17人が赤痢感染
西成でホームレス
(日経98.6.11夕刊・大阪)

大阪市西成区で5月末から6月初めにかけて、ホームレスの男性17人が赤痢に感染して入院していたことが11日、大阪市の発表で分かった。
10日までに3人が退院、入院中の14人も快方に向かっているという。感染経路は明らかになっておらず、市は感染源の特定を急いでいる。

市では毎年、30−40人の赤痢感染者が出るが、90%以上が海外での感染で、国内でこれほど大量に感染者が出るのは珍しいという。

発表が遅れた理由について市は、「周辺住民の間に不安が募り、パニックが起きるのを避けたかった」(市環境保健局)と説明している。


男性17人赤痢
西 成
(朝日98.6.11夕刊・大阪)

大阪市環境保健局に11日までに入った連絡によると、大阪市西成区の病院に入院していた男性(59)ら17人から赤痢菌が検出された。
発熱や下痢などの症状を訴えていたが、うち3人はすでに完治し、他の患者も快復に向かっているという。同局は感染源の特定を急いでいる。

患者は全員が男性で、いずれも西成区周辺で路上生活をしている。5月28日に最初の患者から赤痢菌を検出し、その後散発的に患者が見つかった。


環境保健局感染症対策室
予防課長
(平成10年6月11日発)

大阪市内における赤痢の発生状況について

平成10年5月28日、本市西成区の病院から、発熱・下痢などの症状を訴え、入院していた患者から赤痢菌を検出した旨の届け出がありました。

その後、赤痢患者が散発的に発生し、6月11日現在、患者数累計は17名となっております。
患者は総合医療センターに収容し、治療を行っており、いずれも快復に向かっております。(うち3名は完治し退院)

患者の発症日は5月21日から6月5日まで、届け出日は5月28日から6月10日の約2週間程度にわたって断続的に発症しており、発症状況・行動・喫食状況などから見まして、散発の発生例と判断しております。

これまで患者発生の都度、患者の使用したトイレなどの消毒、聴き取り調査による感染源追求など所要の防疫対策を講じてきておりますが、感染源については、現在のところ特定するにいたっておりません。
このような状況から、今後も引き続き感染源の特定に全力をあげてまいります。

また、地域の方々に対しまして、赤痢は患者の糞便及びそれにより汚染された手指などから感染する糞口感染であり、手洗いの励行により十分予防が可能であることの啓発を徹底してまいるとともに、西成区内の公衆トイレなどの消毒を実施してまいります。


ふるさとの家を保健所が完全消毒

赤痢患者からの聞き取りで、立ち回り先の1つとして「ふるさとの家」の名があがり、6月11日午後6時過ぎから、保健所により完全消毒が実施された。


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センター夜間利用の告知文には手書きで「便所は赤線ない」(赤い字)と

「10.手を洗うこと」が付け加えられた。(6月11日午後8字頃撮影)

センター夜間利用の協議事項の中には「伝染病対策」があげられていた。

【伝染病対策】
・利用者に対しては、手洗いの励行等衛生管理の徹底に努めるよう指導すること。
・下痢等の症状が顕著な者に対しては、速やかに医療機関に受診させること。
・開放期間中であっても、伝染性疾病が集団発生した場合は、直ちに開放を中止する。