釜ヶ崎反失業連絡会は、センター夜間開放・乾パン支給の打ち切り期限の3月1日から。新たな対策を求めて、大阪市庁で座り込みに入った。

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▲3月2日昼、市庁舎東にある図書館の南側

市長 磯村 隆文 殿

大阪府知事 横山ノック殿

釜ヶ崎反失業連絡会

 

野宿を余儀なくされている労働者への通年的対策について

 

 1年365日の内の10日間対策である大阪府・市の「あいりん地区越年対策(臨時宿泊所)」は、1年の残り355日を切り捨て、野宿生活の長期化に伴い「定着テント生活」に入っている人々の存在に目をつぶったものであることを前提として、「あいりん地区」とその周辺でダンボールや新聞などを敷物として短期型野宿生活を続ける労働者を対象としたものであると限定すれば、さらに、規模の点だけに限定すれば、8割方適切なものであったといえよう。(2割の減点要因は、整理券の配布方法と宿泊所の設置場所である)。

 釜ヶ崎反失業連絡会は、年末年始に困窮する釜ヶ崎労働者への対策としての「越年対策」の必要は従前通り存在しているが、現状は、年間を通じて困窮状態にある労働者が多数存在しており、年末年始対策だけでは不充分であると主張し、対策を要求し続けてきた。「大テント」使用に関わり生じているかに見受けられる「行政」と当会との若干の齟齬の原因は、この認識の違いにあるものと考えられ、「大テント」の必要・不必要に関わる論議に起因するものではないと判断している。

 大阪府・市の協力のもと、とりわけ大阪市民生局総務部保護課施設係の努力で「無事」終了した「あいりん地区越年対策」後の、355日対策について、改めて要求する。

1.10日間の「越年対策」に固執し、実施されたその対策の結果に基づき、正当性を明らかにされたい。

イ.白手帳所持者の数(そのうちモチ代受給者数と1月にアブレ受給資格の確認された者の数。かって手帳発行を受けたが現在は有効ではない者の数)。

ロ.平均年齢と年齢構成。

ハ.臨泊入所以前の就労状況を明らかにする統計数値。

ニ.臨泊入所以前の野宿状況を明らかにする統計数値。

ホ.臨泊入所者と1997・1998年における市更相相談受付名簿を照合し、合致するものについて、相談時期および相談内容と結果で分類し数値で明らかにされたい。

ヘ.当会が受付を行った「臨時ケアセンター」利用者名簿と臨泊利用者名簿との照合を行い、合致する者の数と、最初に「臨時ケアセンター」を利用した日から臨泊入所までの日数について、分布・平均・最長・最短などについて明らかにされたい。

ト.以上の数値に基づき、「年末年始対策」で十分と判断される層と、対策がいまだ必要とされる状態に留まっていると考えられる層に分類し、それぞれの想定数を明らかにされたい。

2.現在のセンター夜間利用者と「大テント」利用者から臨時宿泊所利用について聞き取りを行っていないので、確たる根拠をもっては言えないが、当会としては、1月4日に臨時宿泊所を出たと伝えられる400名を、一応「年末年始対策」だけで十分であったものと判断し、「年末年始対策利用者」の残り2,300名については、「年末年始対策」以降も引き続き対策がなされるべきものであったと判断している。

 

1月7日以降のセンター夜間利用者(800〜1,000名)と大テント利用者(200名)の合計(1,000〜1,200名)と周辺のテントによらない野宿者の存在が、判断の正当性を証するものであると考える。

前項(1)による立証がなされない間、この認識を共通認識とすることに同意されたい。

3.前項(2)の判断から、2,300名規模の、「服を脱いで寝られる」宿泊施設の設置を要求する。

イ.具体的には、現在のセンター夜間利用・大テント利用の宿泊実績を個別に記録し、それを基に「野宿登録」を行って、登録者に対し「ドヤ券・食券」を発行する。これにより、毎日長時間列をなさなくても済むと考えられる。

ロ.1週間連続して利用しないものは、「登録」から抹消し、新規登録者を加えることとする。

ハ.利用者は最低1月に1度、府・市担当職員による生活・職業相談を受けるものとする。その際、府・市は職業の斡旋・職業訓練学校への斡旋・入院および施設入所の相談・居宅保護への移行など、相談者が選択可能な具体的な「次のステップ」を提示することに努めること。「次のステップ」に移行したものは登録から抹消し、新規登録者を加えること。

  1. 現在の釜ヶ崎の求人状況並びに雇用する側の求人年齢制限などに鑑み、60歳以上で現に野宿を余儀なくされている者については、優先的に施設保護あるいは居宅保護の措置をとられたい。

  2. 南海電車・天王寺―天下茶屋線跡地に、仮設宿泊施設を設置されたい。

  3. 大阪府・市共に現行の「高齢者清掃事業」就労枠の拡大(当面の目標1日300名)に努めること。

  4. とりわけ大阪府は、就労数で昨年を下回ることを回避し、来年度においては通年化を果たすこと。その上で、府立の他の施設への拡大を模索し、現状の就労数の倍増に向けて努力すること。

  5. 西成労働福祉センターの機能を強化し、建設産業以外の産業・職種の就労先開拓に努めること。紹介先に対する身元保証制度を設けること。また、就労に際し、「住所不定」が阻害要因となっていることが明らかなものについて、住居の斡旋と敷金の提供・生活費の貸し付けを行う制度を従来の「就職仕度金」とは別に設けること。

  6. ホームページ「釜ヶ崎情報案内」を見た女性から、野宿者に対する差別・偏見から生じた根拠のない「レイプ事件」を振りかざし、一方的排除を基調とした質問が、電子メールで寄せられた。かかる「市民」の野宿者への差別・拝外主義を生み出したのは、野宿を余儀なくされる労働者の度重なる要求にも関わらず対策を怠ってきた「行政」に責任があると考える。労働・民生の担当者として、市民相互(公園での生活を余儀なくされている市民と公園周辺に住む市民)の間に葛藤を生じ、差別・排外意識に包囲された野宿者がますます困難な立場に追い込まれていることについて、責任を感じるとともに、具体的に、この女性に対する返信を作成するという形で、この種の「市民の声」に対する行政の姿勢を明らかにされたい。その返信を、当会に対し示されたい。

  7. 『私の住所は長居公園の真ん前で、部屋の窓からブルーシートで生活している人たちが見えます。長居公園の現状はご存知かと思います。ほんの数ヶ月前まではここまで酷くなかったというくらいに、ブルーシートのテントが日増しに増えています。

     気持ち的には今の社会ではこの状況も仕方ないと思う部分もありますが、噂では公園内に運動のために走っている女性を団体でレイプするホームレスの人たちも居るそうです。レイプまではいかなくっても、ブルーシートの中で何をしているのか解らないけど・・・・。

     何もしないただ、生活の為だけにブルーシート生活を強いられる人たちも居るかもしれません。しかし、何かあったときに、普通の住民なら市民登録をしているので、足はつきますが、ホームレスの人たちを捕まえるのは大変ではないですか?

     どんどんスラム化している公園。それを目の前にして生活している私たちの気持ちなどは全く関係無いのでしょうか? ホームレスの方々に救済を!と唱えるのなら、最低限何かあったときに貴方様はどう対処されるのでしょうか?

     高い住民税、市民税を支払、何とか仕事を維持するために日夜勉強をし、嫌な事でも我慢して仕事をしている私たちが、こそこそと公園から追い出されている現状をどうお考えでしょうか?

     こういうHPをお作りの方にこれらの問題についてどうお考えなのかお聞かせいただきたいのですが・・・。よろしくお返事のほどお願い申し上げます。』

  8. 市内あるいは府下に拡散・テントによる定住を余儀なくされている野宿者は定住先周辺住民と緊張関係にあると考えられる。これは野宿者にとっても周辺住民にとっても不幸な事態である。これを解消するために以下を実施されたい。

  9. イ.各区福祉事務所と職業安定所が共同して、巡回職業・生活相談を実施すること。その上で、住居の斡旋・敷金の貸し付け・就職先の斡旋をなすこと。

    ロ.大阪府・市の広報誌紙で、野宿者の現状報告と行政対策の立ち遅れについて、「不安と不快」を感じている市民に対して説明をなすこと。

    ハ.各区に1箇所、100人規模の「生活ケアセンター」を設置すること(利用者の紹介は福祉事務所と職安が行うこと)

    ニ.テント密集地域に共同仕切り場・作業場を設け、特定業者を指定し補助金を上乗せして回収物の高価買い入れをおこない、アパート生活への移行を助成すること。

    ホ.他府県へ移動(帰郷・帰農など)を希望するものについては、当面の生活に不安が生じないように、転地先での「居宅保護」を確約できる方策を確立すること。

  10. 以上の諸施策実現まで、当面、緊急的に3月1日から「臨時生活ケアセンター」の拡大・再実施と最低1,000人規模の宿泊施設を準備すること。

  11. 以上につき2月10日までに回答されたい。

以上

1999年2月1日

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▲市庁舎南玄関前

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▲ブルーシートを張り巡らしても足らず、「屋根」なしで座り込む。淀屋橋北詰

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▲3月2日、昼食の配食風景

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▲▼夜、前面にもブルーシートを垂らし、風よけとしている

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▲「屋根」なしで夜を過ごす人も