ブログ
  • 大阪市への要望2016年9月27日
    2016年10月01日

    釜ヶ崎就労・生活保障制度の実現を目指す連絡会の一員として、大阪市への要望を行いました。

    以下交渉内容の概略をお知らせします。

    これから越冬へ向かう期間、引き続き、国・大阪府・大阪市への提言を行います。

    (1)昼の居場所棟を朝7時から開所されたい。また日曜及び祝日も開所されたい。

    [大阪市福祉局生活福祉部自立支援課回答(以下「自立支援課」とする)]
    「開所前に列ができる。その結果地域から苦情が出るなどの事態があれば、検討する」

    [参加者から]
    「ふだん日中はあいりん総合センターの2階で寝ている。センターが建て替えとなったら、公園で寝ると思う」

    「シェルターはいびきの問題があって、外で寝ることにしている」

    市の回答はおそらくセンター建て替え時に行き場のない者が増加する際のことを言及しているようです。参加者からの意見は、センター建て替えを踏まえた上で、路上での野宿増加を予測しうるものとなりました。野宿している人は、公共・共有の空間を、シャワーの利用・テレビの視聴・交流などの目的で使用する居場所と、一人になれる居場所とで使い分けています。センター建て替えに伴う一人になれる空間の喪失に対応するためには、前者の居場所の拡充に加え、要望(4)(5)(6)の就労と組み合わせできる家賃補助の仕組みが有効と考えます。

    (2)病気になった日雇労働者で医療費を工面できない者に対して、大阪社会医療センターの無料低額診療が実施されていますが、医療センターの診療科目にない眼科、歯科、耳鼻科について、必要な受診が制限されることがないようにされたい。

    [自立支援課回答]
    「医療が必要な人には支援をする。ケアセンターに絶対に入らないといけないわけではない。鉄道病院、愛染橋病院、済生会などにお願いに行っている」

    [参加者から]
    シェルター相談で、歯科相談を長年担当していただいている井村先生より、歯科保健研究会で必要な方への入れ歯製作などを持ち出しで行いながら、行政が生活保護申請をしなくても可能な範囲の応急処置や抜歯を分担してきたこれまでの経緯があるのに、現場を考慮せず、費用の負担のみをみて、制度活用方法をして医療を受けにくくするのは、到底納得できることではないとの意見が寄せられました。

    無料低額診療を行える医療機関であっても、(特に野宿状態の者に対しては)無料低額診療を嫌がるところが多いので、大阪市から医療機関に対して文書で要望を出すべきだ。

    →自立支援課回答「無料低額診療の担当ではないため、担当に伝える」

    ★次回、無料低額診療担当の出席を要請します。

    (3)あいりんシェルターを利用し、技能講習を受ける者に対して、一時生活支援事業から弁当・衣服等の支給が可能となるよう制度を整えられたい。

    ★時間の関係で十分な話し合いができず。次回の課題。

    (4)路上、公園、河川敷等で長期間野宿を続けているものに対して、借り上げ型の低家賃住宅を提供するとともに、就労支援制度を作り、働きながら生活できる仕組みを作られたい。

    自立支援課回答「自立支援センターで実施している」

    [参加者から]
    40代~50代の方の意見。「自立支援センターから就職先へ行ったら、ブラックな場合が多い。時給が800円で、残業代もない、住み込みの部屋が訊いていた条件と違うなど、続けたくても続けられない。ところが、職員はブラックであろうとなかろうと、就職させようとするばかり」

    釜ヶ崎のシェルター利用者の平均年齢は60歳で、常用就職を支援する自立支援センター策とかい離している。現在の自立支援センター利用者の多くは短期の野宿経験者もしくは野宿を経験していない者である。  ★次回以後の課題


    (5)生活保護法の具体的な運用については、自治体にかなりの裁量の余地があります。たとえば、東京都、川崎市、横浜市では簡易宿泊所で生活保護を受けることができます。また、北九州市では、野宿生活であっても生活扶助が窓口支給されます。現行の生活保護を勧めても、働いて暮らしたいとの思いを持つ釜ヶ崎労働者の希望と合致しないことが多々あることから、野宿生活からの脱却が進まないということがあります。そのため、住宅扶助単給と特掃の活用を運用の中に位置づけ、扶養照会や義務を緩和するなど、野宿から脱出できる支援を積極的に進められたい。

    自立支援課回答「生活保護を運用する担当部署である保護課に伝えている」

    [参加者から]
    特掃等の仕事の収入で足らない部分を家賃補助することについては、概ね参加者は賛成のようすでした。ただし、柔軟ではない現在の生活保護の運用に関しては、「生活保護の就職活動指導は上から目線で耐えられない」「生活保護を受けたくない。死ぬまで働く」など高齢日雇労働者の就職活動の難しさ、働いて生活したいという思いが、市職員に伝えられました。これらの意見を受けて、大阪市は柔軟に野宿をしなくてもよい社会的包摂策を進めていかなければなりません。★次回以後の交渉に保護課職員の出席を要請します。

    (6)生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金が長期にわたり野宿を続けざるをえない者が活用できない制度であるため、2年以内の離職票提出の免除などの緩和措置を実情に即して行えるよう国に対して働きかけられたい。

    自立支援課回答「2年以内の離職票提出は必ずしも必要ではない。その他の書類でも認める場合がある。自立相談支援員の聴き取りによって適切な支援を行う」

    回答内容からも、柔軟な運用は可能であることがうかがえますが、実際に窓口の職員が野宿状態からの住居確保給付金の支給を行うように進み、受け入れアパートの確保も含め、円滑な運用が行われるためには、こうした要望に加えて、実行可能な計画を提言する必要があるでしょう。★また、直接の担当は生活困窮者支援担当となるので、次回以後の交渉では、生活困窮者支援担当職員の出席を要請します。

    (7)越年対策において、29日午後以後も必要な者には適宜支援が行われるようにされたい。シェルターに配置された市職員が面接を行う等の方法を講じられたい。

    自立支援課回答「30日に来られる利用者が減っているので、大阪市としては体制が組めない」

    [参加者から]
    大阪社会医療センター前で越冬闘争実行委員会が行っている布団敷きでは、29日夜以後、飯場から釜ヶ崎へ戻ってくる労働者が存在して、毎日30~40人が医療センター前で年を越す。全体的には利用者減であっても、市側も規模縮小しつつ受け入れは行うべきである。

    その他自立支援課より、12月29日、30日は大阪市は特別清掃を実施せず、その2日分の就労は、年内もしくは1月に振り分けて、就労人数は減らさないとの説明があった。

    [参加者から]
    年越しのためのお金を準備する必要性があるのだから、1月に振り分けず、年内に2日分の仕事を振り分けるべきである。

    特掃で働く者がすべて越年の臨時宿泊所を利用するわけではない。野宿状態に陥ることを防止する観点からも、特掃は特掃で実施すべきである。