輪番労働者の生活時間事例報告

 1976(昭和51)年から5年ごとの実施されている「社会生活基本調査」の平成13年調査の「結果の概要−生活時間に関する結果」で示されている図(図1−3)を見ると、睡眠・仕事・食事などはほとんど一定のパターンが多くの人に共有されていることがわかる。

 下の図は、輪番労働者13人から聞いた生活時間から作成したものだが、「生活時間に関する結果」の図に見られる平均パターンと異なるものが多いことがわかる。

 一般的に仕事をしている人が多い時間帯に、自由時間・休養している時間が見られるし、一般的に屋内で睡眠あるいは朝食を摂っている時間帯に、仕事時間が存在している。そして、仕事がないから野宿している当然の結果として、仕事の時間が日常的な生活の中に見られない事例すら存在する。

 図1−3でも平均パターンと異なるパターンがある。深夜においても一定の数値で働いている人がいることを示しているし、それと見合った形で、昼、寝ている人が存在している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このパターンについて、多くの人は、警察や消防、病院あるいは民間警備会社や工場の夜勤の人々を思い浮かべて、職業に特有の生活パターンとして想像することができるであろう。しかし、多くの人は、自己と異なる生活パターンの存在を日常的には特に意識することはない。それは、生活時間のパターンは異なっても、生活空間、特に睡眠・食事の場所が、アパートであれマンションであれ寮であれ持ち家であれ、個々人の占有区間でなされるという共通性と視覚的遮断性によるものと考えられる。「外食」も、飲食を提供する空間(食堂やレストラン居酒屋など)と社会的に認知されている場所でおこなわれる限り、個々人の占有区間でなされるという共通性と視覚的遮断性を持つと考えられる。

 輪番労働者から聞き取った生活時間のパターンは、図3−1に見られる平均的パターンとは異なるものが多いが、図3−1の中に収まらないものでもない。たとえば、仕事時間がないのは、失業者・年金生活者の生活としてありうるものである。失業の結果としての野宿生活、高齢のため就労ができなくなったことからの野宿生活ということからいえば、理解可能な生活パターンであるといえる。

 ただ、野宿生活者の場合は、多くの人と共有する事が前提となっている場所を生活空間としていることが多いので、多くの人と共通性を欠き、多くの人の視線にさらされやすい生活を送っているといえる。そのためにまた、生活パターンの平均との差異も特異な、「異常」なものとして他者から認知される。「異常」という判断を伴う認知は、その生活パターンを産み出しているものが「失業」であり、「失業者」の生活パターンの具体的な一事例であるという、一般的に考え得る推論にたどりつくことはなく、その生活パターンの主人公である個人特有の原因・事情によるものという、より個別化した推論に固着する。しかし、野宿生活者を見る他者に、野宿生活者の、個人特有の原因・事情は、伝わることがなく、見る他者は、一般的に伝播する「浮浪者」のイメージ(ナマケモノ・自堕落など)で穴埋めして野宿生活者を「理解」することになる。

 輪番労働者からの聞き取り事例は、生活空間の異常さは打ち消し得ないものの、ある一定の状況に置かれたものがとる生活パターンとしては、他者にとっても、一般的に伝播する「浮浪者」のイメージに頼らなくとも、「失業者」のそれとして了解可能なものであることを示し得るものであると考える。


事例が輪番労働者全体に占める位置

@就寝形態

*公園・路上No1・No4・No8・No11・No13       *簡宿(ドヤ)・シェルターNo2・No5
 *路上・シェルター・映画館・簡宿(ドヤ)
No3   *テント・仮小屋No9・No12
 *友人アパート同居
No10               *簡宿(ドヤ)No7
  
簡宿(ドヤ)−No6(参考・輪番外・ビッグイッシュー販売)

2004年5月輪番就労者アンケート調査結果−寝場所について。(複数回答)
  @夜間宿所(シェルター) 917人=42.4%(夜間宿所のみ回答600人=44.6%)
  
Aドヤ(簡宿)      428人=19.8%(簡宿のみ回答222人=16.5%)
  
B寮           22人=1.0%(寮のみ回答5人=0.4%)
  
Cケアセンター      89人=4.1%(ケアセンターのみ回答4人=0.3%)
  
Dアパート・マンション  125人=5.8%(アパート・マンションのみ回答118人=8.8%)
  
Eテント・仮小屋     252人=11.6%(テント・仮小屋のみ回答206人=15.3%)
  
Fアーケード・軒下    331人=15.3%(アーケード・軒下のみ回答191人=14.2%)

A収入源(月収)

  アルミ缶−No4(30000円)・No9(30000円)・No10(33000円)・No12(29000円)・No3(62000円)
   特掃のみ−No2(15900円)・No8(15900円)・No11(15900円)
   雑誌−No1(52000円)
   現金仕事−No7(120000円)
   その他−
No13(29000円)
   アルミ缶・その他−No5(76000円)
 

2004年5月輪番就労者アンケート調査結果−4月の収入源。(複数回答・回答数1754人)
  @特掃     1541人(1回-105人・2回-179人・3回-1021人・4回-106人)
  
Aアルミ缶収集 502人
  
B雑誌販売 36人
  
Cアカ・銅線 45人
  
D現金仕事   388人(  日)


  E認定(アブレ) 36人
  
F仕送り     15人
  
G年金      23人
  
H生活保護費   11人
  
I借金      95人
  
J看板持ち    6人
  
K露天     37人

  Lその他   25人(つり銭あさり・自営PC教室・
ドヤ掃除・大ゴミアルバイト
            ・
溝掃除・競馬手伝い弁当シール警備5飯場10
            ・病院で市更相からの送金・預金

 

2004年5月輪番就労者アンケート調査結果−4月の収入金額

平均 25,812円  中央値 17,500円  最頻値15,900円 最小 5,300円 最大 200,000円

   2004年5月輪番就労者アンケート調査結果−先週1週間の食事について。

   
@毎日、三食食べた。506人(27.8%) 
  
A一食も食べられない日が(  )日あった。212人(11.6%)

B毎日一食は食べている。1105人(60.6%)


No.1氏・56歳男性の1日

No.3氏・63歳男性の1日

No.4氏・64歳男性の1日

No.5氏・59歳男性の1日

No.8氏・57歳男性の1日

No.9氏・60歳男性の1日

No.10氏・62歳男性の1日

No.11氏・56歳男性の1日

No.12氏・56歳男性の1日

No.2氏・67歳男性の1日

No.6氏・54歳男性の1日(輪番外・ビッグイシュー販売員)

No.7氏・64歳男性の1日

No.13氏・59歳男性の1日