと」は基本的には月1回しかお金を届けてくれないので、1ヶ月単位で計画的にお金を使うことができない人たちに対してはどのようにしたらいいのかという問題もあります。

(3) 服薬管理

 服薬管理している人は35人います。

 預かっている抗酒剤

 医療相談とも関連しますが、複数の薬を処方され、服用法を間違える危険性が高くなる場合もあります。一つの医療機関から処方されるのであれば、処方箋薬局で一包化(服用時ごとに複数の薬を一袋にまとめること)もしてもらえますが、2つ以上の医療機関にかからなければならない人の場合、一包化はできません。また同じ機能を持つ薬が重複して出されることもあります。私たちは関わりを持った人の内、必要があるとみとめられる場合、薬を預らせてもらい、一包化をして本人に渡しています。もちろん、私たちは医療の専門家ではないので、判断のつかない場合いは当該医療機関に問い合せをしながら服薬管理をしています。

 (2)(3)に共通することですが、とかく「管理」と言う言葉にはネガティブなことを連想させます。つまり、管理することによる人権侵害のおそれであるとか、本人の自立の疎外などです。少しずつ、どんなペースでお金を使って行けばよいのか分ってきて、「自立」していく人もいます。一方で、釜ヶ崎支援機構に生活費や薬を取りに来るのが半ば習慣になっている人もいます。アルコール依存症の治療を受けている人では、治療上の一環として、再飲酒予防のため「抗酒剤」(リンク:写真)を毎日服用する人が多いのですが、いつもは病院に通院してそこで服用することになりますが、休診日などは釜ヶ崎支援機構で服用するようにしている人もあります。

  これらの「管理」は、安否確認=生活や生命にかかわる事態の回避という意味ももちろんあります。お金や薬を取りに来なければ、本人に何かあったと考えられ、そんな場合には本人宅へ出向くようにしています。

  また、野宿生活で綻びてしまった人間関係の再構築に向けて、定期的に会うセッティングすることで、人との繋がりを持ち続けたり、緩やかな形で生活リズムを作っていくという、一種の「生活リハビリ」の意味もあります。

 

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