今、市内最大のテント 中之島公園に!
 

寝ている人は=292人 増加中

夕食の提供は=319食 増加中
 

大阪市役所や中央公会堂がある中之島は、大川が二つに分かれた堂島川と土佐堀川に挟まれています。今、北浜から対岸の西天満を結ぶ難波橋の上に立って、土佐堀川の北岸を見ると、下の写真のような光景を見ることができます。

写真左奥に白く見えている建物は大阪市役所で、その手前に見えているのが中央公会堂です。中央公会堂の下に白く櫛形の建造物が見えているのは、中之島公園の野外音楽堂です。写真中央に左右一直線に見えているのは、今年1月上旬に設置された、野宿生活者が生活しているテントです。道行く人に中には、「大阪市がこしらえて、野宿者を収容している」といっている人もいますが、そうではなく、民間で設置し、維持しているものです。

 

テント生活 ―― 個々人の営みと集団の営み
 

中之島公園には2つのテントが存在していることになります。上写真、左の大きなテントが集団で寝泊まりしているもの。右側に見えているものが個人の営みでつくられたテントです(下写真も)。


個々人のテントは、この10年の間に徐々に増えたものです。半数以上の人が、建設業界の不振、日雇い労働の減少を原因とする失業者で、長引く野宿生活を続ける中で、命を守るために、自助努力の選択肢の一つとして、してはいけないことと思いながらも、万やむを得ず公園にテントを設営し、生活しているのです。

集団の大テントは、100日以上にわたる大阪府庁前の大阪城公園の「野営闘争」が移ってきたものです。大阪城公園から通算すると、4ヶ月以上集団野営が続いていることになります。集団で野営している目的は、大阪府や大阪市に対して野宿しなくてもすむ仕事や寝場所を求める交渉をおこない、多くの市民の目にとまることによって理解を求める切っ掛けとなることです。「釜ヶ崎反失業連絡会」という団体が取り纏めをおこなっています。長期化した集団のテント生活は、「野営闘争」でありながらも、個々人のテント生活と同じ質を持つこととなります。

生活するに必要なものの基本は炊事場と風呂?

人が生き続けるために必要な基本的なことは、寝る場所、食事、身体を清潔に保つことです。300人を超える人間の食事を3食準備することは、中之島公園ではなかなか大変なことですが、創意工夫してまかなっています。お金がなく、食堂がなく、食器を多く使う主食・副食・汁物といったような献立はできません。いきおい、下の写真のような丼物が主流になります。


風呂も、湯船に使ってゆっくりというわけにはいきません。簡易シャワーが、
300人を超える人数に対して2機あるだけです。10日に1回ぐらいシャワーを使える程度です。

集団野営を維持するのに、1ヶ月約200万円が必要です(公園使用料含む)。300人、30日の経費ですから、1日一人あたりの経費は約222円となります。この必要な資金は、キリスト者を中心とした全国からの寄付によってまかなわれています。大阪府や大阪市からの補助金は受けていません。いうならば、民設置民営の「公園仮設避難所」ということになります。
官設置民営の公園仮設避難所は市内3箇所・利用者約230人

大阪市内には、大阪市が設置し、社会福祉法人みおつくし福祉会が運営している「仮設一時避難所」が3箇所(長居公園・西成公園・大阪城公園)ありますが、現在在所者総数は約230人といわれています。

官設置民営の仮設一時避難所は、プレハブ建でブルーシートのテントではありません。月に2万5千円の収入となる仕事も紹介されています。夕食の主食(ご飯)のみが提供されています。勿論、シャワーもあります。しかし、希望者が誰でも利用できるわけではありません。長居公園の仮設一時避難所は、長居公園の「適正化」が終わったとして市内の野宿生活者がまだまだ多数いるにもかかわらず閉鎖されます。近隣住民との約束で、設置期間が3年間となっているからですが・・・。

中之島公園の大テントで生活している人達は、野宿しなくても済む仕事を求めている労働者です。仕事がなく、収入がないから野宿している。そして、要求がなかなか実現しないから、野営テントが民設置民営の「仮設一時避難所」の機能も担わざるを得なくなっているのです。設備は貧弱ですが、官設置民営の仮設一時避難所と違い3食提供されていることです。文字通り、生存を支える機能を果たしているのです。

大阪市内には、仮設避難所に入りたくても入れない、野宿を余儀なくされている人が沢山います。雇用の確保が今すぐにできないのであれば、路上死から人命を守るために、もっと多くの仮設避難所が必要です。

中之島の大テントも、今のところ存在し続けるしか道が見あたりません。資金の続く限り、命を支える活動として・・・。良識ある市民の、深い理解と協力が求められています。