長居公園「適正化」によりテントのない公園に

次は大阪城公園「適正化」

大阪市内全域の野宿生活者は・・・
 


上段左の写真は、1999年8月の長居公園、上段右は2002年9月、長居公園の同じ場所の写真です。ブルーシートのテントがなくなっているのがお分かりいただけると思います。

 下2枚の写真は、2002年9月の大阪城公園の様子です。


 

 大阪城公園の中は、今年8月現在で655のテントが大阪市によって確認されています。工事写真は、大阪城公園の中に仮設一時避難所を作るためのものです。史跡指定地の中の工事なので、配管工事で地面を掘り返えすわけに行かず、水回り工事が必要な施設は人工地盤の上に建てなければならないので、やや大げさな工事になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上の囲みは、大阪市のホームページからの転載です。ホームレス対策を紹介したものです。3番の「仮設一時避難所」の運営状況が、公園の適正化と関連した「ホームレス対策」です。大阪城公園の仮設一時避難所は400人定員で、11月に入所が開始される予定です。長居公園の仮設一時避難所は、すでに受け入れはしていませんから、西成・大阪城の2つの公園仮設に入れる人数はあと約500人となります。上に紹介されている「巡回相談員」が3年間に公園で面接した野宿生活をしている人の数は、2,553人(下の表「野宿場所」参照)ですから、5分の1ということになります。

 左の表では、巡回相談員が3年間に新規に野宿生活者と面接した件数と1998年8月に実施された野宿生活者の概数調査で把握された野宿生活者の人数が示されています。

 一見、概数調査当時よりも野宿生活者が減っているように見えますが、西成区の数字を見ても判るように、地域によって把握に偏りがあることが想像されます。「野宿形態」での数字を見ても判るように、今年4月まで、テント・小屋・段ボールハウスなどを中心に声掛けをしており、右写真のような敷物だけや何もない人などはあまり相談の対象とされていなかった結果であると思われます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左写真上は、大阪城仮設一時避難所の居室棟の作業途中、写真中が、西成公園仮設の居室棟で、大阪城公園も同じつくりになります。間口1.5メートル、奥行き約2.2メートル、合板の仕切りとカーテンの入り口で区切られた空間が個人の占有空間です。

 最下段の写真は、西成自立支援センターの居室部分です。この部屋は二段ベッドが4つあり、8人部屋で、ベッド1つが個人の占有空間です。

 2ページで紹介した大阪市のホームレス対策によれば、自立支援センターの定員は全部で280人です。巡回相談員の報告の中で明らかにされているように、3年間で1,117人が入所しています。

 大阪市の野宿生活者対策は、公園の「適正化」を軸に着々と進められていますが、市内全域の野宿生活者総数のことを考えれば、「百年河清を待つ」の感を禁じ得ません。

 国土交通省都市・地域整備局公園緑地課長は本年8月26日、各都道府県・政令都市公園管理担当部長宛に、以下の内容を含む技術的助言を通知しています。「ホームレスが都市公園内にテントなどの物件を設置している場合、都市公園法などに基づいて単に物件の撤去を行うのみでは、問題の解決につながらない場合が多いため、ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を更に強化することとし、問題解決のための総合的な体制を確立することが望ましい。」

 野宿生活者が、公園や路上に留まり続ける背景の1つとして、こんなこともあるのです。