子どもと大人の生きる場で
1.聞き取り対象者・調査方法・調査場所
『釜ヶ崎生活センター』は、地域の大人と子どもが共に生きられる場として構想されている。従って、今回の聞き取り対象者は、『釜ヶ崎生活センター』を利用する可能性のある釜ヶ崎及びその周辺の総ての子どもと大人と設定されたが、勿論、全数調査できるはずはなく、場所を決めて、その場にいるものから無作為に聞き取りをおこなうこととした。
子どもについて言えば、釜ヶ崎地区及び周辺の公園(三角公園・四角公園・萩之茶屋北公園・花園公園・天王寺公園)や路上、ゲームセンター(地区内三軒・新世界二軒)で遊んでいる子どもから、アンケート用紙にもとづいて聞き取り調査をおこなうこととした。
大人についていえば、家族関係以外で大人と子どもとがふれあう機会の多い、公園・路上・ゲームセンターでの、アンケート用紙にもとづいた聞き取り調査をおこなうこととした。 なお、大人についての聞き取り方法や結果については、第二部で詳しくふれる。
2.聞き取りに答えてくれた子どもたち
回答票のうち、不完全なもの、重複していたものを除いた結果、225票がまとめの対象票となった。年令・男女別内訳は表Iの通りであるが、青年とあるのは、20才未満の社会人(地区出身者がほとんど)である。
| 表T | 男 | 女 | 計 |
| 幼児 | 13人 | 2人 | 15人 |
| 小低学年 | 34人 | 14人 | 48人 |
| 小高学年 | 60人 | 20人 | 80人 |
| 中学生 | 44人 | 13人 | 57人 |
| 高校生 | 11人 | 0人 | 11人 |
| 青年 | 14人 | 0人 | 14人 |
| 合計 | 176人 | 49人 | 225人 |
今回の調査が、将来『生活センター』ができたときに利用すると予想される子どもを対象として、遊び場を中心としてなされたものであり、学校別調査のような明確なワクをもともと持っていないので、調査対象の母集団を推定することができず、この数字と母集団との比較をおこなって本調査の基本的位置付けをおこなうことはできない。
しかし、本調査の目的から言えば、18日の午後2時から10時までと翌朝7時から12時までの調査で、これだけの子どもが『生活センター』を利用する可能性があることを把握しえたということだけで充分であると考える。
回答者の所属する学校は次の通り。
保育・幼稚園―わかくさ保育園・山王保育園・花園幼稚園(以上西成区)、金塚幼稚園(阿倍野区)、勝山愛和幼稚園(生野区)
小学校―今宮・萩之茶屋・弘治・天下茶屋・千本・橘・松之宮(以上西成区)、恵美・栄・日東(以上浪速区)、金塚・丸山(以上阿倍野区)、長吉六反(平野区)、愛日(東区)、佃(東淀川区)、用和(八尾市)、束羽衣(高石市)、松山(愛媛)
中学校―今宮・梅南・成南・天下茶屋・鶴見橋(以上西成区)、日本橋・木津(淀速区)、松虫(阿倍野区)、大正西(大正区)、船場(東区)、山直(岸和田)
高校―西成(西成区)、阿倍野(阿倍野区)、阪南(住吉区)、成城(城東区)、鳥飼(摂津市)、英国四天王寺(英国)
回答者の所属学校の多様さは、新世界・天王寺公園においては一定、予想されていたが、地区内での多様さは予想外のものであった。
はしなくも、私達の要求の一つ「近隣の学校の教職員・子どもの活動の場とすること」の必要性を、もともと考えられていたこととは別の側面から立証するものとなっている。
参考までに、回答者中の萩小在校生と萩小在校生全体との対比(図T)、今中のそれ(図U)を示しておく。

3.子どもたちはゲームセンターにいた
回答者の調査場所別分類は(図V)のようになっている。

一番多いのがゲームセンターでの聞き取りで103名(45・8%)、
次に公園、路上の87名(38・7%)、
学童保育現場3ヶ所での35名(15・5%)となっている。
調査場所分類を回答者の居住地区別にグループ分けしたのが、全体の下に示した01・02などの帯グラフである。
01は萩之茶屋地区に住む子どもたちのグループであるが、全体が68名、路上・公園が31名、ゲームセンター26名、学童現場が11名となっている。
02は山王・太子に住む子どもたちで、全体が26名、ゲームセンター15名、路上・公園6名、学童現場5名となっている。
03は釜ヶ崎周辺部で、天下茶屋・鶴見橋・恵美須町などに住む子どもたちで56名、ゲームセンターが27名、公園・路上20名、学童現場9名となっている。
04は花園地区を中心として居住している子どもたちで、全体で32名、公園・路上が23名、ゲームセンター7名、学童現場2名となっている。
05は、釜ヶ崎のより遠い周縁部の子どもたちで、30名。ゲームセンターがほとんどを占めるのが特徴で26名、公園・路上3名、学童現場1名となっている。
19は、01ないし02・04に分類されるべき子どもたちであるが(今中・今小在校生)、票によって居住地を確定できなかったグループである。
99はまったく分類の手がかりのなかったもの(2名)である。
02においてゲームセンターに占める割合が高いのは、山王にある公園・学童現場を調査場所に設定しなかったことが原因と考えられる。
4.公園に中学生がいない
回答者を調査場所別に年令構成がわかるように示したものが図Wである。
ゲームセンターに行く年令層は、小学校高学年以上が多数を占めているが、公園においては中学生以上がほとんど見られないこと、路上と学童保育現場においては各層が認められること、それらのことが一見して読みとれる。

中学生の姿が公園においてほとんど見かけられなかったことについては、その理由が考えられなければならないが、特に問題として考えられなければならないのは、学童現場には各層が認められるが、聞き取り場所別での構成で判るように、子どもたちの利用数が少ないことである。それは、一つには施設の大きさに規定されていると考えられる。
5.まとめの記述について
以下、アンケート項目に従っての「まとめ」に入って行くわけであるが、調査の目的から、早期にまとめ、発表することが優先され、各項目ごとに分担者を決め、それを持ち寄って全員で検討・確認するという方法をとらざるを得なかったし、「まとめ」の方法・記述スタイルを整えることもなしえなかった。
冒頭にも述べたように、本調査は学術的意味合いでなされたものではなく、釜ヶ崎における子どもの現状と大人とのふれあいを浮きぼりにし、『生活センター』、創りに資する目的でなされたものであることから言えば、「まとめ」の形式のバラつきが、結果として多様な視点から現状を浮きぼりにすることを保証したものとなっており、多くの人々の理解を促すのに力となると考えられ、欠点ではなく長所になっていると思われる。
分担は次の通り。前書・回答者分類―松繁、生活1〜5まで黒田、生活6〜11まで竹之内・松繁、地域―小柳、あそび―中島。なお、第二部大人アンケートは一括して牛草が担当した。

▲三角公園で