中之島野営地アンケート結果報告

 6月11日より14日まで、中之島野営地で釜ヶ崎反失業連絡会の協力を得て、アンケート調査をおこなった。回答数は501であった。

中之島野営地の反失連テント収容能力は330人。自前テントをいれると公園全体ではおおよそ510人。炊き出しの最大は794人でアンケート調査実施期間中の平均は720人。

炊き出しの平均人数を今回アンケート調査の対象集団とすると、回答率69.6%となる。最大時を取ると63.1%。

アンケート項目は以下の通り。重複をチェックするために名前を記入してもらった。(姓だけを記入したものー267人。姓名を記入したものー231人。無記入―3人。)


中之島住民アンケート   ご協力をお願いします。

お名前(      )男・女 生年月日 大正・昭和   年  月  日

1)いつから中之島のテントで寝ていますか

@(  )ヶ月前から  (   棟・自前テント) A炊き出しにくるだけ(寝場所はどこですか  )

2)野宿をするようになってどれくらいたちますか

@1ヶ月未満 A2〜3ヶ月 B4〜6ヶ月 C7ヶ月〜1年 D1〜2年 E2〜4年 F4年以上

3)中之島の前はどこで野宿していましたか(        )

4)中之島で寝泊まりしていない人は、現在の寝場所の前は、どこですか

  (                          )

5)野宿する前のお仕事は(日雇・正社員・パート・アルバイト)

 (                    )収入1ヶ月    円くらい

6)失業保険はもらいましたか(もらった 年 月から 年 月まで・今もらってる・もらったことはない)

7)年金はかけていましたか(かけていた  年  ヶ月くらい・かけていない)

8)現在の収入は (ない・アルミ缶・雑誌集め・看板持ち・年金・特掃・他―具体的に     )

9)一ヶ月の収入は幾らくらいになりますか(      円)

10)希望・要望は(何でもけっこうです。お書き下さい)


T.性別・寝場所別人数

 

 

 

 

性別では、他の調査と比較して女性の比率が少なくなっている。中之島についてもNPO釜ヶ崎で男女を問わず、高齢者を中心に福祉相談を受け付けているが、女性の宿泊テントが少ないので、ある人数に達すると積極的に相談活動をおこなっていることが原因かも知れない。

表中「中之島」とあるのは、反失業連絡会のテントや自前のテントなどで中之島公園を寝場所としている人達で、「他」というのは、中之島周辺や市内各所から炊き出しに通ってくる人達。

参考数字の「全国調査」は2003年2月国によるもので、有効回答数2,115人(内大阪市の目標数は500であった)。「市大調査」は1999年大阪市立大学都市環境問題研究会が実施した聞き取り調査で、対象数672人。


U.年齢

 

 

 

 

 平均年齢は、53歳で、全国調査や市大調査と比べて、3歳近く若い。

ちなみに、2003年3月の夜間宿所でおこなったアンケート(回答数426人)では、平均年齢は55.9歳で全国調査と同じであった。夜間宿所の結果と比べても、中之島の結果は、際だった特徴を示すものといえる。

最頻値・中央値共に54歳。最小は23歳。最高は88歳。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5歳きざみでグループ化し、全国調査と比較するために作成したグラフを見ると、グラフの山の頂上付近は似通っているが、左右の斜面の形が違う。すなわち、今回調査は、若い方の斜面が、「45−49」が多いためにやや緩やかになっており、逆に、年長の方の斜面が、「60−64」・「65−69」が少ないために急勾配となっている。

「大阪府野宿生活者実態調査報告書」―大阪府立大学社会福祉学部と雌伏し研究会―は60歳以上に注目して、『60歳以上の者の比率では「東京都調査」が他の2調査と比べて、若干低くなっている(東京都調査25.7%―大阪府調査34.9%・大阪市調査34.7%)。この点は、福祉制度の適用などの関連も含めて、今後より詳細な比較が必要になるものと思われる。』としている。

全国調査では、60歳以上は35.2%で、大阪府・大阪市なみであるが、中之島調査は21.2%で東京都よりも低くなっている。「仕事を求める集団野営地」の性格によるものか、それとも市内に置いては、ここ5年間で65歳以上を中心に「居宅移行」が進んでいるものか、今後より詳細な比較が必要になるものと思われる。


V.野宿期間

                                     

 

 

 

 

 

 

 

 

 年齢が3歳若いだけでなく、全国調査と比較して、野宿期間が短いことが特徴としてあげられる。大阪府調査や大阪市大調査は、共に調査対象者が「定着」型の野宿生活者であったために、野宿期間が長くなっている傾向があるとしている。それからすると、中之島調査は、「移動型」が多いということで説明できそうであるが、それはまた、新規流入者が多いということでもある。野宿期間が長くなればなるほど定着型に移行すると考えられているから。


W.直前職・雇用形態

 

 

 

 

 

「雇用形態」でいえば、「日雇」が全国調査と比べて多い。市大調査では64.0%、大阪府調査が44.9%、東京都調査が46.6%となっている。

市大調査と比べて、「日雇」の比率が低いが、他の調査よりも高い、という結果が意味するところはなにか。大阪は、日本最大の日雇い労働市場が存在する影響で、これまでも他都市と比べて「野宿」の問題は常態的に存在してきたと言えるし、人数的にも突出し続けてきたことを考えれば、そして、釜ヶ崎反失業連絡会の設営テントを中心としたアンケート調査であることからしても、「日雇」の比率は市大調査なみであって当然と思われるが、そうはなっていないのはなぜか。市内全域調査でなく、中之島野営地調査であることが、要因であるとすれば、これまでもいわれてきた、「大阪駅周辺の野宿層は、非釜的要因が強い」を裏付けるものであるのであろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野宿期間と雇用形態とをクロス集計した表をグラフにすると、「2〜3ヶ月」「日雇」の急増が目につく。

この現象が意味する所は明かである。4月になり釜ヶ崎の求人が急減したことにより野宿を余儀なくされた日雇労働者が、市内各所に野宿者としての流失を余儀なくされ、その一部が中之島に現れたということである。この人々が、7月以降に仕事が回復し再び日雇として働くことになるのか、このまま野宿生活を余儀なくされることになるのかは未定であるが、この現象を「季節変動」と捉え、「日雇」で「1ヶ月未満」「2〜3ヶ月未満」をそれぞれ30人が妥当と仮定し、今回アンケートで回答のなかった人200人程度から60人補充した結果それらが「日雇」以外であると仮定すれば、あるいは、調査時点を3月であったと仮定すれば、「日雇」は45.1%となる。この仮定の結果は、大阪府調査・東京都調査と似通ったものとなっている。

 

 

 

 

野宿期間ごとの平均年齢は、人数の最も多い2〜3ヶ月(114人22.8%)がもっとも若く(49.3歳)、ついで1ヶ月未満の51.5歳である。野宿期間の短いものが年齢も若いと言える。グループとしてもっとも大きい「日雇」「2〜3ヶ月」が平均年齢48.5歳であることが注目される。比較的に若く、仕事の多い時期には現役日雇いにとどまっていた人々も、春から梅雨のアブレ時期には、野宿を余儀なくされることを示している

 

 

 

 

 

 

 

 


X.収入

 

 

 

直前職の収入と現在の収入をきいたが、回答のあったものの平均を示すのが上の表である。全体の平均は、現在の収入が直前職の収入の10分の一にとどまっていることを示している。

直前職「自営」のグループは直前職の収入が高いので、他のグループよりも現在収入の額が高いにもかかわらず、直前職収入の4.5%にとどまっていることになり、収入落差が大きくなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在収入について、具体的に金額を記入したものは269人で全体の53.7%。アルミ缶集め(162人)・輪番就労(80人)が大きなグループをなしている。

現在収入をもたらすものについての回答に、空白が23人あるので、収入源となるものがここに挙げられている例だけとは言い切れないが、現金収入を伴う仕事の種類が極めて限られているといえる。

野宿状態のままで、野宿から脱するほどではない収入をもたらす仕事を増やすことは、「対策」とはいえないものではあるが、現状では、次善の策として、仕事を求める野宿生活者の意に答えるためにも、もっと多様な現金収入の道が提示される必要がある。


Y.失業保険受給状況

             

 

 

 

 

過去に失業保険を受給している人は、57人いる。その中には、直前職「日雇」が14名含まれている。現在手続き中が1名。(明らかに受給開始年と受給終了年でアブレ手当とわかる6人は除いた。アブレ手当で一番最近まで受給資格を維持していたのは2003年の5月であった。最長は1975年3月から1995年9月までの20年間)。

直前職日雇いで失業保険を受給したものは14名。うち受給時期の書かれていたものは8名であるが、2年前の人も含まれており、釜ヶ崎に求人が少なくなったとはいえ、いまだ「失業の受け皿」として若干機能していることを示していると言える(中段表)。

今回調査では、「日雇い」としての経験年数を聞いていないので、推測でしか言えないが、ここ数年新たに寄せ場日雇いに参入し、野宿に至った旧来型のパターンの野宿」層も、一定数あると思われる。

 

 

 

直前職「正社員」のうち、最近4年間に雇用保険を受給し現在野宿を余儀なくされている人が、明らかなだけで17人いる。

直前職「パート」のうち2人は、1999年と2000年に雇用保険を受給、パート仕事に就いたが、現在は野宿を余儀なくされている。

直前職「アルバイト」のうち2001年が2人、2002人が1人、2003年の1人が雇用保険を受給し、アルバイトしながら頑張ったが、現在は野宿を余儀なくされている。直前職不明の一人は、今年の1月まで、雇用保険を受給していた。

平成13年3月に雇用保険をもらいきり、野宿から平成14年1月に自立支援センター入所、同年6月から15年3月まで冷凍食品のアルバイト現在再び野宿を余儀なくされている人もいる。その人は、「自立支援センターの数を増やして、1人1回切り期間6ヶ月貯金50万円などと限定しないで、何度でも入所可能最低1年間入所貯金100万円にするなど、もう少し寛大な考え方をして欲しい」とようぼうしている。


Z.年金

 

 

 

年金に加入していたものは162人、日雇いで5分に一、正社員で2分の一の加入状況である。平均加入年は15.3年であった。

年金を25年以上かけている人が21人野宿している。年金を25年以上かけているグループの平均年齢は約56歳、年金加入平均年数は30.4年で、年金が受けられる日がくるのを楽しみに頑張っている。


中之島に炊き出しを食べるために集まっている人が、現在どこを寝場所としているか、現在の前の寝場所はどこであったかをまとめたのが、左の表2つ。右の表は中之島に寝泊まりしている人が、その前はどこに寝泊まりしていたかをまとめたもの。

西成以外に拡散していることがあらためて確認され、梅田方面や難波方面にも宿泊施設が必要だということを浮かびあがらせている。中之島の野営地は、民間の力によって行政施策を先取り的に実施しているものであるといえる。

野宿期間が短いことは、野宿以前が、家やアパート・寮である人々が一定数あることでも裏付けされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


\.要望

要望は、やはり仕事を求める声が圧倒的に多く、住居、炊き出しへの要望がそれに続いている。